新たな法規制や諸原則へ対応する金融機関向けサービスを強化 ~適格格付情報提供プラットフォームGlobal Rating Master®に「証券・発行体リンク機能」を追加~

サービスインフォメーション

2014年6月12日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、金融機関が対応必須となる法規制や諸原則に向けたリスク管理やガバナンス体制の構築を支援するサービスを強化していきます。そのひとつとして、「適格格付プラットフォームGlobal Rating Master®(グローバルレーティングマスター)」(以下:Global Rating Master)の機能を拡充し、5月19日より提供を開始しました。

今回の機能拡充においては、利用ユーザーならびに金融機関からのニーズの高かった証券と発行体注1のリンク・検索機能を追加したほか、格付データ検索機能をさらに高度化させ、とりわけ証券が無格付の場合に参照ニーズのある発行体格付検索(代替出力)を可能とするなど利便性を向上させました。

NTTデータでは、近年注目される高度な金融情報の管理原則・規制、「実効的なリスクデータ集計とリスク報告に関する諸原則」などに代表されるデータ・ガバナンス体制構築の要請に対応した総合サービスを展開し、利用ユーザーならびに金融機関向けに、信用・市場リスクからオペレーショナル・リスクまで、包括的なリスク管理体制の実現を支援していきます。

背景

金融業界においては、バーゼル銀行監督委員会による「実効的なリスクデータ集計とリスク報告に関する諸原則注2」が公表(2013年1月)され、日本の国際統一基準行注3、特に、システム上重要なグローバルな金融機関(G-SIBs)と金融当局から認定された金融機関は、2016年初までに、諸原則を完全実施する必要があります。すでに、2014年6月2日、金融庁により「主要行等向けの総合的な監督指針注4」が一部改正・公表され、当該指針の適用が始まりました。国内のシステム上重要な銀行(D-SIBs)については、認定から3年後には諸原則を適用するように推奨されています。加えて、国内基準行注5においては、2014年3月31日より段階的に(国際統一基準行から1年遅れて)実施されている「国内基準行向けバーゼルIII」により諸規制・指針が多岐にわたって適用されています。たとえば、銀行のファンド投資によって間接的に保有する構成銘柄ごとにリスク・ウェイト評価が求められるようになっています(ファンド・ルックスルー)。とりわけ、コア資本の調整・控除項目の特定、ダブル・ギアリング規制対応、CVA(信用評価調整)リスク評価など、自己資本比率の算出過程が著しく煩雑となっています。このことから、国内金融機関の多くがリスク管理実務と意思決定プロセス、さらにデータ・ガバナンス体制について一層の向上が求められている状況です。

これらの状況から金融機関では、タイムリーかつ正確な外部格付データの取得とカウンターパーティー情報の管理がより一層重要となることから、今回、NTTデータでは、金融機関におけるデータマネジメントに関わるサービスを強化することとしました。そのひとつとして、このたび、「Global Rating Master」を大幅に刷新し、取引先、投資先の属性情報の把握・管理、さらにデリバティブのリスク額の算出など、外部格付データを含む情報の管理体制の高度化と効率化を促進・実現するサービスを新たに提供します。

「Global Rating Master」について

サービス概要

「Global Rating Master」は、複数の格付機関の格付データベースを一元的に参照し情報取得できるプラットフォームサービスです。信用リスク、保有資産のリスク・ウェイト評価に必要となる外部格付機関からの格付情報を一元的に提供します。

今回、これまでユーザーや金融機関からのニーズが高かった、証券と発行体をリンク・検索できる機能を追加し、無格付証券の発行体格付の参照・検索(代替出力)ができるようになりました。

格付け情報取得・提供サービスにおけるメニューは以下のとおりです。

  • 月次データ更新サービス(想定用途:バーゼル信用リスクアセット計算用)
  • 日次データ更新サービス(想定用途:信用リスク管理)

また提供先に応じて、以下のサービス区分で提供を行います。

  • 一般サービス(一般金融機関向け)
  • 地域金融機関向けサービス(地方銀行、第二地方銀行、信用金庫等向け)

対応適格格付機関

  • 格付投資情報センター(R&I)
  • 日本格付研究所(JCR)
  • ムーディーズ・インベスターズ(Moody's)
  • スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)
  • フィッチ・レーティングス(Fitch)

導入メリット

  1. 1.網羅的な情報の取得

    高度な信用リスク管理・評価に必要な複数外部格付の網羅的な取得、ならびに統合的なリスク情報を最新の状態で管理できるようになります。

    また、金融機関が信用リスクの総合評価上で必要となる、証券と発行体双方の高度な同時検索ができることで、効率的に情報が取得できます。

  2. 2.統一フォーマットでのデータ取得・管理

    各機関により異なる格付符号などの情報を、統一フォーマットで提供するため、横並びでの比較が容易になります。

  3. 3.作業時間の削減

    正確な外部格付データを配信するだけでなく、自己資本比率の計算の根拠となる外部格付の周辺情報を網羅しているため、金融庁等への報告にかかる業務負荷の大幅削減が実現できます。

  4. 4.複数機関とのライセンス契約が不要

    「地域金融機関向けサービス」においては、NTTデータ経由で格付機関とライセンス契約を行うことにより、複数の格付機関とライセンス契約を締結する必要がなくなります。

  5. 5.データ整備サービス

    各格付機関より提供されているデータベースは、必ずしも個別債券、発行体を一意に特定するコード類が網羅的に整備されているわけではないため、NTTデータが一意特定項目の補完作業を行います。

    さらに要望に応じて、Quality Master®(金融属性情報のデータ・マネジメントサービス)を通じた、高度なデータ・メンテナンスの提供も可能です。

Quality Master(金融属性情報のデータ・マネジメントサービス)について

金融機関において発生する金融属性データの不整合や未更新、データ・フォーマットの非統一など、金融機関に代わってNTTデータがメンテナンスするサービスです。

これにより金融機関は、不整合や未更新の存在しないデータに基づいて、データ管理を行うことができ、取引先・投資先の資産リスクの算定を正確に実施することでデータのオペレーション上のリスクを低減できます。また、データ・メンテナンスに関わる実務者の業務負荷を削減することができ、よりコア(高生産性)な業務に集中させることが可能となります。

実効的かつ正確に、リスクデータを集計・管理し、報告をする必要がある金融機関の業務効率化を支援します。

今後の展開

NTTデータは、Global Rating Masterの大幅刷新を通じて、2014年度に新たに数社(数行)の導入を見込んでおり、2014年度中に累計30社への導入を目指します。今後の信用リスク管理強化および規制対応のため、標準的手法採用行注6のみならず内部格付手法採用行注7でも、より簡便な外部格付の利用に対するニーズが高まると見込まれるため、積極的に展開していきます。

また、法人企業の親子関係のひもづけ等、格付データ以外の金融属性データの整備についても、複数金融機関と共同検討を実施しており、利用企業の高度なリスク管理体制の実現に、より一層寄与できる製品開発を進めていきます。

参考

Global Rating Master、Quality Masterは、NTTデータが提供する金融制度対応ソリューション「Masterシリーズ」のラインアップです。「Masterシリーズ」は、リスク管理分野を中心に金融機関が直面するシステムの制度変更対応を、より効率的に解決するソリューション群です。詳細はMasterシリーズホームページを参照ください。

注釈

  • 「Global Rating Master」は、日本国内におけるNTTデータの登録商標です。
  • 「Quality Master」は、日本国内におけるNTTデータの登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
第二金融事業本部
ソリューション営業担当
斉藤、大森
TEL:050-5546-2394