阪急阪神エクスプレスのグローバル展開を支えるグローバル物流管理・経営分析システムのサービス開始

サービスインフォメーション

2016年3月28日

株式会社NTTデータ
NTT DATA Vietnam Co., Ltd.

株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:岩本 敏男、以下:NTTデータ)は、株式会社阪急阪神エクスプレス(本社:大阪府大阪市、代表取締役 取締役社長:岡藤 正策、以下:阪急阪神エクスプレス)がグローバルでの物流管理・経営分析を実現する「阪急阪神エクスプレスグローバルデータベース(以下:GDB)」の構築を行い、2016年4月1日より、阪急阪神エクスプレスの世界17カ国の拠点で本格的に運用を開始する運びとなりました。阪急阪神エクスプレスは、GDBを活用したグローバルサプライチェーンの可視化サービスを、顧客である荷主企業に提供することで、競合物流企業との差別化が可能となります。また、自社内においてもグローバル連結収支を早期に把握して、さまざまな角度から分析することで、最適な経営判断を行うことができるようになります。

GDBは、NTT DATA Vietnam Co., LTD.(本社:ベトナムハノイ、社長:渡辺 晃、以下:NTTデータベトナム)が製品化した物流ソリューションL-Seriesのほか、NTTデータが保有する貿易ドキュメント管理ソリューションTradeBook®、データ・ディスカバリー・プラットフォーム注1QlikView®、データ連携ソリューションASTERIA WARPなどの複数のソリューションを組み合わせて構築しました。

NTTデータとNTTデータベトナムは今後、阪急阪神エクスプレスのグローバルビジネスのさらなる発展を支援するとともに、グローバルに展開する荷主企業・物流企業のサプライチェーン・経営情報の可視化を支援していきます。

背景

企業活動のグローバル化により、荷主企業にとってグローバルサプライチェーンの管理が喫緊の課題となっています。荷主企業から物流業務を受託する物流企業にとっても、グローバルでの対応力が顧客獲得の重要要素になっており、なかでも、ITを活用した競合物流企業に対する優位性の確保や差別化に注目が集まっています。これまでも物流業界にはITが導入されてきましたが、日系物流企業は現地の事情に合わせて各国でシステムを導入するケースが多く、荷主企業に対するグローバルでのサプライチェーンの情報提供や、グローバルでの連結収支の早期把握という観点では、世界共通のシステムを原則とする海外大手物流事業者と比べて苦戦してきました。 これまで、阪急阪神エクスプレスでも、各国で個別にシステムを構築してきたため、グローバルでの一元的な情報提供を求める荷主企業に応えられなかったり、顧客の問い合わせに回答するために、輸入側の担当者が輸出側の担当者に問い合わせるなど、マンパワーでカバーしていました。また、経理システムには連結収支情報が存在するものの、経営層が状況を把握するためには、各国に都度、問い合わせてデータを入手し、多数のデータの集約・分析・レポート化をする必要がありました。

こうした課題を解決すべく、GDBでは日本を含む世界17カ国の物流や収支のデータを集約し、荷主企業のオーダーから貨物が到着するまで、サプライチェーンの情報をトータルで可視化します。また、グローバルでの輸送実績や粗利益を、リアルタイムに簡単に確認・分析できるようにします。物流業に限らず、日系企業では、各国システムの全体統合により情報一元化を目指す動きもありますが、GDBは、各国システムを残した上で、必要な情報をグローバルに集約するしくみとすることで、実現までの期間・コストを大幅に抑えています。

NTTデータでは、複数のソリューションを効果的に組み合わせることで、阪急阪神エクスプレスの目指すGDBを短期間で構築しました。なかでも、日本発のプロジェクトがNTTデータベトナムの物流ソリューションL-Seriesを採用するのは初めてで、これは、NTTデータがAPACで注力するリバースイノベーション(新興国で開発された技術を日本などの先進国にフィードバックする戦略)の案件の一つです。

【図】

図:GDBシステム概要

概要(特長)

GDBは、阪急阪神エクスプレスのグローバルでの顧客満足度向上、業務効率化、最適な経営判断を実現するシステムです。特長は以下の通りです。

サプライチェーン可視化機能

オーダーマネジメント、トラッキング、配送指示の3つのサブ機能を持ちます。NTTデータベトナムの「L-Series」を採用し、阪急阪神エクスプレスのニーズに合わせた柔軟な機能を提供します。

オーダーマネジメント

バイヤーがサプライヤーに発注したオーダーについて、現地で集荷され、国際輸送を経て納品先に到着するまでの進捗状況を、オーダーナンバー・アイテムコード・顧客名称・納期などのさまざまなキー情報で検索することができます。阪急阪神エクスプレスは、GDBを活用して、荷主企業に対し、出荷管理や納品管理業務の代行など、フォワーディング業務注2にとどまらない高付加価値サービスを提供していきます。

トラッキング

荷主企業から貨物を引き受けてから、貨物が到着するまでの進捗状況を、輸送ナンバー・オーダーナンバー・インボイスナンバー・アイテムコードなどのさまざまなキー情報で検索することができます。フォワーディング業務を提供している荷主企業に対し、荷主企業が見たい単位に合わせた輸送進捗情報を提供していきます。

配送指示

荷主企業が、輸入空港や港からの配送について、空港や港に貨物が到着する前に、急ぐ貨物の配送を指示したり、港に保税状態で貨物を保管しておき、国内の需要に合わせてコンテナやインボイスの単位で分割配送を指示することができます。指示した貨物の配送状況は、トラッキングで確認することができます。

貿易ドキュメント共有機能

輸出側の担当者が作成した貨物運送状(Air Waybillなど)・通関書類、荷主企業から受領したインボイス・関連書類などを、各国の業務システムやスキャナーから自動的にGDBに取り込み、輸入側の担当者や荷主企業に共有します。それにより、関連書類を一括検索したり、複数の書類が揃った段階で相手先に通知するなど、業務効率化に貢献することができます。また、サプライチェーン可視化機能と連携し、関係する書類を簡単に参照することができます。NTTデータの「TradeBook」を採用し、国際物流業界の書類管理に特化した機能を活用してカスタマイズを最小限にとどめています。

収支分析機能

経営層やマネージャー層が、グローバル全体や自国の売り上げや粗利をさまざまな角度から自由に分析できます。また、クリックテック社の「QlikView」を採用し、従来型BIツールではできないユーザーによる直感的な分析を実現しています。

連携基盤機能

それぞれ独立した業務システムを持つ世界17カ国の拠点から送信されたデータをGDBに取り込むため、データフォーマットやコードなどの変換を行ったり、輸出側が送信したデータを輸入側に転送します。インフォテリア社の「ASTERIA WARP」を採用し、拠点ごとの差異をGDB側で効率的に吸収しています。

今後について

今後、NTTデータとNTTデータベトナムでは、各国の倉庫在庫と輸送中在庫を一元的に可視化する在庫管理機能の追加など、阪急阪神エクスプレスのグローバルビジネスのさらなる発展を支援するとともに、グローバルに展開する荷主企業・物流企業のサプライチェーン・経営情報の可視化をはじめ、貿易・ロジスティクス分野におけるビジネスを積極的に拡大していきます。

注釈

  • 注1データ・ディスカバリー・プラットフォームとは、クリックテック社の特許取得済みの連想技術を搭載したデータ分析環境のことです。セルフサービス型BI(製品の操作感をシンプルにすることで、ITに精通していなくてもデータ分析をできる環境)よりも多様なデータ活用ニーズ(ガイド型アナリティクスやレポーティング)にも対応しています。
  • 注2フォワーディング業務とは、国をまたいだ物流で発生する運送、通関、保管等の業務を荷主企業より一貫して受託し、ドアツードアで貨物を届ける業務のことです。
  • 「TradeBook」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
  • 「QlikView」はQlik Technologies Inc.の登録商標です。
  • 「ASTERIA WARP」はインフォテリア株式会社の登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
第一公共事業本部
第二公共事業部
営業部
貿易物流ソリューション担当
角本
TEL:03-3287-7003
E-mail:tradesolution@kits.nttdata.co.jp

NTT DATA Vietnam Co., Ltd.
久保田
TEL:+84-4-3766-7973
E-mail:Sales.NDVN@nttdata.com