ブックオフオンライン株式会社と実施したAI活用によるチャットボット実証実験にて買い取り申し込みへの誘導効果を確認

サービスインフォメーション

2017年11月28日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、ブックオフオンライン株式会社(以下:ブックオフオンライン)のECサイト「BOOK OFF Online」(http://www.bookoffonline.co.jp/(外部リンク))をフィールドとして、2017年7月5日から2017年9月27日までの間、チャットボットによるカスタマー問い合わせ応答サービスの実証実験を実施しました。本実証実験は、コンタクトセンター業務にAI技術を活用することにより、お客さま満足度の向上やオペレーターの生産性向上等への寄与効果の測定を目的として、ブックオフオンラインの買い取り業務に限定して実施しました。

その結果、これまで買い取りを経験していないスマートフォンユーザーに対する、問い合わせの機会創出の効果等により、導入前と比較して買い取り申し込み件数が、8.5%増加しました。

NTTデータは今後、ユーザーエクスペリエンス視点でのコンタクトセンターの高度化を通じて、多様化した顧客チャネルへの対応および顧客満足度のさらなる向上・コスト削減・売上増への貢献も視野に入れていきます。

背景

近年のコンタクトセンターでは、お客さまとの接点チャネルとして従来の電話やメールだけでなく、チャットなどの新たなコミュニケーションツールへの対応が求められています。そのため、これからのコンタクトセンターには、これらの多様化するツールに柔軟に対応できる環境の整備が必要となります。また、オペレーターにとってはさまざまなツールを意識せずに、一貫性のあるお客さま対応を可能とするために、異なるツール間でも横断的にお客さまデータを蓄積・活用できるシステム面での支援が必要となってきていました。しかし、その一方で、オペレーター負荷の増大や人員増に伴うコストの増加といった問題が生じており、これらの問題を解決するために、AI技術の活用が期待されています。

実証実験概要

日本最大級のオンライン中古書店を運営しているブックオフオンラインでは、自宅にいながら古本・CD等を売ることができる宅配買い取りサービス「宅本便」をオンラインサイトにて提供しています。同様に提供している購入サービスと比較して、買い取りサービスを初めて利用するというお客さまが多いため、申し込み方法や買い取り基準、集荷方法といった単純な問い合わせが多い状況にありました。そこで、このような問い合わせに対して、チャットボットにより自動応答するサービスをオンラインサイトに導入することで、オペレーターの生産性向上・コスト削減への効果を確認する目的で本実証実験が行われました。

【図】

図1:実証実験のシステムイメージ

実証実験結果

1.コスト削減効果と買い取り申し込み件数増

チャットボット導入前後、それぞれ3ヵ月間での単純な問い合わせに関するオペレーターの対応件数および買い取り申し込み件数を比較したところ、対応件数は6.4%減少、オペレーターの対応稼働に換算すると月平均61.5時間の削減となる一方、買い取り申し込み件数は8.5%増加しました。

【図】

図2:導入前後の問い合わせ件数と買い取り申し込み件数の変化

2.その他の結果

回答精度とチャットボット応答率推移

本実証実験の目標としていたチャットボット応答率20%以上を達成し、回答精度も90%超の習熟度となりました。

【図】

図3:回答精度とチャットボット応答率推移

問い合わせにおける夜間帯のニーズ

コンタクトセンター営業時間外(21:00~翌10:00)においては、チャットボットを利用しての問い合わせが継続的に発生しており、夜間帯においても回答の迅速性を求めるニーズが高いことが認められました。

【図】

図4:時間別 問い合わせ件数とチャットボット応答率の推移

【図】

図5:時間帯別 問い合わせ件数

これまで接点の少なかったスマートフォンユーザーへのコンタクトポイント増

デバイス別のチャットボットでの問い合わせ件数推移を見ると、ブックオフオンラインにて本実証実験の認知度を上げるためにPC・スマートフォンそれぞれでお知らせを配信したにも関わらず、スマートフォン経由の利用数増加が目立った一方で、PCでは変化が少ない結果となりました。

これまで接点の少なかったスマートフォンユーザーのECサイトへの誘導効果が見られました。

【図】

図6:認知度向上施策とチャットボット問い合わせ件数の推移

今後について

NTTデータは、コンタクトセンターにおけるAI活用を今後も推進し、ユーザーの視点に立ったサービスデザインという観点からも、顧客満足度・オペレーターの生産性のさらなる向上につなげていくことを検討しています。また本技術を活用し、ユーザーエクスペリエンス視点でのコンタクトセンターの提供にもつなげていきます。

【図】

図7:ユーザーエクスペリエンス視点からのコールセンターソリューション改善検討例

注釈

  • ユーザーが特定の製品やサービスを利用したときに得られる体験のこと。個別の機能や使いやすさのみならず、ユーザーが求めるものをいかに楽しく・心地よく・快適に実現するかを重視した「考え方」を示すもので、近年はイノベーションへのきっかけとしても、大きな注目を集めています。
  • 文中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
ビジネスソリューション事業本部
デジタルビジネスソリューション事業部
阿部、平松、中島、藤原、塩沢
TEL:050-5546-2386