日本政策金融公庫の共通基盤システム再構築が完了、本格運用開始 ~サーバー台数7割削減など、運用業務の効率化を実現~

サービスインフォメーション

2020年1月31日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、株式会社日本政策金融公庫(以下、日本公庫)の公庫共通基盤システムの更改を行い、2020年1月に公庫共通基盤上で業務システムが稼働しました。今後、順次、稼働する業務アプリケーションが増加していく予定です。

日本公庫の公庫共通基盤システムは、200万件を超える融資管理を行う業務システムの他、職員の業務を支える共通システム群を収容する約400台の仮想サーバーが稼働する大規模プライベートクラウド基盤です。

NTTデータは、本システムの更改にあたって最新のクラウド技術、オープンソースソフトウエアを適用し、拡張性のある基盤を提供しています。本システムにより、「リソースの最適化、有効活用」「運用業務の効率化・高度化」に寄与しています。また、将来的なパブリッククラウドの活用に向け、組織別の認証システムの統合・集約と外部サービスへのシングルサインオンを実現できる認証システムへ再構築し、今後稼働する予定です。

NTTデータは今後、本件で培った大規模プライベートクラウド基盤の構築に係るノウハウを活用することで市場の変化やニーズに的確に捉え、お客さまのビジネスの多様化・高度化に対応するためのデジタルトランスフォーメーションをサポートしていきます。

背景

日本公庫の公庫共通基盤システムは、総融資残高17兆4,611億円、200万件を超える融資管理を行う業務システムの他、約7,000人の職員の業務を支える共通システム群が稼働する大規模プライベートクラウド基盤で、約400台の仮想サーバーが稼働しています。2012年の現行共通基盤システムの稼働以降、仮想サーバーの増加に伴い、開発・運用負担が増加していることが課題となっていました。そこで、現行共通基盤システムの更改時期に合わせて、サーバー・ストレージの統合・集約等による共通基盤の再構築を行い、「リソースの最適化、有効活用」「運用業務の効率化・高度化」「認証システムの効率化・高度化」を目指すこととなりました。

NTTデータは、2018年4月に「公庫共通基盤の再構築」を受注し、公庫共通基盤の更改および業務システムのプラットフォームの統一に取り組み、2019年8月に再構築が完了しました。このたび、統一プラットフォーム上で最初の業務システムの運用が開始し、順次、稼働する業務アプリケーションが増加していく予定です。

図:公庫共通基盤システム

図:公庫共通基盤システム

概要

NTTデータは公庫共通基盤の課題に対して、OSSVERT for Cloud(読み:オズバート フォー クラウド)注1の成果およびシステム開発の知見を活用し、次の通り再構築を行いました。

  1. (1)リソースの最適化、有効活用
    大容量サーバー・ストレージへの統合・集約によるプラットフォームの統一により、物理サーバー台数を133台から34台へ約7割削減しました。また、リソースプールを各業務システムが共用できるようにしたことで無駄のないリソース配分を行うことが可能となっています。これにより、サーバー関連コストの削減に寄与するとともに柔軟な拡張性を実現しています。
  2. (2)運用業務の効率化・高度化
    • 「仮想サーバー払出」運用を効率化
      Open Stack(読み:オープンスタック)基盤注2およびAnsible(読み:アンシブル)注3を活用することにより、これまで手作業で行っていた仮想サーバー構築作業やOS・ミドルウエアのパラメーター設定作業を自動化し、仮想サーバーの払出期間を約4分の1に短縮しました。また、仮想サーバーの払出作業を自動化することで、運用者が業務ニーズに合わせて迅速に仮想サーバーを払い出せるようになり、業務の効率化・高度化を実現できる基盤となりました。
    • 「災対環境切り替え」運用を効率化
      本番環境と災対環境のシステム構成を同一とすることで、災対環境切り替えの作業項目を削減しています。さらに作業の徹底した自動化により手作業によるオペレーション数の大幅な削減を実現しています。その結果、従来の切り替え手順の約9割を自動化することができ、切り替え作業者数の大幅な削減と安定した作業品質を実現しています。これにより、セーフティーネット機能の発揮が求められる災害等における業務継続性の向上に貢献しています。
  3. (3)将来的な認証システムの効率化・高度化
    将来的なパブリッククラウドの活用に向け、認証システムを再構築し、今後稼働する予定です。
    新認証システムでは、組織別に構築されていた認証システムを統合・集約するとともに外部サービスへのシングルサインオンを実現できる認証方式を新たに追加しています。

今後について

NTTデータは今後、本件で培った大規模プライベートクラウド基盤の構築に係るノウハウを活用することで市場の変化やニーズに的確に捉え、お客さまのビジネスの多様化・高度化に対応するためのデジタルトランスフォーメーションをサポートしていきます。

注釈

  • 注1OSSVERT for Cloudとはデジタルトランスフォーメーション時代に求められる迅速なIT基盤・ITサービスの提供に向けた「NTTグループ共通クラウド基盤モデル」です。「NTTグループ共通クラウド基盤モデル」は、NTTグループ向けのクラウド基盤モデルを提供するほか、ITサービスの開発・構築の迅速化を追求したひな型を提供し、高難度な事象にも迅速に対応する問い合わせサポートを実現します。
  • 注2OpenStack(オープンスタック)とは、クラウド基盤を構築・管理するため機能を提供するオープンソースソフトウエアです。複数の物理サーバーを一体的に管理し、仮想サーバーへのサーバーリソース等の振り分け等を行います。
  • 注3Ansible(アンシブル)は、レッドハット社が開発するオープンソースソフトウエアです。あらかじめ用意した設定に従ってサーバーを自動実行することを可能とするソフトウエアです。
  • 「OSSVERT」(OSs Suites VERified Technically)は日本国内における日本電信電話株式会社の登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

技術に関するお問い合わせ

株式会社NTTデータ
技術革新統括本部
システム技術本部
生産技術部
企画担当
齊藤、松岡、八木
TEL:050-5546-2583

案件についてのお問い合わせ

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