2019.12.26

データ分析ビジネスの革命。「DataRobot」はデータサイエンティストの存在意義を変えるのか?

さまざまな業界において、「AIは人間の仕事を奪うのか?」という議論が交わされていますが、データサイエンスも例外ではありません。10年以上データ分析ビジネスの世界に身を置いてきた天野は、自身もデータサイエンティストでありながら、「DataRobot(データロボット)」という機械学習を自動化する製品の営業活動に注力しています。なぜ天野は、自分の仕事を代替するかもしれない製品の普及に取り組んでいるのでしょうか。

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一流データサイエンティストがNTTデータに惹かれた理由

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天野 正己
ビジネスソリューション事業本部
AI&IoT事業部 コンサルティング担当

ビジネスにおけるデータサイエンスの重要性は、今や多くの人が認知するものになりました。しかし、これほどの広がりを見せてきたのは、ここ数年のこと。約20年前、アカデミアの時代から数理最適化を研究していた天野は、黎明期からデータ分析の世界を見てきた人物の1人だといえるでしょう。

卒業後、新卒で外資系のIT企業に就職した天野はデータサイエンティストとして、鉄鋼会社の生産プロセスの最適化や、流通会社の運行スケジュールの最適化、電気自動車の電池劣化予測など、数々のデータ分析プロジェクトに携わってきました。天野はさまざまな経験を積んでいく中で、次第にある懸念を抱えるようになったと話します。

天野 「年次が上がるにつれて、分析だけでなく役員の補佐なども行うようになったのですが、会社の向かう方向性が私とは違うと感じるようになりました。そこで外に目を向けると、まず頭に浮かんできたのがNTTデータです。きっかけは、数理システム(現在のNTTデータ数理システム)という会社の存在です。数理最適化の世界では昔から有名な会社で、ニッチな分野に特化して事業を行っていることに尊敬の念さえ覚えていました。その数理システムは、2012年にNTTデータに参加しています。あの数理システムがグループにいる会社ならば、きっと面白い経験ができると感じました。」

それから天野は2014年にNTTデータに転職。データサイエンティストチームのリーダーとして、数々のデータ分析プロジェクトに関わってきました。前職でも同様のデータ分析に携わっていたからこそ、前職とNTTデータの違いを感じる点も多かったそうです。

天野 「グローバル企業である前職では、技術や製品のポートフォリオが構築されており、日本においてもそれらを用いる必要がありました。一方、NTTデータでは、一人ひとりが自由に使いたいものを使えます。自分が良いと思った技術や製品を、自分次第でビジネスに育て上げることもできる。これは前職との大きな違いであり、とても魅力的な点だと思いました。」

DataRobotという「革命」との出会い

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そんな天野にとって、運命的ともいえる製品との出会いがありました。それがDataRobotという製品です。DataRobotは機械学習を自動化するプラットフォームであり、世界トップクラスのデータサイエンティストのベストプラクティスが大量のアルゴリズムとして搭載されています。天野はDataRobotに出会った当時の衝撃をこう振り返ります。

天野 「本当にすごい、革命的だと思いました。それまで自分でプログラムを書いていたのが馬鹿らしくなるほどです。何ヶ月もかけていた作業が、20〜30分程度でできてしまうのですから。途端に魅了されて、そのすごさを社内でも無邪気に熱弁していました。すぐに、DataRobotを当社でも取り扱おうと社内に提案しました。これが売れないなら、それは自分たちのスキル不足でしかない、と。」

ですが、DataRobotが市場に受け入れられるには少しの時間が必要でした。そもそもDataRobotの革新性を理解するには、一定の前提知識が必要となります。天野がDataRobotの価値に気づけたのも、彼自身が第一線で活躍してきたデータサイエンティストだったからです。相手がデータ分析の知見を持った専門家ならいいのですが、そうでなければ、「AIとは何か」「機械学習とは何か」といったところから話をしなければなりません。

天野 「最初は大変でした。専門性の高い製品なので、データサイエンティストが自らお客様に提案する必要があり、しかも最初はあまり売れないので、多くの人員も割けない。半年ほどはひたすら1人で営業していました。」

天野によれば、DataRobotはそのセールスプロセスも革命的でした。導入前に1ヶ月の評価検証プロジェクトを実施することが定められているのですが、一般的にイメージされる「無料のお試し期間」とはまったく意味合いが異なります。どんなテーマで、何を達成したいのか。達成基準を満たせるテーマとデータがしっかり整っているのか。こうした基準をクリアしていなければ、評価検証を行うことさえ許されません。「製品に自信があるからこそできるプロセス」だと天野は語ります。

最初は苦労したとはいえ、AIや機械学習を理解しているお客様にはDataRobotの価値に気づいてもらい、少しずつ導入実績は増えていきました。さらに、天野が培ったセールスノウハウを他のメンバーにも展開することで、徐々に営業規模も拡大していきました。

データ分析ビジネスの壁を破る手段になりうる

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天野のチームでDataRobotのセールスを担当しているメンバーは、全員がデータサイエンティストです。自身がデータサイエンティストだからこそ機械学習を自動化するDataRobotの革新性を深く理解できる一方で、同時に「自分たちはDataRobotには勝てない」という葛藤も抱えることになるそうです。

天野 「DataRobotを扱うのは若いメンバーほど葛藤があるでしょうね。ですが、長年データ分析ビジネスに携わってきた私としては、むしろ前向きな存在として見ています。実は、データ分析ビジネスは属人性が高く、あまり収益性が高くないビジネスです。私は長くデータ分析ビジネスに携わる中で、データ分析ビジネスで売上規模を拡大するには限界があると感じていました。ですが、個々のデータサイエンティストがDataRobotを活用すれば、売上規模の壁を突破することができる。私にとって、DataRobotはデータ分析ビジネスの問題を解決できる貴重な手段だと思えました。」

機械学習が自動化される世界が来れば、データサイエンティストの役割も変わっていきます。今、天野は自らプログラムを書くことはほとんどありません。課題を見つけて、解決のシナリオを見つけることが主な仕事になっています。予測モデルを作るという仕事は代替されていきますが、上流の業務は機械で代替することが不可能で、今後も人間が必要とされる領域だと天野は考えています。そして、機械学習が当たり前になれば世の中で爆発的に広がり、マーケットは大きく拡大するでしょう。

天野 「DataRobotは単体で完結するものではなく、結局は総合力が重要です。業務課題を分析問題に落とし込むコンサルティングや、データをマネジメントするソリューション、クラウドの基盤なども必要になるでしょう。その点において、総合力に優れたNTTデータがDataRobotを扱う意義があると考えています。」

DataRobotは主に数値データを扱う製品ですが、AIや機械学習には画像分析や最適化といった複数の領域が広がっています。他の領域において、まだDataRobotと同等のソリューションは存在しないと天野は考えています。

天野 「これから画像分析や最適化などの領域でも新しいソリューションが生まれていくことでしょう。DataRobotのように革命的な製品をいち早くキャッチして、世の中でAIを爆発的に広めたいですね。」

ワクワクを抑えきれないような表情で、天野は未来を語ってくれました。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです