データスペースとは
経営課題の解決や市場競争力の向上において、データの利活用は欠かせないものとなっています。組織内でデータを適切に管理し利活用していくのはもちろんのこと、近年では、組織が保有するデータを組織外の必要な相手と共有することで、業界や社会としての課題解決や付加価値創出を目指す動きが活発化しています。
データスペースとは、複数の組織が互いに信頼性を確保しながらデータを自由に流通させるための制度と、それを実現する技術を組み合わせて基盤を構築し、新しい経済・社会活動のための空間を形成する取り組みです。データスペースは、1つのシステムにデータを集約管理するのではなく、複数の組織が持つシステム同士を繋げる仕組みを提供します。これによりデータ提供者の「データ主権」を確保し、データ利活用を促進します。
NTT DATAは、これまで培ってきたデータ利活用のノウハウと業界横断的な協調プラットフォームの構築・運用の実績を基に、様々な国や産業でのデータスペースの社会実装に向けた取り組みを行っています。
データスペースの社会実装に向けたNTT DATAの活動
01共創活動を通じたユースケースの創出
データスペースは、業界団体や関連する様々なステークホルダを巻き込んで構築していきます。
NTT DATAは、業界・組織間のデータ連携に関する課題をお客さまと共に可視化します。
どのような役割を持つデータスペースを構築すれば良いか、ニーズを探索し、構築から運用まで包括的に支援します。
02企業間データ連携を実現する技術開発
様々な組織が参加し、データの連携や活用が安全かつ活発に行われる社会を実現するために、4つの特性を重視した技術開発を行っています。
- 接続性:
- 様々な企業のシステム同士が繋がり、必要なデータを必要な相手と授受できる
- 信頼性:
- 企業が互いに真正性を確認し、データの使途を合意した上でデータを授受できる
- 秘匿性:
- 各企業の機密を守ったままデータを活用できる
- 可搬性:
- 各企業が持つデータを偏在したまま仮想的に統合して利用できる
03異なる基盤(制度・技術等)との相互連携実現に向けた活動
異なる制度や技術のもとでデータ連携を行う企業同士が、相互にデータを交換できるようになるためには、技術仕様の標準化が重要です。
NTT DATAでは、それらの技術仕様の一つであるコネクタの標準化活動に参画し、相互運用性の確保に取り組んでいます。
ユースケース
データスペースはデータ連携を通じて業界・組織間の課題を解決します。
例えば、以下のようなユースケースがあり、お客さまの業界課題に合わせて幅広くサポートできます。
トレーサビリティ
製品のライフサイクル全体でCO2排出量や資源リサイクル率などを開示するにあたり、サプライチェーン上の企業間でデータを連携
需給最適化
複数のステークホルダが持つデータを、供給サイドと需要サイドで互いに秘匿しながら収集・分析することで最適な需給調整を実現
取り組み事例
異なる基盤(制度・技術等)との相互連携実現に向けた活動
データスペース黎明期から、各国・各業界がデータ連携の在り方を模索する中で、仕様が異なるコネクタが生まれてきています。データスペースが相互に繋がるためには、プロトコル、データモデル、認証情報などの標準仕様を定め、各データスペースがそれに準拠していく必要があります。
Thought Leader
データスペースに関する知識や経験を持つ人材が、お客様とともに企業間データ連携やデータ利活用に関わる課題解決を支援します。
技術革新統括本部 Innovation技術部
IOWN推進室
シニア・スペシャリスト 土橋 昌
グローバルデータ連携基盤に関する
ホワイトペーパー(2023年度版)を公開
- グローバルデータ連携基盤のあるべき姿と取り組み事例
- より安全で効率的な企業間データ連携の実現に向けた技術開発の取り組み
- IOWN技術のデータ連携基盤への応用
お知らせ
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2024年8月2日
株式会社NTTデータグループ トピックス
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2024年7月23日
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2023年11月13日
株式会社NTTデータグループ トピックス
レポート&コラム
2024.7.4
売れる製品を創るデータ分析と見積改善 ~顧客心理の変化を捉える、見積業務改善の効果創出方法~
Summary · 個別受注生産型企業の課題の1つとして、見積業務の非効率および商談の機会損失の見過ごしがある · 個別受注生産型企業の見積業務の問題点は、“直列的な都度作業ありきのプロセス” である · CPQツールを活用して売り方(販売仕様と価格)を標準化することで、見積業務のリードタイムのみならず、顧客の本当のニーズ(暗黙知)の把握も可能となる · 見積業務改善プロジェクトのポイントは「見積情報の適切なモジュール数定義」、「見積情報の運用ルール整備」、「見積BOMとE/M-BOMシステム連携」である
コンサルティング データスペース 製造
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2024.4.5
企業間データ連携の安全性を高める秘匿処理技術
各企業において自社のデータと他社のデータを組み合わせて新たなビジネス価値を創出するニーズが高まっている。企業間データ連携では、自社のデータを他社に共有する必要があることから、漏洩や不正利用を防ぐなど安全性を担保する技術が求められる。本記事では、データを安全に利活用する既存技術を紹介するとともに、NTT DATAが研究開発に取り組む「秘匿処理技術」について解説する。この技術は、複数の企業が保有するデータやデータの計算処理を行うアルゴリズムを、他の企業に対して秘匿しながら処理できるようにするもので、その活用イメージについても説明する。
データスペース
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2024.2.16
日欧データスペース最新動向 ~2023カンファレンスから見えてきた日欧の比較と今後の展望~
「データスペース」は、企業や組織をまたがる安全なデータ流通を実現するデジタルインフラ構想である。社会課題の解決や付加価値の創出を目的として、さまざまな産業界で生成されるデータを安全に必要な相手に共有できる仕組みを整える活動が、欧州や日本で推進されている。本稿では、データスペースの構想に取り組む主要な団体により開催された2023年のカンファレンスにおける、データスペースの社会実装に向けた議論の最前線を紹介し、今後の展望を考察する。
データスペース サステナビリティ
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2023.11.21
国内の議論も進む企業間データ流通インフラの実現構想 ~ウラノス・エコシステムが目指す国内産業界のデータ連携基盤~
企業や組織を跨る安全なデータ流通を実現するデジタルインフラ構想である「データスペース」は、欧州内の様々な産業界を中心に、その実現に向けた活動が推進されている。日本国内でも、企業間データ流通による社会課題解決と付加価値創出を目指して、産官学の連携によるプロジェクトが発足し、急速な進展を見せている。ウラノス・エコシステムと名付けられたこのプロジェクトについて、本稿では、アーキテクチャ構想を中心に、NTT DATAの見解と取り組みもまじえて紹介する。
データスペース サステナビリティ
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2023.10.30
データスペース技術動向 ~Eclipse Dataspace Components(EDC)とDataspace Protocol~
近年、企業・業界をまたぐデータ連携のための「データスペース」に注目が集まり始めている。本記事では、データスペースに接続するために用いられるコネクタのうち、オープンソースソフトウェアのEclipse Dataspace Componentsコネクタの概要と、それに採用されているWeb技術を用いたデータ連携の仕様であるDataspace Protocolの概要を紹介する。
データスペース
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2023.1.25
企業間データ連携のためのUsage Control技術
企業間のデータ連携では不特定多数の相手や競合相手と連携することもあるため、適切な管理が必要である。本記事ではデータ連携における探索・発見、合意形成、利用制御の考え方を説明し、データのUsage Control技術に関連するオープンソースソフトウェアを紹介する。
オープンソースソフトウェア データスペース
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