NTT DATA

DATA INSIGHT

NTT DATAの「知見」と「先見」を社会へ届けるメディア

キーワードで探す
カテゴリで探す
サービスで探す
業種で探す
トピックで探す
キーワードで探す
カテゴリで探す
サービスで探す
業種で探す
トピックで探す
2025.3.14業界トレンド/展望

連載:テクノロジー×サステナビリティ(7)ホワイトペーパー ~メタバース・デジタルヒューマン~

近年、サステナビリティへの関心、重要性は高まり続けている。一方で、普段携わっている業務や技術がサステナビリティにどのように結び付くか、うまくイメージしきれない方も多いのではないだろうか。そのような課題に対してNTT DATAでは、「普段業務で活用している技術がサステナビリティにどのように関連するのかを知り、サステナビリティをより身近に感じること」を目的として、技術×サステナビリティホワイトペーパーを作成した。
2024年度、全10個の技術テーマについてホワイトペーパーを発信予定である。今回はメタバースとデジタルヒューマンに関連する国内外のトレンドや事例を紹介する。
目次

メタバース・デジタルヒューマンの概要

近年、サステナビリティへの関心が高まり、サステナブル投資は主流となっています。一方で、普段の業務や技術がサステナビリティとどのように結びつくのかをうまくイメージしきれていない方も多いのではないでしょうか。
この連載では、「技術」観点で、テクノロジー×サステナビリティのトレンドや具体事例などを紹介します。全10個の技術テーマを取り上げる連載予定であり、今回はメタバースとデジタルヒューマンに注目します。
メタバースとは、インターネット上の仮想空間で人々がリアルタイムで交流したり、ビジネス活動を行ったりするデジタル空間のことです。近年ではマーケティングやリモートワークの環境構築などに活用されています。

図1:メタバースの例(NTT XR Coworking)(※1)

デジタルヒューマンは、AIと3Dアバターに高度な言語処理を組み合わせることで、人間のような特徴や自然なコミュニケーションを可能とする技術です。特に日本では労働人口減少に対応するため、長時間労働や多言語対応が求められる業務に期待されています。

図2:デジタルヒューマンの例(Pearl)(※2)

メタバースとデジタルヒューマンは、共に仮想空間でのインタラクションを提供する、という点で共通点があります。企業は業務効率向上や人手不足の解消を目的として、メタバースやデジタルヒューマンを積極的に導入し、顧客対応などに役立てています。また、これらの技術は「質の高い教育をみんなに」、「働きがいも経済成長も」などのSDGsの目標達成にも貢献すると考えられます。しかし、これらの技術の利活用には環境負荷が伴い、特に多くの計算資源や電力を消費します。そのため、再生可能エネルギーの利用やエネルギー効率の向上が求められています。
本記事では、これらの技術とサステナビリティをかけ合わせた時にどのようなトレンドや事例があるのか、それぞれ具体的に見ていきたいと思います。

(※1)メタバースってどうなの?ビジネス活用の期待と課題

https://www.nttdata.com/jp/ja/trends/data-insight/2022/1004/

(※2)FIBA Basketball World Cup 2023のフィリピン会場でデジタルヒューマンを使ったファン体験を提供

https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2023/082500/

メタバースのトレンド

2022年のメタバース市場は世界で461億ドルと評価され、2030年には5,078億ドルに達すると予測されています(※3)。国内市場も、2022年の7,812億円から2028年には3兆8,085億円に成長すると見込まれています(※4)
VR・AR技術などの進化によりメタバース市場はさらに拡大し、企業は仮想空間で新たなショッピング体験を提供すると予想されています。これにより、仮想経済が成長し、企業と消費者に新たな機会が生まれるでしょう。技術の進化により、メタバースは社会や経済にも大きな影響を与えると考えられています。
また、メタバース技術はエンターテインメント、ビジネス、教育など多方面で活用が進んでおり、サステナビリティへの貢献も期待されています。仮想空間でのイベントや教育活動は物理空間と比べると、エネルギー消費やCO2排出の削減に繋がるとされています。

(※3)総務省 令和6年版 情報通信白書 情報通信分野の現状と課題/メタバース

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/nd217520.html

(※4)NRIメディアフォーラム 「ITナビゲーター2030年版」 デジタル化促進によるICT・メディア市場の変革~市場や社会の変化に対し、企業はどう備えるべきか?~

https://www.nri.com/content/900032367.pdf

NTT DATAのメタバース×サステナビリティにおける取り組み

NTT DATAでは、ビジネス活用に繋がるメタバースソリューションをいくつか提供しています。そのうちの一つとして、風力発電設備の作業員トレーニングに関する事例があります。電力会社にとって作業員の安全確保のために高所作業トレーニングは不可欠ですが、物理的なトレーニングには制約があり、従業員を危険に晒す恐れがあります。さらに、繰り返しのトレーニングには費用や拡張性の課題もあります。NTT DATAはリスクを排除し、コストを抑えながら繰り返しトレーニングを実施できるVRソリューションを提供しています。

デジタルヒューマンのトレンド

次に、デジタルヒューマンのトレンドについても見ていきましょう。世界のデジタルヒューマン市場の規模は2024年に102億2,000万ドルと評価され、2033年までに2,238億8,000万ドルに達すると予想されています(※5)。技術の進歩とパーソナライズされたインタラクションへの需要の高まりにより、大幅な成長を遂げると予想されており、BFSI(=銀行、金融サービス、保険業界)、教育業界、小売業界、医療業界といった、様々な分野で活用が進められています。
デジタルヒューマンは、少子高齢化対策にも貢献できる技術の一つです。特に少子高齢化が進む日本では、少ない労働力をどのように補っていくかがポイントとなっており、IT技術の活用が必要不可欠だと考えられます。デジタルヒューマンは接客業やカスタマーサポートに導入され、24時間対応や多言語対応を可能にします。これにより、限られた人員で多くの顧客対応ができ、サービス業の負担を軽減できると考えられます。このように、デジタルヒューマンをはじめとするIT技術の活用は限られた労働力を最大限に活用するための重要な手段となり、今後の労働市場を支える力となるでしょう。

では、デジタルヒューマンとサステナビリティにはどのような関連性があるのでしょうか。

教育分野では、個別指導やオンライン授業の支援を通じて学習機会が広がり、特に言語学習や発音練習で仮想教師による実践的なスキル向上が期待されます。
医療分野では、遠隔医療やカウンセリング、リハビリ支援を通じて患者は自宅で高品質な医療サービスを受け、医療施設の負担が軽減されるでしょう。また、医療従事者のトレーニングやシミュレーションで人手不足が解消され、リソースの無駄を減らすことができます。
ビジネスでは、ルーチン業務やカスタマーサポートをデジタルヒューマンに任せることで、人的リソースが高度な業務に集中でき、生産性向上が期待されます。さらに、オンラインサービスによりインフラへの依存が減り、資源消費の削減も図れます。

これらの例からわかるように、人間のような特徴や外見を持ち、自然なコミュニケーションが可能な技術としての進化にとどまらず、サステナビリティを推進する重要な手段として、環境負荷の軽減や教育・医療分野での質の向上を実現することが期待されています。

(※5)Business Research Insights デジタル ヒューマン アバター市場規模、シェア、成長レポート、2033年

https://www.businessresearchinsights.com/jp/market-reports/digital-human-avatar-market-113075

NTT DATAのデジタルヒューマンにおける取り組み

それでは、NTT DATAがデジタルヒューマンにおいてどのような取り組みを行っているのかご紹介します。
NTT DATAはデジタルと人間の最適な融合を支援するプラットフォーム「PARSONII(旧it.human)(※6)」を展開しています。

図3:PARSONII(※7)

ユーザーはPARSONIIを個人の端末から利用することも可能で、プログラミング修正機能により、柔軟に様々なユースケースを生み出すことができます。

(ユースケース例)

  • ヘルスケア-在宅ケアにおける状況把握や薬の飲み忘れの防止
  • 小売業-店舗情報や関連する売り場への道案内
  • 観光-ナビゲーションや情報提供などを行うポータブルガイド

PARSONIIを活用した例として、NTT DATAは2023年の全英オープンゴルフにAI搭載のデジタルヒューマン「Lottie(ロティ)」を導入しました。Lottieは双方向のコミュニケーション体験を提供し、来場者と対話をしながら様々な情報を提供しました。
またKrifa社はAIを搭載したデジタルヒューマン「Aida(アイーダ)」を導入し、よくある質問への回答や管理業務の一部を自動化しました。これにより、受付スタッフは別の業務に移行でき、仕事の満足度が向上し、顧客サービスのスキルが効率的に発揮されるようになりました。
詳細についてはこちらの記事(※8)をご覧ください。

(※6)Digital Human Platform - PARSONII

https://parsonii.bynttdata.com/en/product/solution-brief/

(※7)PARSONII - Your digital human platform

https://parsonii.bynttdata.com/en/

(※8)全英オープンゴルフでも導入!顧客体験を変えるデジタルヒューマンの「おもてなし」とは

https://www.nttdata.com/jp/ja/trends/data-insight/2023/0711/

最後に

テクノロジー×サステナビリティと題して、連載の第7回ではメタバースおよびデジタルヒューマンの各技術とサステナビリティとの関係について解説してきました。本記事で紹介した内容の詳細に加え、ホワイトペーパーでは他社での事例などについてもまとめています(※9)(※10)
冒頭でも述べた通り、これらの技術の活用は業務効率の向上や人手不足の解消に特に効果があり、「働きがいも経済成長も」などのSDGsの目標達成に貢献することができるでしょう。一方で、これらの技術の利用には多くの計算資源や電力を消費するため、今後再生可能エネルギーの利用やエネルギー効率を向上させることも重要な目標となってきます。 技術の利活用においては、業務効率化や新たなビジネス機会の創出に着目するだけでなく、環境負荷の低減にも配慮し、「持続可能な社会」を目指すことが重要です。

図4:ホワイトペーパーの構成(メタバース)

図5:ホワイトペーパーの構成(デジタルヒューマン)

NTT DATAでは、「普段業務で活用している技術がサステナビリティにどのように関連するのかを知り、サステナビリティをより身近に感じること」を目的として、全10個の技術テーマについてホワイトペーパーを公開予定です。
次回以降、ブロックチェーンやデータ連携基盤といったテーマについて取り上げる予定です。ご期待ください。

(※10)デジタルヒューマン×サステナビリティ ホワイトペーパー

https://www.nttdata.com/jp/ja/-/media/nttdatajapan/files/services/carbon-neutral/carbon-neutral-wp-20250306-digitalhuman.pdf

お問い合わせ