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2025.4.14

J.フロント リテイリング株式会社様導入事例

グループの会計システムをBiz∫で統一 ~拡張性と流動性の高い会計基盤を構築~

導入前の課題
  • ・非効率・属人的な業務プロセスが残存しており、柔軟な働き方に対応できる仕組みが構築できていない
  • ・グループ内に異なる会計システムが複数併存していて、グループ全体で最適な業務標準化・効率化が進んでいない
  • ・損益思考だけでなく収支思考も定着化させ、未来志向の経営・財務マネジメントを実行する経営管理基盤を強化したい
導入効果
  • ・Biz∫のパッケージ標準機能にグループ全体の業務を合わせることで、会計処理業務の全体最適化・改革を実行。人財リソースの高付加価値業務へのシフト、ジョブローテーションによる人財育成、シェアードサービスによる集約化・効率化が端緒についた
  • ・改革の成功体験をもとに、「新しい発想を取り入れる」「自分で考えて行動する」という組織風土が浸透
  • ・Biz∫と連動するEPM/BIツールにより、ROICを軸とした業績管理の手法が体系的に仕組み化されるとともに、資金繰り管理や資金予測の支援も可能に

Biz∫導入事例 J.フロントリテイリング株式会社(05:59)

「Biz∫」導入経緯

--貴社の事業についてお聞かせください。

大谷様:
J.フロント リテイリングは「くらしの『あたらしい幸せ』を発明する。」というグループビジョンのもと、百貨店の大丸や松坂屋、都市型商業施設のPARCO、ラグジュアリーモールのGINZA SIXなどを傘下に持つ純粋持株会社です。
グループ内に複数のリテール業態を有し、それぞれコンセプトやお客様層が異なる点が弊社の特徴です。互いのノウハウ、資産を活用して相乗効果を高めていけることは、他にはない大きな強みであると考えています。
一方で、リテール一辺倒からいかにウイングを広げてポートフォリオ変革を進めていくかが経営テーマでもあります。そのため、財務・システム戦略として投下資本収益性の管理強化やグループ会計システムの統一を目指しました。

--Biz∫の導入に至った経緯、以前抱えていた課題についてお聞かせください。

大谷様:
弊社グループの成り立ち・経緯もあり、複数の会計システムが併存する状況だったため、まずはグループの仕組みを統一したいといったニーズがありました。 また、長年にわたりそれぞれの会計システムで個別最適化を進めてきたこともあり、ベテランユーザーによる属人化が顕著でした。このような状況下ではグループ全体のポートフォリオ変革への対応が難しく、また、ジョブローテーションのハードルが上がることで財務経理の業務を様々経験し人財価値を高めてもらうといった機会が限られてしまう状況にあったのです。
そんな中、システム老朽化によりリプレースが求められていたこともあり、2021年4月にグループ全体の業務最適化と経営基盤の刷新につながるITソリューションの導入プロジェクトが始動しました。

検討フェーズについて

--プロジェクトの検討フェーズでは、どのような点を考慮していたのでしょうか。

大谷様:
システム自体の老朽化が待ったなしの状況だったので、まずはスケジュール通りに新システムをカットオーバーさせることがミッションでした。そのうえで念頭に置いていたのは、働き手自体が先細りしていく社会状況の中で、いかに次世代人財へバトンを渡していくか、限りある人財リソースを付加価値の高い業務にシフトさせていくか、の二点です。
これを実現するため、今回プロジェクトでは「システムに業務を合わせる」ということを大前提に置きました。ERPパッケージに組込まれたベストプラクティスな業務を利用することが課題解決への近道だと考え、これを手段に経理業務をグループ全体最適の観点で共通化することで、シェアードサービスによる効率化・品質向上、それから人財育成や人財価値の向上へとつなげたい、ということを考えておりました。

--ERPパッケージであるBiz∫を選定した理由についてお聞かせください。

大谷様:
「システムに業務を合わせる」ことで改革を実行していく方向性を見据え、Biz∫は弊社の業務要件に対するパッケージとしての適応度が高かったことにまず惹かれました。また、画面の見やすさ、操作入力のしやすさ、運用保守の面も優れていました。

導入ベンダー

--導入プロジェクトはNTTデータが実施しましたが、決定した決め手をお聞かせください。

大谷様:
「システムに業務を合わせる」改革に向かって現実を見ながら寄り添ってくださるのか、一緒に汗をかいて伴走してくださるのかを見極めさせていただきました。その点、NTTデータは担当者の人柄含め好感を持てたほか、プレゼン時の熱量・傾聴力・的確な応対力も優れていました。
選定の段階から、今回のプロジェクトは何年もかかる大仕事になることはわかっていましたので、最終的に重要視したのは「誰と一緒に仕事していきたいか」という観点です。システム老朽化リスクが高まる中で目指すべき姿に向けスケジュールどおりにプロジェクトを推進していくためのパートナーとして、プロジェクトメンバー総意で決定したのがNTTデータでした。

--NTTデータの提案内容に対して、どのような感想をお持ちになったのでしょうか。

大谷様:
NTTデータの提案は、グループ共通の会計システムとしてBiz∫の標準機能を最大限活用することで効率化を図り、加えてAI-OCRソリューションRobotaを組み込むことで伝票入力作業の省人化も目指していました。さらにそこにEPM/BIソリューションであるBoardを加え、資金管理・業績管理情報を体系的に仕組み化することが可能な会計・経営管理基盤を構築していました。
弊社のRFPに対し、それぞれのソリューションを上手に組み合わせた提案をいただけたと感じています。

導入過程

--導入はどのように進んでいったのでしょうか。

大谷様:
まず、アドオン開発をどれくらい行うかについて、多くの議論を重ねました。カスタマイズやアドオンを繰り返してきた結果、個別最適化が進んでしまった旧システムには、ベテランユーザーにとって便利な機能が少なくありませんでした。しかし我々が求めていたのはBiz∫の標準機能を活用した業務改革です。現行踏襲になりがちな現場意見との狭間で苦労しましたが、皆が使いやすい会計システムを求め、本質的、大局的、中長期的な観点でアドオンの是非を決めていきました。
またBoardに関しては、「会社のポートフォリオが変わっていく中で経営管理のあるべき姿はどのようなものなのか」「経営管理指標の中心であるROIC(投下資本利益率)に寄与するためには、どのようにBoardを使うと効果的なのか」といったところから議論しつつ、開発を進めました。単に実績や予算のデータを収集してグラフィカルなレポーティングを行うだけでなく、資金繰り管理や資金予測の支援、分析ニーズに対応したセルフレポーティング機能など、多岐にわたる業務要求とともに、NTTデータの担当者とともにアジャイル的な手法で導入を進めていきました。

本稼働後の効果

--導入後、現場からはどのような意見が寄せられたのでしょうか。

大谷様:
電子ワークフローによってペーパーレス化が実現し、テレワークが可能になった点を評価する声が上がってきています。一方で一部からは「業務負担が改善された実感はない」という声もありましたが、逆に言えば「業務負担が大きく増えることなくBiz∫によるベストプラクティスなグループ標準業務へ移行できた」と捉えることもできると思っています。
これは、NTTデータと進めた業務プロセス改革の結果であるとともに、Biz∫のパッケージが弊社業務に適していたこと、そもそもBiz∫自体が使いやすいことに由来するものであり、早期に現場レベルから習熟が適った賜物であろうと見ております。

--EPM/BIツールであるBoardに対しては、どのような感想をお持ちでしょうか。

大谷様:
今回の取組みで、ROICを軸とした業績管理の手法が体系的に仕組み化されました。Boardにより、PL(損益計算書)だけでなく、BS(貸借対照表)、CF(キャッシュフロー計算書)も一連で、かつグラフィカルに見ることができるようになりましたので、これを活用することで、グループ全体で経営管理のあり方が大きく変わっていくものになると期待しています。
一方、ROIC向上への取り組みはトライ&エラーを繰り返しながら一歩ずつアップデートしていく想定なので、Boardによって構築した管理手法も継続的に改善し、引き続き企業価値向上に向けて努力していきたいと考えています。

--RobotaによるAI-OCRに対しては、どのような感想をお持ちでしょうか。

大谷様:
AIは学習すれば学習しただけ優秀になるものです。事前に履歴情報として3万件ほどのマスター登録を行うなどの泥臭い作業を重ねたこともあり、文字の読取率に大きな不満はなく、100点とは言えませんが、実務に耐えられるレベルにあります。ただし現時点では、伝票入力項目に人間による考察や判断が必要な箇所がいくつか見受けられ、自動起票による効率化にまでは至っていないのが実情です。
今後は生成AIなども活用しながら改善を重ね、大きな成果につながる仕組みに発展させたいと考えています。

将来展望

--今後、Biz∫を活用してどのような展開をお考えでしょうか。

大谷様:
今回のプロジェクトによって、グループ標準の業務プロセスが実現しました。現在はこれをもとに「経理に関する業務と人財を、シェアードサービスセンターに集約化する」構想を進めています。 そのうえで、中長期的には生成AIなどの先進的な技術を活用しつつ、抜本的な手法、あるいはシェアードサービスセンターの役割の再構築も含めて、全体最適化、効率化への挑戦を続けていきたいと考えています。
ただその中でも忘れてはいけないのが、「人財を育てて次世代へバトンを渡していく」という視点です。バックオフィス業務を改革するにしても、その旗を振っていくのは人です。今後も継続的に、人財を育てる取り組みを進めてまいります。

企業紹介

J.フロント リテイリング株式会社

2007年、大丸と松坂屋ホールディングスの経営統合によって設立。百貨店、パルコ、GINZA SIXなどを運営する小売業を核に、デベロッパー事業、決済金融事業の拡大、eスポーツ事業、リユース事業などの新規領域への参入を推進し、持続的な成長を目指す。「感動共創・地域共栄・環境共生」を掲げ、グループシナジーの最大化に取り組んでいる。
https://www.j-front-retailing.com/

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