- 導入前の課題
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- 限られた期間・体制で新たな会計システムへの移行に取り組む必要があった
- 帳票の多くを紙で運用していたため非効率だった
- 経営管理の質向上のため、財務データ活用の基盤整備が必要だった
- 導入効果
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- 短期間での切り替えと機能拡張の自由度確保
- 帳票の電子化などによる経理業務の自動化・効率化
- 迅速な情報収集と情報の見える化を実現
導入前の課題
--貴社の事業概要についてお聞かせください。
金濱 氏:当社は発足以来、産業向け・再生可能エネルギー向けシステムの販売・エンジニアリング、パワーエレクトロニクス機器・回転機(モータ・発電機)の開発・製造を通じ、産業・社会インフラの発展を支えてきました。設立20周年を迎えた2023年を機に、2030年に向けた新たな成長戦略「Growth20」を掲げ、カーボンニュートラル実現に向け新たな挑戦を開始しています。
当社の強みは、電気を作る、送る、使う、変換する、貯める、支えるなど、エネルギーを扱うすべてのプロセスに向けてさまざまなソリューションを提供できることです。設立20周年を迎え、今後も新たな分野、事業に携わっていくことで、さらなる成長を目指していきたいと考えています。
--Biz∫導入以前の会計システムにおける課題についてお聞かせください。
金濱 氏:これまで使用していた従来の会計システムにはさまざまな業種・業態に対応できるという高い汎用性はありました。
しかし、事業の規模や分野の拡大、海外展開の拡大の中で、会計に求められる役目も変化する一方で、従来の会計システムに対し個々の会社の事情に合わせた改修は難しく、独自機能などの追加も難しい状況でした。
当社は、電気設備、大容量モーターなどの多種多様な設備・機械だけでなく、システム関連のソフトウェア開発や他社製品と組みあわせたソリューションなども扱っており、製品ごとに経理処理も異なります。100を超える国や地域に製品等を提供しており、経理処理は設立当初に比べてかなり複雑になっていました。
また、遅滞なく改革を進めるためにも、限られた期間・体制で新たな会計システムへの移行に取り組む必要があり、失敗することは絶対に許されないプロジェクトでした。
選定理由
-Biz∫の導入に至った経緯、課題についてお聞かせください。
金濱 氏:当社は2021年11月に新経理情報システム推進グループを立ち上げ、新システム導入に向けて活動を開始しました。その後、コンペによるベンダー選定を経て新たな会計システムとして選んだのが、NTTデータ・ビズインテグラルのERPパッケージ「Biz∫」です。
Biz∫を選んだ理由としては、以前の業務を分析し、当社の会計システムに必要な業務・機能のリストを作成して比較した結果、Biz∫は非常に高い適合率を示したことが挙げられます。
さらにBiz∫は、多くの業界・業種での導入実績があり、特に大企業での実績があったことが目を引きました。また会計業務だけでなく、人事・労務や資材調達、販売管理などの多種多様なシステムとの連携についても実績が豊富で、そこも当社の要件にマッチしたシステムだと感じました。
--導入プロジェクトはNTTデータが実施しましたが、決定した決め手をお聞かせください。
金濱 氏:NTTデータには、他社事例でTMEICと同じ会計システムからBiz∫への移行を成功させたという実績がありましたし、経理業務に対する豊富な知見を感じました。また、当社と同じシステムからBiz∫への移行を成功させた経験もあり、そのノウハウも今回の更改プロジェクトに活かしてもらえるという期待もありました。
--本プロジェクトの成功要因についてお聞かせください。
金濱 氏:当社としては、これだけ大掛かりな自社独自のシステムを導入するのは初めての経験でした。しかもプロジェクトの専任メンバーは一人だけで、ほとんどが本来の業務と兼務する形で参加していたのです。期間、体制が限られた中で私が取り組んだのが、全体の取りまとめです。タスクを細分化し、スケジュールを綿密に管理することで、一致団結して最大限の成果が出せるようにと努めました。
北田:前システムは使用可能な期限が決まっており、プロジェクトが遅延することは許されない状況でした。決められた期限までに新システムを稼働させるため、TMEIC様とは期日までにカットオーバーするという目標を共有していました。プロジェクト推進に注力できるために心がけたのが、先回りして提案しようという点です。会議で「持ち帰って検討する」ようなことを避け、先を予測して早めに提案することで、少しでもプロジェクトを前に進めていきました。
新しい会計システムは、Biz∫を中核とし、一般会計、債権管理、債務管理、管理会計、資産管理、さらにフロントとして旅費精算などの機能を持つものとなりました。さらに、分析ソリューションである「Tableau」を用いて、財務データを自由に活用できる仕組みも加えています。
上記に加え、TMEIC様の事業の中心は個別受注生産であるため、それぞれにかかった原価を会計上で正確に把握する、取引先の業態に合わせた処理をするなどの機能が必要でした。
個別受注生産の会計面での管理に必要な機能を搭載するために、Biz∫が持つ機能を最大限に活かしつつ、必要に応じてアドオンやカスタマイズの実施、運用面での解決等の対策を講じていきました。
本稼働後の効果
-Biz∫の導入後、どのようなメリットがありましたか。
金濱 氏:2024年4月に新たな会計システムが稼働しましたが、業務としてもっとも変わった点は会計・経理業務の完全電子化を実現したことです。
証憑の保存・帳票の発行・承認ワークフローや入金・支払業務にいたるまですべてをシステム上で処理することが可能になりました。これは経理部門にとどまらず、全社としても大きな改革といえます。また帳票も電子データとして保管できるようになり電子帳簿保存法への対応、そしてインボイス制度への対応も実現しています。
また、Biz∫が国産ERPであることもあり、使いやすさの点でも評価しています。日本の経理を理解している経理担当者にとって直観的に操作しやすく、違和感が少なく使用できるシステムという印象を受けています。すべてのデータを常に貸借形式で捉えられ、仕訳の登録・照会画面では1画面で表示でき、途中で画面遷移する必要もなくなり、情報の視認性が高くなったように感じます。そのため仕訳や取引がトレースしやすくなりました。社内でも、経理部門、各事業部門の入力担当者の作業をかなり短縮できたという声が上がっています。
分析ソリューションのTableauも利用し始めており、現在は帳簿残高の確認や計上明細の確認、事業別・部門別の業績管理などに活用し始めたところで、将来的にはポートフォリオマネジメントの強化、投資判断や経営計画の策定にも活用していくことを計画しています。
また旧来の共通会計システムから離脱し、自社独自のシステム構築により、自分たちの意思で機能拡張等を実施できるようになりました。将来的な事業拡大や環境の変化等に対応可能な仕組みの一つを作れたと感じています。また運用も当社の意向で進められるようになりました。例えばメンテナンスの時間。システムを停止する時間を当社の意向で決められるようになったことも大きな改善点です。
将来展望
--今後、Biz∫を活用してどのような展開をお考えでしょうか。
金濱 氏:発足当時に比べ、TMEICの事業規模や携わる領域は大きく広がっています。そのさらなる発展を支えるために、財務会計領域だけではなく管理会計領域の強化も求められています。昨今の変化が著しい事業環境の中で管理機能の強化・高度化を図るためにも、Biz∫による業務の効率化や利便性の向上には大きな期待を持っています。
そのうえで経理部門が、社員一人ひとりの業務効率化、付加価値向上に貢献することで、TMEIC全体の事業成長に貢献していきたいと考えています。
ビジネスのグローバル展開を進めているTMEICでは売上の内外比率も変化しており、近年では海外の現地法人の売上高がTMEICグループの5割程度に上っています。刻々と変化する市場の中でお客様のニーズに応えるためには、プロジェクトを多面的に評価し、いかに業績管理を徹底するかが重要になります。そのためにも、経理部門としては経営にとってより役立つデータを提示していかなければいけません。それを実現させるために、NTTデータとBiz∫にはより一層の協力をお願いしたいと考えています。
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