携帯電話の赤外線通信機能を利用した、クレジットカード決済試行サービスのシステム構築について、韓国HAREX(ハーレックス)社と提携

ニュースリリース/NTTデータ

2003年4月10日

株式会社NTTデータ

 (株)NTTデータは本日、携帯電話の赤外線通信機能を利用したクレジットカード決済試行サービスのシステム構築について、韓国のHAREX InfoTech(本社:ソウル 代表理事社長:Park, Kyung-Yang、以下ハーレックス)と技術提携することに合意しました。
 ハーレックスは、韓国において平成14年4月に世界で初めて赤外線通信機能を利用したクレジットカード決済システムを構築しており、NTTデータは、本技術提携に基づき日本国内で同システムを構築、国内のクレジットカード会社、通信キャリアに幅広く賛同を呼びかけて、平成15年度上期中に赤外線通信機能を利用したクレジットカード決済システムの試行サービスを開始し、平成16年度内の商用化を目指します。

【背景】
 ここ数年、インターネット接続や、赤外線通信機能などを有する多機能携帯電話の普及にともない、これらの移動端末を利用した新たなビジネスチャンスの可能性が広がっています。このような中、クレジットカード業界においては、多機能携帯電話にクレジットカード機能を持たせ、クレジットカード決済処理をカードレスで行うシステム開発の動きが活発化しており、平成14年1月にビザ・インターナショナルが赤外線を利用した近距離データ通信の技術仕様として「Visa近接通信支払用金融情報仕様※1」を規定、また同年4月にはハーレックスが韓国で世界初の商用化システムを構築、ソウル市や城南市などに赤外線通信機能に対応した決済端末を約4,000台設置し、実サービスを開始しています。
 また日本ではすでに赤外線通信機能を内蔵した携帯電話機が800万台利用されているなど、携帯電話の赤外線通信を用いたクレジットカード決済サービスの下地が整ってきています。

【技術提携内容】
 今回の技術提携により、NTTデータはハーレックスの韓国における同サービスのシステム構築・運用のノウハウを得ることができます。これにより、国内におけるシステム構築の効率化と早期構築を実現すると同時に、国内で利用している携帯電話に搭載したクレジットカード機能が、海外のシステムでも使用可能というような国際的な互換性の確保を目指します。
 ハーレックス社は、今回のNTTデータとの提携を、同社の日本以外での海外展開の足がかりとします。また、日本で利用される同サービスへの技術提供を行うことにより、日本と韓国での同サービスの互換性を実現し、韓国でのビジネス拡大につなげたいと考えています。

【システム概要】
 NTTデータが今後構築するシステムは、赤外線通信機能を持つ携帯電話にあらかじめクレジットカードデータを持たせることにより、携帯電話をクレジットカードと同様に使用し決済することを可能にします。
 具体的には、携帯電話に利用者のクレジットカード情報やアプリケーションを組み込み、加盟店舗に設置した赤外線対応のクレジットカード決済処理端末との間で赤外線通信によりオーソリゼーションに必要なカード情報などをやり取りします。加盟店舗からクレジットカード会社への通信は、NTTデータのカード決済ネットワークINFOX-NET®(インフォックスネット)※2を使用します。赤外線通信については、「Visa近接通信支払用金融情報仕様」に準拠します。
 携帯電話へのクレジットカード情報やクレジット決済用アプリケーションの搭載は、携帯電話から直接インターネット経由でダウンロードすることにより行います。また、赤外線通信は携帯電話に標準装備されたものを使用し、利用者はクレジット決済専用の携帯電話への買い替えや、携帯電話に赤外線通信用の特別なアダプタを増設する必要なく、普段使用している携帯電話のままでサービスを利用することが可能です※3。さらに、1台の携帯電話に複数のクレジットカード情報をダウンロードすることを可能とし、利用者は数種類のクレジットカードを1台の携帯電話で代用することが可能になります。

【ハーレックスについて】
 ハーレックスは、平成14年4月に、韓国において携帯電話などの移動端末機に内蔵された情報を赤外線で送受信して決済を行うサービスを世界で初めて開発し商用化し、平成15年3月末現在、韓国のソウル市や、城南市などのデパート、スーパー、飲食店、自動販売機、有料道路の料金所などに赤外線通信機能に対応した決済端末もしくは赤外線受光機を約4,000台設置して、サービスを提供しています。また、赤外線を利用した近距離のデータ通信を行う技術仕様を策定するため平成5年に米インテルや、マイクロソフトを中心に設立された業界団体であるIrDA(アイアールディーエー:Infrared Data Association)※4 に参画し、会長など主要メンバーとして活動しています。

【今後の展開】
 NTTデータでは、今後、国内のクレジットカード会社や通信キャリアに幅広く参加を呼びかけ、平成15年度上期中に本システムの商用化に向けて通信方法などの技術面ならびに操作性など運用面の検証を開始し、平成16年度内での商用化を目指します。
 また、携帯電話にクレジットカードだけでなく、各種会員カードなど、様々なカード情報をダウンロードし、また、それらの連携機能を実現するなど、クレジット決済業務以外への新規利用シーンへの展開についても検討を行います。

※1Visa近接通信支払用金融情報仕様 … 2002年1月にビザ・インターナショナル社が規定し、第1.0版が発表され、2003年2月に第1.3版が規定された。赤外線通信による決済を行う場合の基本的な技術要件が規定されている。NTTデータの試行サービスは、この第1.3版に準拠する。
※2INFOX-NET … クレジットカード、デビットカード、ICカードなど多様な決済手段に対応する多機能端末から入力されたクレジットカードやデビットカードのオンライン取引情報を中継する情報処理センター。INFOXは、INtegrated Terminal FOr Card Transaction EXchange の略。平成11年4月よりサービス開始。平成15年3月末現在の設置台数は全国に約9万台。
※3Visa近接通信支払用金融情報仕様に基づいた赤外線通信機能を有し、かつインターネット接続機能を有している携帯電話であれば利用可能。
※4IrDA(Infrared Data Association) … 赤外線を利用した近距離のデータ通信を行う技術仕様を策定するために、インテル、マイクロソフトなどを中心として1993年に米国で設立された業界団体。また、同団体が定めた赤外線通信の規格も、通称IrDAと呼ばれる。

* INFOX、INFOX-NETは、株式会社NTTデータの登録商標です。
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