NTTデータとVAリナックスがLinuxカーネルのクラッシュダンプ機能を公開 〜Linux故障解析ツール共同開発の一環として、Linuxクラッシュダンプ機能 である「ミニカーネルダンプ」をオープンソースで公開〜

ニュースリリース/NTTデータ

2004年10月13日

株式会社NTTデータ
VA Linux Systems Japan 株式会社

(株)NTTデータ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:浜口 友一、以下 NTTデータ)とVA Linux Systems Japan(株)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:上田 哲也、以下 VAリナックス)は、本年5月にLinux故障解析ツールの共同開発プロジェクトを開始し、Linuxカーネル※1のクラッシュダンプ機能を実現する「ミニカーネルダンプ」(Mini Kernel Dump)機能と、それで得られた障害情報の解析を行う故障解析ツールを開発してきましたが、その成果の一貫として本日「ミニカーネルダンプ」機能をオープンソースで公開しました。

【ミニカーネルダンプについて】
今回、オープンソースとして公開したミニカーネルダンプは、Linuxシステムの障害発生時に自動的に内部情報の全記録を外部の記録装置に行うためのクラッシュダンプ機能であり、既存のUNIXをベースとしたエンタープライズ級のシステムに比べて弱いとされてきたLinuxシステムの障害原因の追及といった問題に対して、本質的な解を提供するものです。

既にLinuxシステムでは、LKCD※2、netdump※3、diskdump※4といったクラッシュダンプ機能が存在しますが、これらはダンプの出力をそのLinuxシステムで使用されている既存のデバイスドライバを使用するなど、Linuxカーネルがもはや信用できないという障害発生時においてLinuxカーネルが正常に動いていることを前提として設計されているという大きな矛盾を抱えています。
ミニカーネルダンプでは、これらの問題を解決するために、システム障害時に障害が起きているLinuxカーネルとは別の小さなダンプ取得専用のLinuxカーネルを起動してダンプを行うという、既存のLinuxカーネルにまったく依存せずダンプを採取する手法を用いています。
また、ミニカーネルダンプでは、既存のLinuxカーネルに対する修正が非常に少ないため、ダンプ機能の組み込みのためのハードルは低く、またデバイスドライバの修正が必要ないためどのようなハードウエア構成のシステムでも動作するという特徴を持ちます。

ミニカーネルダンプは現在IA-32サーバ上で動作しますが、x86-64サーバ、IA-64サーバについても今後対応していく予定です。

【公開方法】
ミニカーネルダンプのソースコードは、全てオープンソースのライセンスであるGNU General Public License (GPL)※5で公開されます。またミニカーネルダンプのプロジェクトは世界最大のオープンソース・ソフトウエアの開発サイトである「SourceForge.net」にてホスティングされています。
ミニカーネルダンプのプロジェクトのURL:http://sourceforge.net/projects/mkdump/
プロジェクト・ホームページのURL:http://mkdump.sourceforge.net/


【今後の展望】
今回のミニカーネルダンプの提供により、システム開発者はLinuxシステムにおける障害発生時において、これまでより確実に原因を突き止め、再発の防止につなげることが可能となります。これにより、Linuxシステムの信頼性が強化され、エンタープライズ市場におけるLinuxとオープンソースを活用したシステムの地位がより一層向上することになります。
また、NTTデータとVAリナックスは、ミニカーネルダンプを含めたLinux故障解析ツールの共同開発プロジェクトをさらに推進し、来年度から本格的にLinuxの障害解析ソリューションを展開していきます。


※1 Linuxカーネル … メモリ管理やプロセス管理を行うOSの基本的な機能を実現する機能。

※2 LKCD … 米SGI社によって開発が開始され、オープン・ソース・コミュニティのメンバによって強化されてきた機能。
http://lkcd.sourceforge.net/

※3 netdump … システムクラッシュのダンプをネットワークに接続された他のシステムに保存する機能。
http://www.redhat.com/support/wpapers/redhat/netdump/

※4 diskdump … 富士通が開発したディスクダンプを実現する機能。
http://sourceforge.net/projects/lkdump/

※5 GPL … FSF(Free Software Foundation)が推進するGNU Projectの成果物をはじめとするソフトウエアに対して適用されるライセンス。ソフトウエアの自由を保証することに主眼がある。FSFは、GNU(GNU's Not Unix)システムの実現を目的に1984にリチャード・M・ストールマンによって設立された非営利団体で、現在もGNUシステムの開発を行っている。

* Linuxは Linus Torvalds氏の登録商標です。
その他の商標については商標の所有者に所有権が属しています。


別紙
本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
オープンソース開発センタ
技術開発担当 牛田
TEL:03-5566-9610

VA Linux Systems Japan株式会社
マーケティング部 広報担当
TEL:03-3293-5151
FAX:03-3293-5152
E-mail:mktg@valinux.co.jp