個人の遺伝子型に合わせた投薬を支援するシステムのプロトタイプ完成 〜オーダーメイド医療の実現に向けた基盤システムの構築に向けて〜

ニュースリリース/NTTデータ

2005年10月24日

東京大学医科学研究所
株式会社NTTデータ

 東京大学医科学研究所(中村 祐輔教授)と株式会社NTTデータ(代表取締役社長:浜口 友一)は、患者さんの遺伝子型情報を用いて、医師の投薬判断を支援する「オーダーメイド投薬支援システム(仮称)」のプロトタイプ(デモンストレーション)を完成しました。これは、医療現場でのオーダーメイド医療実践の第一歩を踏み出すもので、平成18年度中に実際の薬剤情報および遺伝子型情報を用いたシステムの実証を目標に取り組みを進めていきます。

  1. 遺伝子型を活用したオーダーメイド医療の実現について
     遺伝子解析の進展に伴い、患者さんの遺伝子型の違いにより、特定の薬剤が効く人、効かない人、副作用が懸念される人など、個人の薬理効果に相違が存在している事実が解明されつつあります。既に数種類の薬剤については、遺伝子型と薬理効果について解明済みであり、今後もこうした薬剤の種類が増え、個人個人の遺伝子の違いに応じた医療(オーダーメイド医療)が行われることが見込まれています。
     一方で、患者さんの遺伝子情報という重要な個人情報を保護するため、匿名化処理といったシステムによる支援だけでなく、個人情報を直接扱う医療機関従事者の意識を高め、患者さんが安心して遺伝子情報に基づく医療サービスを亨受できる環境を整備していくことが重要です。


  2. オーダーメイド投薬支援システムについて
     オーダーメイド投薬支援システムは、患者さんの遺伝子型情報をセキュアに保管し、薬剤のエビデンス(科学的根拠データ)と遺伝子型を照合することで、患者さんの遺伝子型に応じた薬剤の選択や投与量などについての情報を分かり易く表示するシステムです。医療機関における患者さん個人の遺伝子情報に応じた医療(投薬)をサポートするシステムであり、オーダーメイド医療実現の第一歩と認識しております。
     開発にあたって、平成18年度に臨床現場における実用化に向けたシステムを開発する予定です。さらに、遺伝子型情報の増加に伴いICカードに患者さんの遺伝子型を記録し、バイオメトリクスなどを用いた本人認証機能などを追加していく予定です。
     今後、具体的な薬剤情報、遺伝子型情報を用い、特定の病院での試験運用を実施し、オーダーメイド投薬支援システムの改良を進め、全国の医療現場で活用して頂くことを目指します。

(東京大学医科学研究所)
 平成15年度より、文部科学省リーディングプロジェクトとして「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」(中村 祐輔プロジェクトリーダー)を開始。全国のプロジェクト協力医療機関より30万人分のDNA、血清および、疾患情報、検査データなどの臨床情報の提供をうけ、世界的にも類を見ない大規模なDNAバンク、血清バンクおよび臨床情報のデータベースを構築し、遺伝子型情報と病気や薬の効果・副作用の相関解析を行うことで、オーダーメイド医療の実現を目指し取り組みを進めております。

(NTTデータ)
 NTTデータは、これまで東京大学医科学研究所と、東京大学医科学研究所に設置されたDNAの管理やデータベース化を行うバイオバンク研究支援システムの共同研究を行っています。また、九州大学医学部との久山町における生活習慣病のゲノム疫学の共同研究などを通じて個人個人にあったオーダーメイド医療実現に向け、遺伝子情報の管理システム、解析を行う臨床情報を安全かつ効率的に管理・運用するためのデータベースシステムの構築などを行っています。また、遺伝子情報という個人情報の保護を第一に、医療機関、研究機関が臨床研究や遺伝子診療を実施する際に匿名化を支援するSecureName®の開発・販売などのシステム面からのセキュリティ対策支援を行うと共に、運用面においても、プロジェクトのセキュリティを維持管理する情報セキュリティポリシーの策定を行うなど、多面的にオーダーメイド医療実現に向けた取り組みを進めています。

【イメージ図】オーダーメイド投薬支援システム(仮称)
本件に関するお問い合わせ先

東京大学
医科学研究所
ヒトゲノム解析センター長
中村 祐輔
TEL:03-5449-5372

株式会社NTTデータ
・報道関係のお問合せ先
 広報室 宗像 
 TEL:03-5546-8051
・上記以外のお問合せ先
 ビジネスイノベーション本部
 バイオサイエンスSU 
 湯川 
 TEL:03-3503-0360