IC運転免許証を活用した本人確認サービス「BizPICO™」提供開始 ~IC運転免許証の改ざん確認・証跡情報保管機能をクラウドサービスとして提供

ニュースリリース/NTTデータ

2010年9月27日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータは、2010年9月27日より、IC運転免許証を活用した本人確認サービス「BizPICO(ビズピコ)」の提供を開始します。

「BizPICO」は、IC運転免許証のICチップ内の情報を利用して、免許証の改ざん確認や証跡情報の保管など、企業における本人確認業務に必要な機能をクラウドサービスで提供します。

NTTデータでは、本サービスの提供を通じて、行政機関での手続き、銀行口座の開設、携帯電話の契約など、確実な本人確認が求められる業務をサポートします。

背景

2010年1月よりすべての都道府県でIC運転免許証の発行が開始されました。

IC運転免許証は、免許証の情報がICチップ内に電子的に書き込まれているため、顔写真など印刷された券面の情報が偽変造された場合でも、ICチップ内の情報を読み出し、電子データの改ざん確認を行った電子データと券面の情報を比較することで不正な免許証を発見することができます。

各種手続きの本人確認実施時には、公的な身分証明書の提示が求められますが、偽変造された証明書を利用した不正契約が行われている状況があり、NTTデータではこうした不正を防止する手段として、IC運転免許証の機能を活用した確実な本人確認のサービス化に向けて、2009年度より事業化に向けての検討・開発を進めてまいりました。

このたび、利用技術の検証および関係機関との調整を経て事業化の目途が立ったことを受けて「BizPICO」としてサービス開始に至ったものです。

概要

「BizPICO」は、IC運転免許証の電子データを本人確認に利用できるようにするため、(1)IC運転免許証に内蔵されているICチップからの情報読み出し機能、(2)IC運転免許証の電子データ改ざん確認機能、(3)証跡情報保管機能、(4)公開鍵管理機能の4つの機能をクラウドサービスとして提供します。これらの機能により、利用企業に対して下記のメリットを提供します。

1.確実な偽造確認による不正利用防止

従来目視で確認をしていた免許証の偽造有無の確認を、ICチップ内の電子データの改ざん確認を行うことで、信頼性の高い確認が可能となり、不正な免許証の利用を防止します。

2.IC情報の活用によるコンプライアンス強化・業務効率化

本人確認に利用した証跡情報を保管する業務について、従来の紙媒体での保管から、センタにおける電子的な保管に切り替えることが可能になり、コンプライアンス強化を図ることができます。また、IC情報を活用することで申込書などへの入力作業を効率的に行うことができます。

【図】

「BizPICO」で提供する機能

(1)IC情報読み出し

免許保有者が免許証発行時に設定した暗証番号を入力して、IC運転免許証のICチップ内に書き込まれた氏名、生年月日、免許証番号、顔写真等の電子データを読み出します。読み出した電子データは、券面の字形等に合わせた表示を行います。

(2)改ざん確認注1

読み出した電子データについて、都道府県公安委員会の公開鍵を利用して、改ざん有無を確認します。改ざん確認の仕組みは、IC運転免許証発行時に生成された値と、改ざん確認時に生成した値とを比較し、同一であれば改ざんされていないことを確認できるものです。

(3)証跡情報保管

読み出した電子データおよび改ざん確認結果について、証跡情報として電子データで保管します。また、検索条件を入力して、保管した証跡情報の照会もできます。

(4)公開鍵保管

IC運転免許証の電子データの改ざん確認に必要な都道府県公安委員会公開鍵を警察機関より一括で取得、随時更新・保管を実施するため、お客さまで取得する手間が発生することなく、安心して改ざん確認を行うことができます。

サービス提供形態

本サービスでは、当社データセンタにおいてIC情報読み出しの制御を行うアプリケーションサーバや証跡情報の保管を行うデータベースを準備し、お客さまに共同でご利用頂けるクラウドサービスを実現しています。

クラウドサービスのため、お客さまのご利用環境に複雑なシステム構築を必要とせず、短期間で、かつ、低コストでの導入が可能です。また、お客さまの要件にあわせてセンタ側の設備やご利用サービスの機能拡張にも柔軟に対応することで、最適な利用環境を提供します。

本サービスをご利用頂くお客さまは、インターネットに接続できる環境注2のパソコンと非接触タイプのICカードリーダー注3をご準備頂ければ、容易、かつ、安心してサービスをご利用頂くことができます。

今回、本サービスでは、改ざん確認機能を1件につき5円、証跡情報保管機能を1件につき100円の利用料で提供します。

利用シーン

本サービスの利用シーンとしては、行政機関や金融機関(銀行、証券、生命保険など)、携帯電話事業、レンタル事業などにおいての利用を想定しています。

なお、2010年9月15日より、KDDI株式会社が実施している「NFC携帯電話を用いた非接触型IC技術に関する実証実験」注4の中で、NFC携帯電話で読み出されたIC運転免許証データを活用した改ざん確認、証跡情報の保管について、先行的に「BizPICO」の機能を提供しています。

想定利用例1.行政機関における手続き時の利用

行政機関での各種手続きにおいて、架空名義や他人への成りすましによる不正な申請等を防止するために、ICチップ内のデータを確認することで、より厳格な本人確認が実施できます。合わせて、電子データを活用することにより入力の負担軽減等も行え、行政サービスの向上にもつながることが想定されます。

想定利用例2.クレジットカードによる決済時の利用

店舗での物品購入など、クレジットカードでの決済を行う際に、クレジットカード提示者が本人であるかをより確実に確認するために、IC運転免許証と合わせて提示、確認します。クレジットカードとIC運転免許証双方を決済端末にかざし、クレジットカードの与信とあわせて、IC運転免許証の改ざん確認を行うことで、より信頼性の高い決済サービスの実現が想定されます。

想定利用例3.レンタルサービスでの利用

レンタルサービスの提供を行う際に、会員登録の本人確認だけでなく、貸し出しの際のIDとしてIC運転免許証を利用することができます。レンタルショップでの会員証として、レンタカーの無人貸し出し時の解除キーとしてなど、様々なサービスに適用ができると想定されます。

今後の展開

今後は、IC運転免許証だけでなく、他の公的ICカードや民間で発行されたICカードなどの対応や、券面状態の真がん判定を行う機能など、幅広く本人確認業務をサポートできる環境の実現を進めていきます。

また、クラウドサービスの特徴を活かし、かつ、扱う情報のセキュリティ対策等も十分に検討した上で、保管したデータを活用した登録情報の更新や、ペアリング技術注5等を利用した用途に応じた認証方式の実現など、安全に、かつ、シームレスに利用できるサービスの提供も視野に進めていきます。

注釈

  • 注1IC運転免許証発行時の電子データから生成されたハッシュ値に都道府県公安委員会の秘密鍵で暗号化された電子署名データが保存してあります。改ざん確認時には、読み出した電子データから生成したハッシュ値とICチップ内に保存された電子署名を都道府県公安委員会の公開鍵で復号化したハッシュ値とを比較・確認します。
  • 注2サービスの利用にあたっては、専用のソフトウエアをダウンロードして頂く必要があります。
  • 注3動作確認の取れたICカードリーダーをご利用頂く必要があります。
  • 注4クレジットカードや電子マネーの決済サービス、海外の交通機関への対応、IC運転免許証など公的な証明書との連携、チケットサービスやNFCタグを内蔵したポスターにかざすことによる情報取得など、複数のサービスが1台のNFC携帯電話を利用して実現可能性を検証します。
  • 注5「ペアリング」とは、暗証番号入力の代わりに、本人の持つほかのICカード情報をキーとして、2枚のICカードのペアリングを利用したパスワード変換による個人認証を行う技術です。これは、IC運転免許証の二つの暗証番号(PIN1、PIN2)と個人が携帯している本人特定可能な他の媒体(ICカード、おサイフケータイ等)のIDをセンタに事前登録(ペアリング)しておくことで、IC運転免許証の電子データの読み出しを、パスワード入力の代わりに他の媒体をかざすだけで行えるようにするものです。(※特許出願済み 特願2009-140364号)
  • 免許証保有者の個人情報の取扱いに関する同意については、サービスを利用される企業の責任で説明、取得して頂きます。
  • 「BizPICO」は株式会社NTTデータの日本国内における商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
岩内
TEL:03-5546-8051

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リージョナルビジネス事業本部
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藤本・山本・藤原・谷
TEL:03-3532-7264