NTTデータとeverisが医療機関と共同でICU(集中治療室)向け医療データ分析ソリューションの開発に向けた実証実験を開始

ニュースリリース/NTTデータ

2016年1月15日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:岩本 敏男、以下NTTデータ)、およびNTTデータのスペイン子会社であるeverisグループ(本社:スペイン・マドリッド、president:Fernando Francés、以下:エヴェリス)は、Andalusian Health Service(アンダルシアン ヘルス サービス、所在地:スペイン・セビリア、managing director:D. José Manuel Aranda Lara)、Virgen del Rocio University Hospital in Seville(ヴァーゲン・デル・ロシオ大学セビリア病院、所在地:スペイン・セビリア、CEO:Manuel Rua Romero)と、集中治療室(以下:ICU)向けの医療データ分析ソリューションの開発に向けた共同研究の一環として、2016年1月27日より医師らの協力のもと、医療データ分析ソリューションに関する実証実験を医療機関において開始し、ICUにおける有用性を評価します。

このソリューションは、均一かつ迅速な医療を目的に、治療手順にのっとって電子カルテやモニタリングデータ等の情報を一元化して提示することで医師のリアルタイムな意思決定をサポートするものであり、将来的には患者の症状推移の予測情報を提供することを目指しています。

2017年に、エヴェリスを軸にまずはスペイン、ラテンアメリカにおいて、本ソリューションを「ehCOS注1 Smart ICU」として提供開始し、さらに、グローバルに展開しているNTTデータグループ会社を通じて、欧米諸国等へのサービス提供を目指していきます。

背景

ICUにおける医療行為は、生命を脅かす重度の病気や外傷の患者を対象としているため、高度な医療機器を用いて、常時患者の容態をモニタリングしながら行われます。しかし、これら機器から得られる各種データは膨大であり、医師や看護師が、全てを把握し、データを解釈するのに多くの時間を要するケースがありました。

そこで、NTTデータとエヴェリスは、医師の意思決定の効率化や精度の改善を目的に、ICUで用いられている各種医療機器から得られる情報を一つのプラットフォームに集約して、患者の状態を示すデータとして一元化して提示したり、さらにこれらのデータを分析することで症状推移の予測情報を提供するソリューションの開発を目指し、2015年3月から医療機関と共同研究を行ってきました。今回プロトタイプとなるシステムが完成したことから、実証実験を行い、実際の医療現場における声を反映させることで、2017年を目処に本ソリューションの完成を目指します。

実証実験の概要

本ソリューションは、ICUの医師に対し、治療に関する注意喚起情報や、その時点における症状推移の予測情報等、患者の状態や治療状況に関する情報を一元的に提供することを目指しているものであり、エヴェリスの電子カルテを中心とした病院向けソリューション「ehCOS」に、NTTデータ 技術開発本部で開発を進めているビッグデータ分析ソリューションを組み合わせて開発します。このビッグデータ分析ソリューションは、オープンソースを活用したものであり、大量のストリーミングデータに対するリアルタイムなデータ分析を可能にするものです。

実証実験内容

実証実験においては、プロトタイプシステムを用いて以下の内容について検証・開発を進めます。

  1. 1.医師への治療手順伝達手法の検証

    実際のICUで、医師が的確な判断が行えるよう、治療手順やその根拠となる情報をわかりやすく医師や看護師に伝達する手法を、実際の医療現場において検証し、システムに反映させます。

  2. 2.データ収集プラットフォームの性能検証

    ICUにおいて用いられている数十もの医療機器からの各種データを一元的に収集し、リアルタイムに分析し治療手順に反映できるよう、データ収集プラットフォームに求められる性能要件について検証を進めます。

  3. 3.患者の症状推移の予測技術開発

    共同研究先のスペイン医療機関のICUで、これまで実際に行われてきた治療行為の記録と、各種機器から取得した患者の容態を示す各種データの相関性を分析し、機械学習技術注2を用いて患者の症状推移を予測する技術について研究開発します。

実証実験期間

2016年1月27日~2016年3月31日

実証実験場所

Virgen del Rocio University Hospital in Seville

各者の役割

  • NTTデータ

    ビッグデータ分析ソリューションを用いた分析基盤開発、蓄積するデータの分析の実施。

  • エヴェリス

    電子カルテを中心とした病院向けソリューション「ehCOS」のノウハウを用いたデータ連携コンポーネントの開発。医師に一元的に情報提供を可能にするアプリケーションの開発。ソリューション化に向けた、プロトタイプ開発およびPoCによる検証の実施。

  • 医療機関

    研究開発全体の監修。実際のICUにおける具体的な治療手順に関する情報の提供、および、検査結果や治療履歴などが含まれる電子カルテデータ、心拍数、血圧、血中酸素濃度といったバイタルデータの提供。プロトタイプシステムに関する医療現場での実証実験への協力。

今後について

2017年に、エヴェリスを軸にまずはスペイン、ラテンアメリカにおいて、本ソリューションを「ehCOS Smart ICU」として提供開始し、さらに、グローバルに展開しているNTTデータグループ会社を通じて、欧米諸国等へのサービス提供を目指していきます。また将来的には本ソリューションの一機能として、患者の症状推移の予測情報を提供することを目指しています。

エヴェリスについて

エヴェリスは、主にスペインや中南米6カ国において大手銀行、大手保険会社、大手通信事業者、政府機関やユーティリティー企業、大手グローバル製造会社等を主要顧客とし、コンサルティング、システムインテグレーション、アウトソーシングといった幅広いITサービスを提供しています。また、エヴェリス社はスペインと南米にCMMI Level 5認証を受けた6カ所のニアショア・オフショア拠点を有しており、高品質かつ低価格なサービスを提供する体制を整えています。

注釈

  • 注1ehCOS

    エヴェリスが提供する、質が高く安全な患者ケアのサポートを目的とした医療機関向けソリューションです。次世代医療手順にフォーカスした電子カルテシステム「ehCOS CLINIC」、患者情報管理システム「ehCOS Patient」、病院ネットワーク間での患者情報の共有を可能にする「ehCOS Clinical Share」など、7つのパッケージから構成されています。ヨーロッパやラテンアメリカにおいて、1100以上の医療機関に採用されています。

  • 注2機械学習技術

    データ分析等においてサンプルデータの分析により、規則性やルールを抽出、学習し、識別、検知、予測等のアルゴリズムを発展的に構築する技術です。音声認識や画像認識などのパターン認識や、センサリングシステム等での異常検知や予兆検知、金融市場等の予測など多様な分野に用いられています。

  • 文中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
戸田
TEL:03-5546-8051

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
技術開発本部
稲葉、岡田、モジャヒド
TEL:050-5546-9741