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AIで空調消費エネルギーを最大50%削減! ~省エネと快適性を実現する「HUCAST AI空調最適化サービス」~
2024年2月22日トレンドを知る

AIで空調消費エネルギーを最大50%削減!
~省エネと快適性を実現する「HUCAST AI空調最適化サービス」~

一般的なビル施設では、エネルギー消費の約50%を空調が占めている。カーボンニュートラル社会実現の機運が高まる中、企業の脱炭素経営を目指し、ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)導入等によるエネルギー使用量可視化が進み、次の一手としてエネルギー削減の具体策が求められている。
NTTデータでは、AIを活用してビルの空調を最適運転させることで、省エネと快適性を実現する「HUCAST AI空調最適化サービス」を展開している。本記事では、AI空調最適化サービスの概要と空調最適化を実現する仕組みについて紹介する。
目次

1.空調機制御の課題について

今までの大規模施設の空調は、季節によって一定の設定温度にしていることが一般的です。現状の室温を設定温度に近づけようとすることを繰り返す後追い制御(フィードバック制御)が行われてきました。本来ビルの温度はその時々で最適な設定があり、動的に変更するべきものです。適切な設定温度ではなく、一定の設定温度にしていることで、空調が不要なタイミングでも運転を行ってしまい、無駄なエネルギーを浪費しているのが実態です。さらに、大型施設の大空間では、設定温度に達するまでの時間がかかるため、時間遅れから室温が乱高下を繰り返すことがあり、その分過剰冷房(暖房)につながりやすく、快適性の悪化やエネルギー消費増加の要因になっています。最適な温度設定による効率的な運用を検討するにしても、室温に影響する要素は複数あり、かつ時間遅れも考慮した制御を行うことは、従来の技術では困難でした。このため、経験に応じて人手で制御が行わることが多く、一時的な解決に終始してきたのが実態です。
そこで、現状の空調制御の課題を解決するために、NTTデータではAIによる予測を基に、先回りで制御(フィードフォワード制御)を行う技術を確立しました。これにより、フィードバック制御の問題であった、短時間での一時的な温度調整や、過剰冷房(過剰暖房)によるエネルギー浪費と不快感の解消を実現しました。

2.AIによる空調最適化の仕組みとは

NTTデータが開発したサービスは、どのような仕組みで現状の課題を解決できるのか、ご紹介いたします。まず、建物の人流、外気温、現状の空調運転情報など、室温に影響を与える情報をインプットとして、これらの情報が室温にどの程度影響を与えているかについて学習させ、AIのモデルを作成します。このAIモデルが生成した最適な空調制御シナリオ(空調の設定温度)は、お客様施設に設置したゲートウェイを経由して、ビル管理システムにダイレクトに提供することで、ビルの空調の自動制御に繋げます。

図:HUCAST AI空調最適化サービス 構成図

図:HUCAST AI空調最適化サービス 構成図

サービスとしては、以下の特徴があります。

(1)フィードフォワード型の制御

AIが室温に影響がある要因を分析し、将来の室温予測を行います。予測温度に対して、先回りして設定温度を時間ごとに変化させる制御を行います。この結果、室温調整に時間がかかることで室温が安定しない状況にならず、結果として快適性を保ちつつ省エネ化を実現します。

(2)導入の容易性

オフィスビルや商業施設などセントラル空調を利用しているビルであれば、本サービスを導入することが可能です。コンパクトな人流センサー、クラウド型のサービス設計により初期投資を抑え、十分な費用対効果を実現します。機器改修の必要がないため、既設のビルでも3か月程度の準備期間で導入が可能です。さらに、AIが予測した設定温度は現地の中央監視装置(BAS)に自動連携するため、設備管理者の負担をかけずに導入が可能です。

3.実フィールドでの削減結果

NTTデータでは、JR新宿ミライナタワーをはじめ、複数のオフィスビルや商業施設、複合ビルにおいて、本サービスの検証を行いました。結果として、PMV(※1)を快適な範囲(PMVの指標で±1の範囲)を保ちつつ、空調機が用いる消費エネルギー量(冷水熱量)を最大約50%削減できることが確認できました。これは一般的な大型ビルの年間のエネルギーコストで換算すると、約1億円相当の削減額になります。

4.最後に

地球温暖化対策計画では、建物において2030年度のエネルギー起源CO2排出量を2013年度比51%削減するといった目標が設定されています。(※2)建物全体の省エネ化が求められている中、空調エネルギーはビルのエネルギー量の半分を占めており、ここに対して手を打つことが求められます。NTTデータは、昨今の電気料金高騰によるビルのエネルギーコストの急騰に伴い、ますます必要性が高まる省エネ対策の切り札として、本サービスを2025年までに50施設に提供していきます。本サービスにより、省エネ化を進めることはもちろんのこと、利用者への快適性の両立を実現することで、省エネを推進し脱炭素社会の実現に貢献します。
本記事では、脱炭素で企業・製品価値を高めていくために必要なアプローチであるCO2排出量の「可視化」、「削減」、削減努力の「価値訴求」の中から「削減」に貢献するサービスである「HUCAST AI空調最適化サービス」について解説いたしました。その他サービスの詳細な内容についてはホワイトペーパーとして確認できますので、ぜひご参照ください。

ネットゼロ社会に向けたホワイトペーパーのダウンロードはこちら:
https://www.nttdata.com/jp/ja/services/carbon-neutral/

(※1)PMV(Predicted Mean Vote)

人の熱的快適性を数値化した指標。温度、湿度、放射温度、風速、対象者の運動量および着衣量から算出され、0が快適で、暑いと正、寒いと負の値となります。PMVが±1の範囲内であれば75%の人が快適と感じる環境とされています。

(※2)環境省“ZEBポータル建築物のエネルギー消費状況”

https://www.env.go.jp/earth/zeb/about/02.html

AI空調最適化サービスの詳細はこちら:
https://dtcdata.net/ai_air/

少量学習によるフィードフォワード型のAI空調制御により、省エネと快適環境の両立を実証について:
https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2021/110100/

人流予測と気象予報を活用するAIを用いた空調制御サービスを提供開始について:
https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2023/062300/

東京ガス不動産管理物件にHUCAST™ AIを用いた空調最適化サービスの有償トライアルを提供について:
https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2023/091101/

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