ServiceNow導入によりNTTドコモ国際ローミングサービスにおけるサービス回復時間を75%短縮

~ServiceNow商用導入から1年2か月で運用保守自動化の全ての目標値を達成~

報道発表

2023年7月21日

株式会社NTTドコモ
株式会社NTTデータ

株式会社NTTドコモ(以下、NTTドコモ)と株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、NTTドコモの国際ローミングサービスの遠隔保守業務(ネットワークオペレーション業務)をServiceNow導入により自動化するゼロタッチオペレーションの初期運用を2022年4月より開始し、運用の安定性向上を図った結果、2023年5月末をもってサービス回復時間75%短縮および人為的作業ミス100%削減を達成しました。
加えて、自動化により国際ローミングサービスに関する運用保守の総稼働の30%程度が削減出来たため、収益向上が期待出来る成長事業への稼働シフトが実現可能となりました。
NTTドコモはこのノウハウを生かし、全社横断的なDXの取り組みとして、2023年4月よりNTTドコモ内の他業務およびNTTドコモグループ全体への拡大を開始しています。
NTTデータは、本取り組みで得た知見を生かし、今後もServiceNowを活用したお客さまのビジネス変革を支援していきます。

背景

NTTドコモの主力事業であるモバイル通信サービスは、通話やメール、SNSなどのコミュニケーション手段としてだけでなく、人々の暮らしや経済を支える社会インフラとしての役割も担っています。そのため、通信障害の復旧には迅速性が求められ、24時間365日体制で、遠隔でのサービス保守業務を行っています。近年はネットワークサービスの種類の多様化が進み、対応する装置や運用ルールの増加により業務負荷の重さが課題となっていました。また、既存事業での稼働を効率化し、成長事業へ稼働シフトすることも求められていました。
そこでNTTドコモは、人手を介さず遠隔保守業務を運用する「ゼロタッチオペレーション(ZTO)」を構想し、「復旧スピードの短縮化や人為的作業ミス削減による業務品質の向上」・「既存事業での稼働の効率化」を目指しました。
NTTデータは、ServiceNowを専門的に扱うServiceNow統括部を2020年に設置するなど、200名程度のServiceNow有識者を保有しており、企画・分析・設計・実装・導入後の継続的な改善まで一貫した支援を提供しています。社内横断的な導入も含め、多数の導入実績をもっており、それらのServiceNow導入開発実績のノウハウを生かし、2020年10月から開始したPoC(概念実証対応)を契機に、2022年4月より初期運用を開始しました。その後、運用の安定性・柔軟性の向上に向け、維持運用・保守や内製化支援、追加機能開発など、トータル的な支援を継続しています。

概要(特長)

NTTドコモの国際ローミングサービス注1の故障対応プロセスにZTOを導入し、故障発生から復旧までの回復時間を最大75%短縮出来ました。2020年10月から概念実証、2022年4月より初期運用を開始しており、1年6か月で目標値達成という成果を得ています。加えて、自動化により国際ローミングサービスの運用保守に関する総稼働30%が削減出来たため、成長事業への稼働シフトが可能となりました。
本取り組みで成果を得たポイントは以下の通りです。

1.故障受付から判定、対応依頼まで一気通貫での自動化

本取り組みではServiceNowの「ITSM注2(Information Technology Service Management)」ソリューションを活用しています。本システムでは、ドコモユーザーからの連絡や監視システムからのアラートによる故障をポータルと呼ばれるインシデントチケット管理画面で受け付け、インシデントチケットを自動で発行します。そのチケット情報を基に故障の真偽を確認する正常性試験や故障判定、回復対応依頼、障害調査依頼を自動で行います。従来は故障連絡を受け付けたオペレーターが遠隔保守業務スタッフに連絡し、連絡を受けた担当者がシステムを手動で操作して正常性試験に基づいたサービス影響判断等を行っていました。NTTデータがServiceNowのノウハウを生かし、コンサルティングから開発運用までを一貫してサポートしたことでこの一連のプロセスが全て自動化でき、運用保守稼働を抜本的に削減するだけでなく、人為的なミスを100%削減できました。

2.ローコード開発による膨大な業務パターンへの対応

国際ローミングサービスは約200カ国・地域/500事業者で利用されており、国や事業者に応じた故障連絡パターンが存在するなど、非常に複雑な故障対応業務となっています。この業務を自動化するにあたり、NTTデータのコンサルティングチームでは、NTTドコモの複数部門との仕様調整を重ねながら、ServiceNow標準機能で実現できる部分と、NTTドコモの高品質なオペレーションを支える既存業務に対応するために追加開発が必要な部分に区分し、開発要件の整理を図りました。追加開発が必要な部分については、約330の試験パターンに対応する判定ロジックや、約308パターンの故障判定ロジックなどに関して、ローコード開発を用いることで開発の効率化に成功しました。

3.NTTドコモ内の知識習熟およびマインド変革の促進

対象業務を開発可能な要件に落とし込む中で、既存業務をそのまま自動化すると開発量が膨大になることが判明しました。そこで、NTTデータのコンサルタントとアジャイル開発チームでは、運用業務の見える化や新運用業務への再構築などを通し、自動化に即した抜本的な業務見直しに向けたNTTドコモのマインド変革を促しました。加えて、ServiceNowの知識習熟を支援し、業務改革をサポートしました。業務改革に対する意識の浸透は、運用開始後の現場部門での新業務への移行と習熟にも生かされています。

図:本サービスへのServiceNow導入イメージ

図:本サービスへのServiceNow導入イメージ

今後について

NTTドコモは本取り組みで得た知見やノウハウを生かし、国内サービスの遠隔保守業務への拡大を検討しています。さらに、全社横断的なDXの取り組みとして、2023年4月よりNTTドコモ内およびNTTドコモグループ全体への拡大を開始しています。
NTTデータでは、本取り組みで得た知見やノウハウから、テレコム業界を中心とした類似業界の運用保守業務(ITSM/ITOM注3(Information Technology Operation Management))における開発テンプレート化による拡大を検討しています。さらに、IT運用管理領域(ITSM)やテレコム業界向けテンプレート活用においても、NTTデータのITシステムの構築・運用経験や業務知識、ServiceNowの導入ノウハウを融合することで、お客さまのビジネス変革を今後も支援していきます。

参考:ServiceNowについて
詳細はこちらをご参照ください。
ServiceNow Japan合同会社:https://www.servicenow.co.jp/

注釈

  • 注1 NTTドコモのユーザーが海外旅行をする際にそのまま通話やデータ通信ができるサービス
  • 注2 サービスデスクを中心にインシデント受付から問題、ナレッジ、変更管理等のプロセスを効率的に連携・自動化するワークフロープラットフォーム
  • 注3 クラウド環境管理や障害管理、資産・構成管理を自動化するワークフロープラットフォーム
  • 文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
西原
E-mail:nttdata-pr-inquiries@am.nttdata.co.jp

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
テレコム・ユーティリティ事業本部
モバイルビジネス事業部
企画営業担当
鈴木、迫、小林

社会基盤ソリューション事業本部
ソーシャルイノベーション事業部
RPAソリューション担当
御堂岡

E-mail:xgnttdatambsnowinfo@hml.nttdata.co.jp

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