シドニー工科大学の共同イノベーション施設UTS Vaultにおいて属性ベース暗号技術の商用利用に合意

~高い機密データを扱う官民施設で、堅牢性と属性に応じた柔軟なデータアクセスを両立~

報道発表

2023年8月29日

シドニー工科大学
NTT DATA, Inc.

株式会社NTT DATA, Inc.(以下、NTT DATA, Inc.)と豪州シドニー工科大学(以下、UTS)は、UTSの共同イノベーション施設「UTS Vault」で、利用者の属性に応じたきめ細かなアクセス制御ができる属性ベース暗号(ABE:Attribute-Based Encryption)技術を活用したソリューションの商用利用について2023年8月に合意しました。
UTS Vaultは、豪州で官民がサイバーセキュリティー関連技術に関する共同研究を行う施設であり、取り扱われるデータは機密性が極めて高いものを含みます。NTT Research, Inc.が開発したABEを活用することでUTS Vaultのデータに対して、堅牢性と利用者の属性に応じたきめ細かな開示という柔軟性を同時に提供できます。
両者は本ソリューションの活用により、UTS Vaultにおけるイノベーションの推進に寄与し、デジタル社会における自由なデータ流通による利便性と、安心・安全なデータ管理の両立を推進します。

背景

デジタル社会においてデータの多種多様化が進む中、各種データの利活用や異業種データとの掛け合わせによる新たなサービス創出が広く行われています。一方、データ漏えいが企業や個人に与える損失は大きく、データガバナンスやデータプライバシーをいかに守るか、ゼロトラストにおけるデータセキュリティーへのニーズが高まっています。
こうした潮流のもと、円滑・安全なデータ流通の実現を推進するNTT DATA, Inc.は、UTSと戦略的なパートナーシップを構築し、先進的なR&D技術を用いた市場開拓や、現地企業との協業に取り組んでいます注)。この取り組みの中で、NTT DATA, Inc.はNTT Research, Inc.のABE技術を活用したソリューション化をすすめてきました。

概要(特長)

ABEは、データの暗号化に加えて、利用者やデータの属性によるきめ細かな開示を可能とする、暗号化とアクセス制御を同時に実現する技術です。ABEを用いてアクセス制御の仕組みを暗号としてデータに埋め込むことで、ユーザーの属性や条件に基づいて暗号化されたデータへのアクセスを許可する仕組みを提供します。従来の暗号化方式でABEと同等のことを行う場合、データ全体に対して開示処理を行い、ユーザーに必要な属性の情報を抽出したのち、再度データ全体を非開示にする処理を行う必要がありましたが、ABEは最初から非開示のデータ全体の中から必要な属性の情報のみを開示することが可能であり、従来方式で実装する場合と比較してデータの処理工程を最大で1/3に短縮することができます。
ABEを使えば、適切な利用者に、必要な時に、必要な部分だけを開示することができるため、暗号化されたデータを自由に流通させることができます。
これにより、UTS Vaultにおけるさまざまな政府機関と民間研究機関との共同イノベーションの推進と、堅牢なデータセキュリティーの両立を実現します。
なお、本導入はNTT DATA, Inc.配下のNTT Ltd.、NTT DATA Romania、およびNTT Research, Inc.と共同で行ったものです。採用されたABEはNTT Research, Inc.が発明し、主要な特許を取得しています。

図1:データの属性に応じて情報を開示するイメージ

図1:データの属性に応じて情報を開示するイメージ

今後について

NTT DATA, Inc.は、デジタル社会における自由なデータ流通による利便性と、安心・安全なデータ管理の両立をさらに推進するため、この柔軟なアクセス制御が可能なABEを軸にしたソリューションを拡充し、グローバルに社会実装を進めます。

図2:データプライバシーの観点で個人情報の開示部分を属性により保護するイメージ

図2:データプライバシーの観点で個人情報の開示部分を属性により保護するイメージ

参考

シドニー工科大学(UTS)について
シドニー中心部に位置し、40,000人以上の学生が在籍するオーストラリア有数の工科大学です。教育と研究においてイノベーション、創造性、テクノロジーを融合し、産業に重点を置いた大学として知られています。

UTS Vaultについて
ニューサウスウェールズ州に設立される官民連携の共同研究施設で、政府・民間企業・大学との共同イノベーションを可能にする新たな試みです。世界をリードするサイバーセキュリティー関連技術の研究と実用化及び人材育成をミッションとし、グローバルに成果を展開することを目指しています。

注釈

  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
新井、田中
E-mail:nttdata-pr-inquiries@am.nttdata.co.jp

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTT DATA, Inc.
デジタルアセット本部
SMARTビジネス室
飯田、吉田、島村
E-mail:smart-pr@hml.nttdata.co.jp

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