産業データの安全な流通を実現する連携プラットフォームの提供開始

~ウラノス・エコシステムのファーストユースケースとして電動車向けバッテリーのカーボンフットプリント情報を企業間で連携~

報道発表

2024年5月16日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下NTTデータ)は、電動車向けバッテリーに関する業界横断エコシステム「バッテリートレーサビリティプラットフォーム(以下、本プラットフォーム)」を2024年5月16日より提供開始します。本事業は、経済産業省が提唱する、国境や業界をまたぐ横断的なデータ連携基盤の構築により、社会課題(カーボンニュートラル、サーキュラー・エコノミー等)や経済課題(パンデミック等によるサプライチェーン断絶、経済安全保障等)の解決および産業発展を目指す官民連携イニシアティブ「ウラノス・エコシステム」のファーストユースケースであり、将来的にさまざまな産業へ展開し、国外でも幅広く利用される次世代の情報インフラを目指すものです。
本プラットフォームでは、バッテリーのライフサイクルに関わる国境を越えた企業間でのデータ連携を可能とし、欧州で2023年8月に施行された電池規則注1における、バッテリーのライフサイクル全体でのCO2排出量や資源リサイクル率の欧州委員会への開示に対応します。経済産業省の令和4年度および令和5年度「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業(健全な製品エコシステム構築・ルール形成促進事業)注2,注3」での機能実証成果を踏まえ、まずは、バッテリー製造時のカーボンフットプリント情報を企業間で安全に連携可能にする機能を提供します。
NTTデータは、今後5年間で500社以上の利用拡大を目指します。本プラットフォームの提供を通じ業界横断でのデータの連携を促進することで、サーキュラー・エコノミーの実現を推進します。

背景

カーボンニュートラルの達成や資源循環型社会、人権・環境デューデリジェンスの実現など社会課題の解決策として、サプライチェーンおよびバリューチェーン全体で各組織が保有するデータを安全かつ正確に流通できる仕組みが求められています。特に、欧州において2023年8月に施行された電池規則では、バッテリーのライフサイクル全体におけるCO2排出量や資源リサイクル率を欧州委員会に開示することが求められており、バッテリーを市場に出荷する際にカーボンフットプリントの開示が義務化される見込みです。

概要

NTTデータはこうした規制への対応を見据え、電動車に搭載されるバッテリーに関して、サプライチェーン上のカーボンフットプリント情報(以下、CFP情報)の内、バッテリー製造時のCFP情報を関係企業間で集計・連携可能な「バッテリートレーサビリティプラットフォーム」を提供開始します。
2023年4月には経済産業省が中心となり、業種横断的なシステム連携の実現を目指す官民連携イニシアティブを「ウラノス・エコシステム」と命名しました。NTTデータおよび株式会社NTTデータグループ(以下、NTTデータグループ)は、経済産業省の「ウラノス・エコシステム」に関する公募事業注4に採択されるなど、企業間の安全なデータ連携の実現に向けた技術開発を官民連携イニシアティブに参画し進めています。本プラットフォームは、電動車向けバッテリーに関わる業界団体とともに要求分析、機能検証を進め、本イニシアティブの成果である「ウラノス・エコシステム」のガイドラインに準拠した形で構築しました。ブロックチェーンのスマートコントラクト機能や自由なデータ流通機能等を高度に融合した共同利用型のサービスとして、データ主権を確保し機密情報を含むデータの安心安全な流通を実現します。欧州電池規則における製品単位のCFP宣言対応をファーストユースケースとし、まずは、バッテリー製造時のCFP情報を企業間で連携可能にする機能を提供します。

図:バッテリートレーサビリティプラットフォームのイメージ

図:バッテリートレーサビリティプラットフォームのイメージ

本プラットフォームの特徴

データ主権を確保し安心安全にデータ流通を実現

本プラットフォームは欧州電池規則のCFP情報連携機能を具備するほか、データ主権を確保しながら、企業間で安心安全なデータ流通を実現する点に特長があります。この特長を実現するための技術的な手法は以下のとおりです。

表1:データの安心安全な流通を実現するための必要事項と技術的手法

必要事項 技術的手法
データ所有者が保管場所、交換相手、交換範囲を自身で選択できるデータ主権の確保
  • ブロックチェーンのスマートコントラクト技術を用いて、ユーザーごとに独立した管理ができるデータ分散管理およびデータ所有者の開示指示に基づいてのみデータを連携する機構を実現
データの秘匿性および真贋性の担保
  • 自社のデータは暗号化された状態で個社ごとの領域に保管し、データ所有者のみが閲覧可能
  • データの真贋性を確保するため、データ改ざん検知を実現

業界横断で複数企業間でのデータ流通を実現

本プラットフォームでは、各社が利用するさまざまなシステムやアプリケーションからの接続性を備えるとともに、幅広い業界ユースケースへの展開を可能とすることで企業間での自由なデータ流通を実現する点に特長があります。この特長を実現するための技術的な手法は以下のとおりです。

表2:自由なデータ流通を実現するための必要事項と技術的手法

必要事項 技術的手法
異なるユーザーやシステムからの接続性の確保
  • 軽量なインターフェースを実装し、ユーザーシステムやアプリケーションからの容易な接続を実現
  • 共通的なデータモデルを規定し、異なるシステムやアプリケーション間のデータ流通を実現
さまざまな業界、ユースケースへの拡張性の確保
  • データモデル変換機能や他システムとの接続機能を実装し、さまざまな業界やユースケースへの展開を実現

本サービスの利用について

本サービスは、公益デジタルプラットフォーム認定事業者の申請を予定している「一般社団法人自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センター」によって提供されます。

今後について

NTTデータは、今後5年間で500社を超えるユーザーの利用を目指します。また海外データスペースとの相互運用確立やグローバル展開、希少鉱物を対象としたサーキュラー・エコノミーへの対応を推進します。カーボンニュートラル達成に向けた各業界のGX推進等、本プラットフォームの他産業への展開を推進することにより、日本の国際競争力の強化および「ウラノス・エコシステム」の普及、促進に貢献することを目指します。

NTTデータが考える自動車業界の未来

NTTデータは、業界・技術のForesight起点で未来を構想し、共創パートナーとしてお客さまの成長とビジネス変革を実現していきます。自動車業界では、CX(顧客接点領域)/MX(新モビリティ領域)/EX(環境エネルギー領域)の3つのテーマを掲げ、多種多様な業種・業界との連携を通じて、さまざまな自動車利用シーンにあわせた新サービスの提供に取り組んでいます。

関連リンク

NTT DATAのデータスペースに関する取り組み
https://www.nttdata.com/jp/ja/services/dataspace/

注釈

  • 注1 EUにおいて、2023年8月17日にバッテリー製品の原材料調達から設計・生産プロセス、再利用、リサイクルに至るライフサイクル全体を規定するバッテリー規則が施行されています。
    https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2023/1542/oj
  • 注2 NTTデータとデンソーは、2022年9月に経済産業省の以下の補助事業(補助事業の事務局は一般社団法人 低炭素投資促進機構)に共同で応募し採択されました。
    「令和4年度「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業費補助金(健全な製品エコシステム構築・ルール形成促進事業)」(カーボンフットプリント及びリユース・リサイクル並びにデータ連携基盤構築)」
    https://www.meti.go.jp/information/publicoffer/saitaku/2022/s220920001.html
    https://www.teitanso.or.jp/case/
    https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2022/101300/
  • 注3 NTTデータは、2023年8月に、令和5年度「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業(健全な製品エコシステム構築・ルール形成促進事業)」に採択されました。本事業は一般社団法人 低炭素投資促進機構が補助事業の事務局として公募を実施しています。
    https://www.teitanso.or.jp/case2023/
  • 注4 NTTデータグループは、経済産業省が中心となって、企業や業界、国境またぐ横断的なデータ連携基盤の構築を目指す「ウラノス・エコシステム(Ouranos Ecosystem)」に関する公募事業に採択され、2023年10月より、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業」(JPNP22006)の委託事業として開発・実証しています。
    https://www.nedo.go.jp/koubo/IT3_100282.html
    https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2023/101301/
  • 文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ

株式会社NTTデータ
広報部
田中
E-mail:nttdata-pr-inquiries@am.nttdata.co.jp

製品・サービスに関する

株式会社NTTデータ
第一インダストリ統括事業本部
自動車事業部
第二ビジネス統括部
松枝、水谷
TEL:050-5546-8541

株式会社NTTデータ
公共統括本部
第三公共事業本部
デジタルプラットフォーム事業部
第一システム統括部
第一営業担当
田口、増田
TEL:050-5546-2910

株式会社NTTデータ
公共統括本部
第一公共事業本部
パブリックサービスデザイン事業部
企画統括部
営業担当
武田、西端
E-mail:trusted-ds@kits.nttdata.co.jp

株式会社NTTデータグループ
技術革新統括本部
技術開発本部
IOWN推進室
濱野、金子、水谷
E-mail:trusted-ds@kits.nttdata.co.jp