OSS統合運用管理ソフト「Hinemos®」仮想ネットワーク管理オプションver.2.0の提供開始 ~hop-by-hop方式、overlay方式を併用したハイブリッドなネットワーク構成の一元管理を実現~
2013年7月22日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:岩本 敏男、以下NTTデータ)は、NTTデータがOSSとして公開する統合運用管理ソフト「Hinemos®」(以下「Hinemos」)のオプション製品として、仮想ネットワーク管理オプションの新バージョン(ver.2.0)の提供を本日より開始します。
今回提供を開始する新バージョンでは、OpenFlowスイッチを集中制御するコントローラーサーバーのHA構成、既存のネットワークとの柔軟で冗長化された接続をサポートし、より高い信頼性・安定性が求められるネットワークにも新しく適用が可能です。また、hop-by-hop方式とoverlay方式を併用したハイブリッドなネットワーク構成に一元管理できるため、既存のネットワーク資産も活用しつつ、コストを抑えた段階的なネットワークのSDN化が可能です。
- 注HA
High Availabilityとは、高い可用性(アベイラビリティ)を持つシステムのことです。
背景
近年、企業内のシステムに対する要求として、ビジネスの変化や拡大に対する柔軟かつ迅速な対応が求められており、その実現手段として仮想化技術やクラウドが注目されています。仮想化技術の中でもサーバ仮想化やストレージ仮想化は広く使われるようになってきておりますが、それらに続く技術としてネットワーク分野での仮想化技術が重要になってきており、ネットワーク仮想化を実現する技術の一つとして「OpenFlow」が注目されています。NTTデータではオープンソースの統合運用管理ソフトウエア「Hinemos」を利用して、仮想ネットワークを含めたクラウド基盤の一元的な運用管理をめざし、2011年より検討、開発を進めており、2012年6月に仮想ネットワーク管理オプションver.1.0をリリースし、その次期バージョンとして今回のver.2.0のリリースに至りました。
図:Hinemos仮想ネットワーク管理オプションの導入イメージ
新バージョンで拡張された主な機能の概要
- OpenFlowスイッチを集中制御するコントローラーサーバーのHA構成のサポート
仮想ネットワーク上の通信制御および仮想ネットワーク機器のエミュレーションを実現するコントローラーサーバーのHA構成が組めるようになりました。
- hop-by-hop方式とoverlay方式を併用したハイブリッドなネットワーク構成に対応
overlay方式によって既存のIPネットワーク上に設けられたトンネルを利用可能な経路として扱い、hop-by-hop方式とoverlay方式を併用したハイブリッドなネットワーク構成でも柔軟にネットワーク制御ができるようになりました。
- Northbound APIの提供
IaaS基盤などの外部のソフトウエアからAPIを呼び出すことにより、他の構成変更と連動して仮想ネットワーク構成を変更できるようになりました。また、コントローラーのネットワークリソース管理機構にアクセスするためのAPIも提供され、ネットワークトポロジの構成を取得し、ネットワークトポロジ上に任意の転送経路を生成するといった、ユーザー独自の通信制御を実現する拡張プラグインを開発可能となりました。
- 物理ネットワークリソースの状態表示の自動化・詳細化
コントローラーが管理するOpenFlowスイッチおよびスイッチ間のリンク状態に基づいて、常に最新の物理ネットワークトポロジが自動的にマップ上に表示可能となりました。OpenFlowスイッチの詳細なスペック情報(製造元情報、ハードウエア情報、サポートされる機能一覧など)、OpenFlowスイッチに設定されているFlowエントリの内容・処理状況を把握できるようになりました。
- 不等パスコストによる物理経路のカスタマイズ
各経路のコストをチューニングすることにより、指定したFlowを最小コストとなる物理経路上で通信させることが可能となります。通信状況に応じて、OpenFlowスイッチ数が最少とする最短経路以外をパケットの通信経路として選択し、通信の輻輳などの発生を回避する運用が可能となります。
- 不等コストパスにおける通信のバランシング
不等コストとなる物理経路が複数存在した場合、Flow単位で利用する物理経路を振り分けることで、すべての物理経路を余すことなく利用します。論理ネットワークの数が増えていき、一部の物理リンクで帯域不足が生じた場合は、物理経路を増やすだけで、実効上の帯域幅を広げることが可能となります。
- OpenFlowによるファイアウォール・ロードバランサーのエミュレーション
仮想ネットワーク内に仮想ファイアウォール・仮想ロードバランサを配置することで、OpenFlowスイッチの機能によるパケットフィルタリング・ロードバランシングが実現可能となります。専用のアプライアンス製品を別途用意することなく、OpenFlowスイッチの機能のみでL2~L4レベルの通信制御が行えます。
- OpenFlowスイッチのみによるブロードキャスト・マルチキャストパケットの転送制御
ARPなどで利用されるブロードキャスト・マルチキャストパケットのL2転送をコントローラーを経由することなく、OpenFlowスイッチのみで行えるようになりました。OpenFlowスイッチのハードウェア制御によるパケット転送が可能となるため、パケット転送におけるレイテンシの揺らぎを抑えて通信が行えるようになります。
図:Hinemos仮想ネットワーク管理オプションver.2.0のスクリーンショット
製品構成と提供時期
本機能の利用には下記の各製品が必要となります。
製品名 | 出荷時期 | 製品概要 |
---|---|---|
Hinemos Ver.4.0.2以降 | 2013年4月22日 | Hinemosの基本機能 |
仮想ネットワーク管理オプション Ver.2.0 | 2013年7月22日 | 仮想化されたネットワークの管理機能 |
Hinemos仮想ネットワーク管理オプション ver.2.0はOpenFlow対応スイッチ注と連携可能です。現時点(2013年7月16日時点)で動作検証済みのスイッチを以下に記載します。(今後拡張予定)
販売元(五十音順) | 製品シリーズ |
---|---|
エヌ・シー・エル・コミュニケーション株式会社 | Pica8 P-3290/P-3295/P-3780/P-3920 |
シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社 | XenServer 6.0/6.1/6.2(仮想スイッチ) |
日本アイ・ビー・エム株式会社 | IBM System Networking G8264 ラックスイッチ |
日本電気株式会社 | UNIVERGE PF5220 |
日本ヒューレット・パッカード株式会社 | HP 3800-24G-2SFP+ Switch |
提供方法
本製品は、エヌ・シー・エル・コミュニケーション株式会社を始めとしたHinemosパートナー企業より提供致します。
今後について
NTTデータでは今後も、Hinemosパートナー各社と共に仮想化やクラウドなどの先進的なIT技術を利用する際に求められる運用要件への迅速な対応と、さらなる運用コスト低減につながるHinemosの機能・ソリューションの開発、提供を行います。そしてより一層のHinemosの普及を図るとともに、Hinemosパートナープログラムおよびオプションの提供により、年間10億円の売り上げを目指します。
関連ソリューション
エヌ・シー・エル・コミュニケーション株式会社
エヌ・シー・エル・コミュニケーション株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:関根 尚、以下NCLC)は、2012年4月より米国Pica8社とパートナー契約を結びSDN/OpenFlow事業を開始しました。
これまでNCLCはPica8社製Openflow対応スイッチの販売をベースに、OSS OpenFlowコントローラであるTremaやRyuをプラットフォームにしたアプリケーションの提供やそのノウハウを基に技術支援、トレーニングコースを提供し、SDN/OpenFlow技術の市場への普及に注力して参りました。昨年8月にはHinemosのソリューションパートナーとなり、Hinemos仮想ネットワーク管理オプションの販売を開始しております。
この度、NCLCは新バージョンである仮想ネットワーク管理オプション2.0の発表に伴い、購入後、すぐに実証実験や導入ができるよう仮想ネットワーク管理オプションライセンスとPica8社製OpenFlowスイッチ、そして技術者向けトレーニングをセットにした9月末までの限定特価パッケージを7月25日(木)より販売開始致します。
関連するセミナ情報
テーマ | HinemosによるSDN/OpenFlow環境構築 |
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開催日 | 8月6日(9月3日も開催予定) |
開催時間 | 14:45~17:00(14:30受付開始) |
開催場所 | エヌ・シー・エル・コミュニケーション株式会社 |
共催 | NTTデータ、エヌ・シー・エル・コミュニケーション |
内容 |
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製品情報
注釈
- 注OpenFlow Switch Specification 1.0.0で定義されているRequired Action/Optional Actionをサポートするスイッチを示します。
- 非営利組織「Open Networking Foundation(ONF)」により標準化が進められるネットワークを制御するためのソフトウェアインターフェース規格です。
- 「Hinemos」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
- その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
製品・サービスに関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
基盤システム事業本部
谷越、山本
TEL:050-5546-2496