ドローン運航管理用ソフトウエアパッケージ「airpalette® UTM」の提供開始 ~愛媛県の原子力防災訓練で利用、ドローンによる避難経路の被災状況の確認に成功~

サービスインフォメーション

2017年11月15日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、2017年11月から、ドローンを活用する事業者や地方自治体にむけて、ドローンの運航管理用ソフトウエアパッケージ「airpalette® UTM」の提供を開始しました。

本製品は、複数機種・機体を遠隔地から同時に制御可能で、従来、人手による作業に危険と時間を要するインフラ点検や防災活動などの業務効率向上を実現します。

11月14日に愛媛県で実施された愛媛県原子力防災訓練では、発電所から約70km離れた愛媛県庁において訓練用に使用した「airpalette UTM」でドローンを制御し、発電所周辺の避難経路の撮影画像を関係各署でリアルタイムに共有することに成功しました。

今後、NTTデータは、インフラ点検や防災活動のみならず、さまざまな産業分野において、安心・安全なドローン運航を実現するサービスを世界に向けて展開します。

背景

近年の技術革新によるドローン制御の安定化、機体価格の低下、さらに世界的な規制緩和により、産業分野におけるドローンの活用が期待されています。一方で、ドローンの交通量の増加により、無人機同士の衝突の危険や、空港・ヘリポート周辺等飛行禁止空域への侵入による有人航空機との衝突リスクが高まることが懸念されています。

NTTデータは、これらの課題に対し、40年以上にわたる有人機航空管制分野のITサービス提供者としての知見を活用し、複数機を効率的かつ安全に飛行可能とするソフトウエアパッケージ「airpalette UTM」を開発しました。

概要・特長

「airpalette UTM」は、遠隔で複数機の同時飛行注1を可能とするドローンの運航管理機能「FOS(Flight Operation System)」(読み:エフオーエス)と、一定の空域内を飛行する複数機の位置情報を一元管理するドローンの交通管理機能「UTM(UAS Traffic Management) core」(読み:ユーティーエム コア)の2つの機能により構成されています。

【図】

図1:airpalette UTMシステムイメージ

【図】

図2:airpalette UTM画面イメージ(地図表示)

【図】

図3:airpalette UTM画面イメージ(航空写真表示)

FOSの機能詳細:

FOSは、複数機を遠隔かつ同時に飛行可能とする機能で、インフラ点検や防災活動などを行う作業員の業務効率の向上実現に貢献します。

  • さまざまなネットワークを用いた機体の遠隔操作機能
  • 複数機体同時制御機能
  • 飛行プラン(飛行日時、離陸場所、通過点、目的地等の緯度経度・高度情報や、飛行速度等を含む計画)設計機能
  • 自機体の位置情報表示機能
  • 機体情報、利用者情報管理機能
  • 地図、飛行禁止空域、気象、および地形情報の表示・管理機能
  • 業務アプリケーションや外部情報(地図情報、気象情報、他機体情報等)とのインターフェース機能
  • 飛行プラン申請機能
  • 有人機等の他機体の位置情報、NOTAM注2、電波覆域注3表示機能
【図】

図4:飛行禁止空域表示イメージ

【図】

図5:気象情報表示イメージ

UTM coreの機能詳細:

UTM coreは、一定の空域内にて飛行している複数機の位置情報等を一元的に管理する機能で、空中衝突の危険や、禁止空域への侵入などを検知し、いち早くドローン運航事業者に伝達することで、空域の安全確保が実現可能となります。

  • 複数機の位置情報等の統合監視機能
  • 利用者情報管理機能
  • 飛行プラン(飛行日時、離陸場所、通過点、目的地等の緯度経度・高度情報や、飛行速度等を含む計画)確認機能
  • FOSへの各種情報(他機体飛行プラン、他機体情報、空域情報、NOTAM等)提供機能
  • 地図、禁止空域および地形情報等を考慮した飛行計画検証機能
  • 有人機の情報提供機能
  • 機体同士の衝突危険検知
  • 運航者間調整機能(空域管理、混雑状況管理等)
  • 2018年以降順次開発予定です。

利用事例

愛媛県庁は、原子力発電所の重大事故が起きた際、周辺地域の避難経路の被災状況の確認にドローンを活用し、住民避難の実効性向上を図る取り組みを実施しています。NTTデータは、愛媛県庁の「平成29年度原子力災害時における無人航空機(ドローン)の活用に係る調査業務」を受託しており、ドローンの機体およびドローン運航管理システムの検討を行っています。11月14日、愛媛県で実施された愛媛県原子力防災訓練では、発電所から約70km離れた愛媛県庁において訓練用に使用した「airpalette UTM」でドローンを制御し、発電所周辺の避難経路の撮影画像を関係各署でリアルタイムに共有することに成功しました。

本防災訓練により、ドローンの利用が迅速かつ確実な住民避難を実現する上で有効であることが検証されました。

【図】

図6:災害対策本部イメージ
(両端モニター:「airpalette UTM」中央モニター:ドローン撮影画面と他拠点の様子)

【図】

図7:airpalette UTMを操作する様子

今後について

今後、NTTデータは、インフラ点検や防災活動のみならず、さまざまな産業分野において、安心・安全なドローン運航を実現するサービスを世界に向けて展開します。

注釈

  • 注1各国の規制によって、禁止または許可が必要な場合があります。
  • 注2NOTAM(ノータム、notice to airmen)とは、航空機が安全に飛行できるよう、関連する機関が提示する航空関係施設情報や航空業務情報などの航空情報のことです。
  • 注3電波覆域とは、基地局より発信される電波が届く適用範囲のことです。
  • 「airpalette」は、日本、CTM(欧州)、米国、中国における株式会社NTTデータの登録商標です。
  • その他本文中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

airpalette UTMホームページ

本件に関するお問い合わせ先

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
第一公共事業本部
第一公共事業部
市場創造推進室
UASビジネスグループ
伊神、岩附
TEL:050-5546-2289