ノバルティスファーマ、宮崎大学と電子カルテシステムのデータ利活用に関する共同研究を開始 ~がん患者さんの治療環境の向上に向けたエビデンス構築に向けて~
2021年10月8日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、ノバルティス ファーマ株式会社(以下:ノバルティス ファーマ)および国立大学法人宮崎大学(以下:宮崎大学)と、がん患者さんの治療環境の向上を目的に、リアルワールドデータ(以下、RWD)注1利活用に向けたデータ解析手法の検証に関する共同研究を2021年9月より開始しました。
これまでがん患者さんの治療のために国内外でさまざまな医療情報データベースが活用されていますが、実際に活用できる臨床的な項目は限られています。本共同研究では、がん領域で重要な患者や疾患情報、治療パターンなど臨床的な項目を多く抽出できると考えられている「電子カルテシステム」に着目し、電子カルテ内の構造化データおよび非構造化データを利活用するための方法論的アプローチを、自然言語処理・機械学習などのAI技術を活用して実証します。
今後、3者は本共同研究を通して、電子カルテシステムをはじめとした、これまで方法論がなく活用が十分でなかった医療情報を利用可能なものとし、がん患者さんの治療環境を向上できるエビデンスを構築することにより、がんにおける新しい知見を研究開発および治療向上につなげていくことを目指します。
背景
近年、RWD利活用への期待は高まっており、国内外問わず医療情報データベースは増加しています。しかし、既存の医療情報データベースで評価できる臨床的な項目は限定的です。日本でも、評価できる臨床的な項目が限られたレセプト・DPC調査データ注2といった診療報酬データが活用されてきましたが、電子カルテシステムのデータがより多くの評価可能な診療情報を保有しており活用が期待されています。
電子カルテシステムには、入力形式が決められている構造化データと、入力形式が決められていない非構造化データの2種類のデータが存在します。特に非構造化データは医師が記載するフリーテキスト形式の診療録などが該当し画一的な解析ができないため、臨床的な項目を評価するためには新たな解析方法が必要となります。このため、電子カルテシステムデータの利活用が進んでいないのが現状です。
本共同研究では、電子カルテシステムの情報を利活用し、治療方法の評価や改善につなげることで、がん患者さんの治療環境の向上に資するエビデンス構築を目指します。
共同研究について
研究目的 | がん患者さんの治療環境の向上に資するエビデンス構築に向けて、電子カルテシステムにおける構造化・非構造化データを利活用するための方法論的アプローチを検討する |
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研究概要 | 自然言語処理や機械学習等のAI技術を用いたデータ抽出方法および適切なアルゴリズムを開発し、電子カルテシステム上の患者背景や治療パターン等の解析研究に必要となる情報の所在の特定、および情報の取得方法について検討する |
研究実施予定期間 | 2021年7月から2022年3月まで |
主な役割 |
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今後について
NTTデータは、この電子カルテシステムからの情報抽出方法を確立し、製薬企業や学術研究機関ががん患者さんの治療実態を把握し治療方法の評価や改善を行うことを可能にすることを目指します。
注釈
- 注1リアルワールドデータとは、医療現場での診療行為から得られる医療情報の総称です。
- 注2DPC調査データとは、厚生労働省にて実施している「DPC導入の影響評価に係る調査」にて医療施設が提出しているカルテからの匿名化情報等のことです。
- 文中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
製造ITイノベーション事業本部
第四製造事業部
長谷川、松浦、藤井
E-mail:milkr_support@kits.nttdata.co.jp