中外製薬に治験関連文書の作成を支援する新機能を提供開始 ~PhambieLINQ®の新機能で作成時間を40%削減~

サービスインフォメーション

2022年5月31日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、治験総合プラットフォーム「PhambieLINQ®(ファンビーリンク)」に組み込まれている症例報告書(CRF注1)の作成支援機能を、2022年5月31日から中外製薬株式会社(以下、中外製薬)に提供を開始します。
コロナ禍等の背景もあり、新薬の早期開発へのニーズはますます高まっていますが、新薬開発時の治験は製薬企業と医療機関が連携して進める必要があり、業界横断での業務効率化が課題となっています。今回提供する機能は、患者ごとの治験実施結果を記録する症例報告書のフォーマット(blankCRF)を治験内容やスケジュールに沿って自動作成します。中外製薬は、従前より治験を実施する際のスケジュール作成機能を利用しており、今後blankCRF作成支援機能も併せて利用することで、医療機関が臨床データを電子的に収集するために利用するEDC注2システムのセットアップにかかる時間の大幅削減とblankCRF作成プロセスの標準化を実現します。
NTTデータは「PhambieLINQ」をより多くの製薬企業へ提供し、新薬開発の効率化に向けた仕組みづくりに貢献していきます。

背景

NTTデータは、製薬企業における治験の計画策定から、医療機関における治験実施、eSource注3の収集・連携までをトータルで支援する、製薬企業・医療機関横断型の治験総合プラットフォーム「PhambieLINQ」を開発し提供しています。「PhambieLINQ」を構成するソリューションのひとつである「Study Domino Designer®」は、治験の計画策定段階で製薬企業が実施する治験関連文書の作成業務を効率化します。
治験の計画段階では、製薬企業が治験実施計画書や症例報告書のフォーマット(blankCRF)等、多くの資料を作成しています。blankCRFの作成に際しては、治験実施スケジュールに基づき、人の手で実施項目とCRFの各項目のひも付けを実施しており、実施項目の記載揺れによる確認作業や、ヒューマンエラーによる修正など、多くの時間を要しています。
こうした課題を踏まえ、NTTデータは「Study Domino Designer」の新機能としてblankCRF作成支援機能を開発しました。2022年5月31日から、ファーストユーザーとして中外製薬に、この機能を提供開始します。従前より利用中の「Study Domino Designer」の治験実施スケジュール作成機能と併せて利用することで、治験計画段階の大幅な業務効率化と業務プロセスの標準化を実現します。

図1:「PhambieLINQ」イメージ全体図とblankCRF作成支援機能の位置づけ

図1:「PhambieLINQ」イメージ全体図とblankCRF作成支援機能の位置づけ

blankCRF作成支援機能

治験実施スケジュール作成機能で登録した情報にもとづいて症例報告書のフォーマット(blankCRF)のドラフト版を自動的に作成します。作成されたファイルはEDCへインポートすることができ、製薬企業がEDCをセットアップするためにかかる時間を大幅に削減できます。中外製薬とNTTデータが実施した実証実験において、blankCRF作成支援機能により、作成時間の40%削減を確認しています。注4

図2:blankCRF作成支援機能の画面イメージ

図2:blankCRF作成支援機能の画面イメージ

今後について

「PhambieLINQ」は今後もさらに機能を拡充していきます。また、将来的にはクラウド技術やAI技術を活用した、より高度な業務効率化・自動化機能の追加や、グローバル展開を予定しています。
NTTデータは治験業務効率化のためのソリューション提供を通じて、医療の発展に貢献することを目指します。

参考

「PhambieLINQ」の概要

3つのソリューションから構成される医療機関と製薬企業をつなぐ治験総合プラットフォームです。医療機関と製薬企業をワンストップでデータ連携させることでデータの高品質化、治験プロセスの効率化を実現します。本プラットフォームはがん領域の治験からサービスを開始し、2025年の時点で日本のがん治験試験数のカバー率70%を目指しています。
以下は3つのソリューションと、2022年までに提供開始(予定を含む)している機能の一覧です。

(1)Study Domino Designer

治験の計画策定段階で製薬企業が実施する治験関連文書の作成業務を効率化し、大幅な作成時間短縮を実現します。

機能提供開始時期概要
治験実施スケジュール作成機能2021年7月
  • 治験実施スケジュールを画面上で作成
blankCRF作成支援機能2022年5月
  • blankCRFのドラフト版を自動生成
  • 出力したファイルはEDCへインポート可能
(2)Interactive Data Entry Navigation®

医療機関における治験実施をサポートする機能に加え、eSourceの収集をサポートする機能を具備し、EDCへの転記作業を削減します。「Study Domino Designer」で作成された文書に応じて、被験者スケジュールを自動的に生成します。
電子カルテ上で構造化されている情報(患者基本情報、検査項目等)からEDC連携用ファイルを生成する機能と、電子症例報告書の入力フォームを提供し電子カルテと連携する機能を合わせて利用することで、症例報告書に必要な項目をできる限りカバーできるよう、開発を進めています。

機能提供開始時期概要
来院管理機能2022年秋予定
  • 被験者単位の来院予定を管理
CRCチェックシート機能2022年秋予定
  • 被験者単位のチェックシートを作成
  • 「Study Domino Designer」連携により標準チェックリストが自動生成される
カルテ/EDC連携データ変換機能2022年夏予定
  • 電子カルテ上で構造化されている情報をeSourceとして出力
Data Entry Form機能2022年秋予定
  • 電子症例報告書の入力フォームを提供
  • 入力された情報を電子カルテに連携するとともに、eSourceとして出力
(3)Clinical Data Transfer®

「Interactive Data Entry Navigation」から出力したEDC連携データを、日英翻訳のうえセキュアなネットワークを用いて製薬企業に送信します。

機能提供開始時期概要
eSourceデータ連携機能2020年12月
  • セキュアなネットワークを通じて医療機関から製薬企業にeSourceデータを連携

注釈

  • 注1CRF(Case Report Form)は、症例報告書と呼ばれる、臨床試験を行った際の患者の検査データ等をとりまとめた報告書のことです。
  • 注2EDC(Electronic Data Capture)は、臨床データを電子的に収集する仕組み、もしくはそのシステムのことです。
  • 注3eSource(Electronic Source)とは電子的フォーマットで記録された原データを指しています。
  • 注4中外製薬とNTTデータ、AI技術を活用した治験効率化ソリューションの実証を完了
    https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2020/090901/
  • 「PhambieLINQ」、「Study Domino Designer」、「Interactive Data Entry Navigation」、「Clinical Data Transfer」は日本国内における株式会社NTTデータの商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
第二公共事業本部
社会保障事業部
名須川、星野
E-mail:phambielinq-sales@am.nttdata.co.jp