汎用性の高い自動釣銭機を用いた「銀行窓口のセミセルフ化」に向けたPoCを実施

トピックス

2023年9月14日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、株式会社北海道銀行(以下、北海道銀行)と共同で2023年7月~8月にかけて、コンビニ・スーパー等のレジ向けに汎用的に導入が進んでいる自動釣銭機(以下、流通系キャッシャ)を用いた「銀行窓口のセミセルフ化」に向けた実証実験(PoC)を実施しました。
近年、顧客自身による支払い(支払いのセルフ化)の動向が高まる中、流通系キャッシャは、コンビニ・スーパー等のレジ向けに導入が進んでいるものの、金融機関窓口への本格導入はされていない状況です。
そこでNTTデータでは、流通系キャッシャについての調査や制御ソフトウエアの研究・開発を行い、「銀行窓口のセミセルフ化」実現に向けた「新たな窓口システム」を試作、北海道銀行協力のもと、実店舗での来店顧客への応対、および窓口事務について実用性を検証しました。
検証結果を通じて、2023年度中に新たな窓口ソリューションの正式リリースに向けて取り組んでいきます。

背景

近年、金融機関においては、個人顧客を中心に店舗への来店顧客数減少、キャッシュレス化による現金ニーズ減少傾向から、既存営業店システム(金融専用システム)に固執しない、「新たな窓口システム」を構想する動きが高まっています。
そこで、NTTデータでは、北海道銀行と共同で「端末台数・機器コストの削減」、「金融専用端末を前提とした事務からの脱却」、「接客スタイルの変革」の観点から「銀行窓口のセミセルフ化」を構想しました。
「銀行窓口のセミセルフ化」を実現するには、顧客導線、接客スタイル、さらに新たな事務の確立など複雑性が高いことから、本構想を実現する「新たな窓口システム」を試作、北海道銀行総合事務部・東札幌支店の協力のもとPoCを実施する探索的なアプローチを採用しました。
試作に際して、NTTデータは、これまでに蓄積したデバイス制御ソフトウエア開発ノウハウ(金融キャッシャ、バーコードリーダー等)を活用して、流通系キャッシャの制御ソフトウエアを研究・開発しました。

図1:PoCにおける「新たな窓口システム」

図1:PoCにおける「新たな窓口システム」

PoC実施状況

流通系キャッシャを用いた「新たな窓口システム」を試作のうえ、実店舗において一定期間適用することで、その実用性を検証しました。

PoC期間 約4週間(2023年7月中旬~8月上旬)
実施場所 北海道銀行東札幌支店窓口(ハイカウンター)
対象業務 税公金払込(現金支払い)
期間中の応対顧客数 約250名
延べ納付書枚数 約500枚
10万円超支払い(複数納付書)の比率 3割程度
  • 流通系キャッシャは、収容現金量が金融キャッシャと比較して少ないことから、一定金額を超える取扱件数を計測しました。なお、本PoCにおいて該当する取引も実施できる策を講じています。

来店顧客の声や反応

  • 顧客の手続き操作性、画面表示については、約7割のお客さまから「わかりやすい」とご回答いただきました。
  • 約9割のお客さまは手続き時間が「早くなった」とご回答いただきました。

手続き時において、多くのお客さまは違和感なく流通系キャッシャへ現金投入をしていました。流通系キャッシャは、すでにコンビニ・スーパー等へ導入されており、顧客自身に操作経験があることが理由だと想定しています。
一方、来店顧客層として一定数を占める高齢のお客さまのなかには、タッチパネル操作に不慣れな方もいたため、今後さらに来店顧客一人ひとりに対応できるUI/UXを検討していきたいと考えています。

銀行の成果・課題認識

  • QR・バーコードがついている納付書では、受付手続きがバーコードリーダーで読み取るだけになることから、既存手続きと比較して行員手続き時間はおおむね半減となり、非常に大きな効果が得られた。
  • 一方で、バーコードがついていない納付書では、窓口行員が金額などを手入力する必要があるため、さらなる操作性の改善が必要と感じた。
  • 本PoCでは、税公金払込の現金支払いを対象としたが、口座からの支払い(振替取引)も可能とすることで、事務効率化の範囲も拡大すると想定している。
  • 税公金支払い以外に、一定金額以下の入出金取引などの適用業務拡大を検討していきたい。

NTTデータの見解

  • PoC結果から、流通系キャッシャを用いた「新たな窓口システム」の実現性を確認することができ、「銀行窓口のセミセルフ化」に対する一定の方向性を見いだすことができた。
  • 来店顧客への応対、および窓口事務について、おおむね機能は満たしていたものの、今後の商品化に向けて顧客操作画面、行員操作画面へのUI/UXなどさらなる改善を実施予定。
  • 本PoCで用いた流通系キャッシャは、セルフ利用として稼働実績が多いことから富士電機社製品注1を選定。流通系キャッシャは、金融キャッシャと比較して収容現金量は少ないものの、本製品では回収カセットを併用することで収容量を超える紙幣量にも対応でき、一定金額以上の取引にも許容できることを確認。今後のサービス提供に向けて、今回の状況を踏まえて機器確定を行う。
図2:「窓口のセミセルフ化」PoCの様子

図2:「窓口のセミセルフ化」PoCの様子

今後について

本PoCを受けて、今年度中に新たな窓口ソリューションへの正式リリースに向けて以下の通り、取り組んでいきます。

  • NTTデータでは、本PoCで試作した「新たな窓口システム」を対面チャネルソリューションと位置づけ、構築・提供する予定です。
  • 「新しい窓口システム」を金融機関基幹系システムとオンライン接続することで、現金支払いのほか、口座支払いや入出金など取引が可能となります。NTTデータが導入しているオンラインデータ連携基盤注2によりMEJAR注3(基幹系システム)センターとのオンライン接続を予定しています。
  • また、本ソリューションを広く地域金融機関・業態金融機関等へ提供予定です。

注釈

  • 文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
第二金融事業本部
営業企画推進部 第三営業企画担当 元上、加賀美
第三バンキング事業部 バンキング開発担当 須本、舩津
デジタルバンキング事業部 チャネルソリューション担当 今泉、田遠
E-mail:d-cahsier@am.nttdata.co.jp

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