国内初、ソフトウエア製品に関するCO2排出量算定のルールを策定
~サプライチェーン全体の排出削減に向け、ソフトウエア業界の脱炭素を推進~
トピックス
2024年3月29日
株式会社NTTデータグループ
株式会社NTTデータグループ(以下:NTTデータグループ)は、ソフトウエア分野の脱炭素化にむけた取り組みの一環として、受託開発ソフトウエア製品のCO2排出量算定について開発者のCO2排出量削減努力の反映が可能な算定ルールを、NTTアドバンステクノロジ株式会社、NTTテクノクロス株式会社、NTTコムウェア株式会社、株式会社クニエ、株式会社日立製作所、日本電気株式会社、日本電信電話株式会社、富士通株式会社とともに策定しました。注1本算定ルールにより、受託開発ソフトウエア製品のCO2排出量について、経済産業省の「カーボンフットプリント ガイドライン」注2に整合した算定および比較ができるようになります。
今後も本算定ルールを発展させ、サプライチェーンのカーボンニュートラルに貢献していきます。
背景
ICT業界の消費電力およびCO2排出量が増加しており、2030年には世界の消費電力に占める割合が20%を超えると予測されています。注3世界の有力ソフトウエア関連企業による、CO2排出量削減を目標としたGreen Software Foundation注4の設立など、ソフトウエア分野においてもCO2排出量削減の重要性が高まっています。NTTデータグループでは、ソフトウエア分野の脱炭素化に向けてITシステムのCO2排出量の評価・削減に向けた技術開発、およびGreen Software Foundationのステアリングメンバーとして、グリーンソフトウエアの標準策定やOSS技術開発への貢献、それらの標準やOSSの普及展開を推進してきました。
近年ではGHGプロトコルのScope1、2に加えてScope3を含むサプライチェーン全体のCO2排出量算定・削減に向けグリーンな製品が選択されるような市場の創出が求められ、その基盤として製品単位のCO2排出量の算定・開示への関心が高まる中、ソフトウエア製品のCO2排出量算定に関しては、開発費用に関する情報を用いた金額ベースの算定以外に標準的な算定方法が確立されておらず、開発者の削減努力が反映されにくいことが課題でした。そこで、同様の課題意識を持つ企業とともに、経済産業省が公募した「令和5年度 GX 促進に向けたカーボンフットプリントの製品別算定ルール策定支援事業」注5に2023年8月より参画し、ソフトウエア製品の算定ルールの検討に取り組んできました。
成果
本事業において、経済産業省の「カーボンフットプリント ガイドライン」に整合した初めての算定ルールの一つとして、受託開発ソフトウエア製品のCO2排出量算定ルールを策定しました。本算定ルールは、受注から生産・納品までを対象とした、ソフトウエア開発段階のCO2排出量の算定に関するルールです。これによってソフトウエア製品のCO2排出量算定の基礎ができ、ソフトウエア製品のグリーンな調達を実現するための第一歩を踏み出せたと考えています。
策定した算定ルールのポイント
本事業では初期検討として受託開発ソフトウエア製品を題材に算定ルールの検討を進めました。受託開発ソフトウエア製品は、製品固有の要求仕様に基づき製造されるため、開発時に発生するCO2排出は開発者の活動によるものが中心です。そのため、CO2排出量算定における活動量の把握が有形な工業製品のような量産品に比べて容易ではありません。策定した算定ルールのポイントは次の2点です。
1.ソフトウエア開発特有の算定プロセス・排出源等の体系化
CO2排出観点での開発段階のライフサイクル分析を行い、算定対象のプロセス・排出源を定義しました。さらに、開発者が利用する機器・設備が消費した電力と開発対象である個々のソフトウエア製品とのひもづけの方法を定めました。これらによって開発者の削減努力を反映した算定を可能にしました。本算定ルールで定めた内容とその考え方は、適用対象を拡大する際の土台になると考えています。
2.ソフトウエア製造前の算定・比較への対応
本算定ルールでは、CO2排出量算定における基礎要件に加えて、排出量を比較されることが想定される場合の要件を規定しています。特に、製品完成後のみならず、グリーンな調達における入札時などの製造前にCO2排出量を算定/開示することを想定し、設計値を用いて算定したCO2排出量の比較を可能にしました。これにより、グリーンな調達の実現をめざします。
NTTデータグループの役割
NTTデータグループはIT システムのCO2排出量算定および削減技術の研究開発、C-turtle®などの排出量可視化プラットフォームの製品開発と事業展開、およびGreen Software FoundationやJEITA Green x Digitalコンソーシアム注6等の団体活動を通して培ったCO2排出量の評価・算定に関する知見を提供し、本算定ルールの具体化、国際標準との適合性、実用性の分析に貢献してきました。
今後の展開
今後は本算定ルールを活用した実証実験やソフトウエア業界企業とのさらなる議論を通じて、ルールの実用性向上やグローバルなコンセンサスの形成をめざします。将来的には世の中のソフトウエア製品のグリーンな調達の実現を通して、サプライチェーン全体のCO2排出量削減に貢献していきます。
また、NTTデータグループでは、本算定ルールによりITシステムの「開発時」のCO2排出量を算定し、Green Software Foundationで取り組むSoftware Carbon Intensity注7をはじめとする指標で「運用時」のCO2排出量を評価することで、ITシステムのライフサイクル全体を通した環境負荷の評価と、その削減に向けた取り組みを進めます。これらの活動を通して、NTTデータグループは持続可能な社会の実現を目指し、より環境負荷が少ないITが選択される仕組みづくりをグローバルにけん引していきます。
注釈
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注1
策定したルールはLCA日本フォーラム(事務局:一般社団法人産業環境管理協会)にて掲示
https://lca-forum.org/member/guidelines.html -
注2
経済産業省、環境省 カーボンフットプリント ガイドライン
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/carbon_footprint/pdf/20230526_3.pdf -
注3
How to stop data centres from gobbling up the world’s electricity(Nature)
https://www.nature.com/articles/d41586-018-06610-y -
注4
Green Software Foundation
https://greensoftware.foundation/ -
注5
令和5年度 GX 促進に向けたカーボンフットプリントの製品別算定ルール策定支援事業
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyou_keizai/shien_productquantificationrules.html -
注6
JEITA Green x Digitalコンソーシアム
https://www.gxdc.jp/ -
注7
Software Carbon Intensity
https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2021/120601/
- C-turtleは日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
- その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
取り組み全般に関するお問い合わせ
株式会社NTTデータグループ
コーポレート統括本部
サステナビリティ経営推進部
グリーンイノベーション推進室
下垣、築島、立開
E-mail:climate_proper@kits.nttdata.co.jp
技術的な内容に関するお問い合わせ
株式会社NTTデータグループ
技術革新統括本部
技術開発本部
IOWN推進室
小林、井村
E-mail:green-innovation@kits.nttdata.co.jp