相続・終活に活用できるエンディングノートサービスを2025年12月から提供開始
~自己資産や生前の意思をデジタルで集約、万一の時に家族へ大切な情報を伝達~
トピックス
2025年6月27日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、金融機関向けに相続・終活に活用できるデジタルのエンディングノートサービス「Memory Container™(読み:メモリーコンテナ、以下:本サービス)」を2025年12月から提供開始します。
本サービスは、今後30年にわたる大相続時代に向け、自己資産情報や伝達事項、生前の意思等を金融機関から提供されるオンラインサービス上で、記録・管理・大切な人への共有ができるエンディングノートサービスです。デジタル管理の手軽さにくわえ、情報に応じて開示先や開示範囲を設定することにより、万一の時に家族などの必要な方へ大切な情報を伝達することができます。なお、ファーストユーザーの金融機関様が25年12月に利用開始を予定しています。
本サービスは、高齢社会や大相続時代における社会課題に対しての一手であり、NTTデータはこれからも本領域に向けさまざまなソリューションを構築し、社会課題の解決に貢献していきます。
1.背景
2025年問題で団塊世代約800万人が後期高齢者になることにより、国内の年間死亡数は140万人を超え、ピーク時には168万人まで増加する注1ことが見込まれ、大相続時代が到来します。また、相続の質的な側面では、個人金融資産の種類・量の増加によりデジタル遺産の把握が難しい点が社会課題となりつつあることや、離婚率や婚外子等の家族構成の変化から相続の複雑化が進んでいます。
生活者においては、「終活はシニアのものだけではない」という意識変化があるなか、終活の必要性は感じているが、法律が絡む専門性の高い内容であるため、何から考えてよいか分からない・緊急性は高くないため取り組むためのハードルが高い、という課題があります。また、既に終活を行っている方においても、紙媒体のエンディングノートの場合は、変更時の更新のしづらさや、情報によっては生存中に家族に共有したいものがある、という課題やニーズが見られています。
NTTデータでは、このような社会課題を解決するソリューションとして、金融機関向けにデジタルのエンディングノートサービスを提供します。
2.サービスの概要と特長
本サービスは、今後30年にわたる大相続時代に向け、自己資産情報や伝達事項、生前の意思等を金融機関から提供されるオンラインサービス上で、記録・管理・大切な人への共有ができるエンディングノートです。金融サービスの多様化・デジタル化により、資産へのアクセス情報の分散は、世代問わず発生する課題であるため、どの世代の方も利用いただくことができますが、家族の状況やライフイベント等で状況や考えに変化が起こりやすい年代であり、書き換えの必要性も高いと想定される40~60代前半の中高年層を主な利用ターゲットとしています。
本サービスの特長と利用するエンドユーザー・金融機関へのメリットは、以下のとおりです。
<エンドユーザー>
エンディングノート作成の心理的・時間的ハードルを軽減
紙媒体のエンディングノートには、紙の冊子を準備し、手書きで記入するという心理的・時間的ハードルの高さから、「必要性は感じているが行動には移せていない」というユーザーが多くいました。
特に中高年層は子供の進学や、車・家の購入のほか、両親の相続等、状況や考えに変化が起こりやすい年代です。本サービスでは、資産情報管理を入り口として使い始め、ライフイベントごとに情報を追記・更新することで終活・相続におけるエンディングノート作成を気負わずに行え、「気づいたらエンディングノートができている」という世界観を実現します。
エンドユーザー自身にまつわる情報を集約し一元管理が可能
ネットバンクやネット証券等の資産の種類の増加や、支払い手段の多様化、デジタルサービスが増加している中で本人しか知らない情報が増えています。分散された情報を本サービスに集約し、エンドユーザー自身や身の回りの情報、万一の時に「自分はどうしたいのか」という考えも併せて整理し、遺すことができます。
情報に応じた連携先や開示内容・時期の詳細設定が可能
デジタルだからこそ、「誰に」「いつ」「どの情報を」などを選択し連携内容を決定することが可能です。さまざまな資産情報や、万一の時の「伝達事項」「意思・生前の思い」なども本サービスに入力しておくことで、家族等へ必要な時期に必要な情報を伝えることができます。
運用主体が銀行など金融機関であることによる安心感
エンドユーザー本人の没後、遺族は手続きのため、銀行などの窓口への来店が必要となります。エンドユーザー本人の希望により、その時点で、遺族へエンディングノートの情報開示を確実に行うことができます。他業界の場合、このようなタイミングを明確に察知することは難しいです。また、秘匿性の高い情報であるため、銀行など金融機関が提供主体であることがエンドユーザーや遺族にとっての安心につながります。
<金融機関>
低コストでの導入および運用が可能
今後、相続は金融機関にとっての共通課題となりますが、各金融機関が個別に導入するにはコストや期間の負担が大きくなります。本サービスは共同利用型である点を生かし、単独でサービスを構築するよりも低コストで迅速な導入が可能です。また、サービス開始後の運用費も抑えることができます。
金融機関の戦略やエンドユーザーのニーズに合わせたコンセプト展開が可能
本サービスのベース機能である情報入力・閲覧・共有等の機能に対し、金融機関ごとの戦略やエンドユーザーニーズに合わせ、コンセプトやUI/UXを変更し、提供できます。そのため、メインターゲットである中高年層向けの展開以外にも、例えば若年層に向けたバケットリスト注2や、デジタルに抵抗感のない高齢者層などターゲット層に応じた展開が可能です。


図1:本サービス(Memory Container)の画面イメージ
3.今後について
本サービスは、保険・信託・証券等さまざまな業種においても、展開が可能と考えています。例えば、柔軟な接続インターフェースを有しているため、業界特性に合わせたユースケースで活用いただけます。また、今後も金融機関における相続領域の高度化に資する機能拡充を行います。
NTTデータでは、高齢社会に対する金融機関向けソリューションの第一弾として、2019年より家族見守りサービスを提供し、すでに10行以上の金融機関が導入しています。その第二弾である本サービス提供以降も、高齢社会における金融機関の各種業務のデジタル化や、エンドユーザーの課題・ニーズに対するさまざまなソリューションを展開し、社会課題の解決に貢献していきます。

図2:高齢社会における社会課題に対して、NTTデータが実現したい世界と展開ロードマップ
関連リンク
家族見守りサービス
家族の口座取引を見守るサービスの提供開始へ | NTTデータ | NTTデータグループ - NTT DATA GROUP
注釈
- 注1 出典)三井住友信託銀行、『相続に伴う家計金融資産の地域間移動~圧倒的な東京圏の資産吸収力、相続を経て資産の4割が集中~』、https://www.smtb.jp/-/media/tb/personal/useful/report-economy/pdf/127_1.pdf
- 注2 「生きているうちに自分がやりたいこと」をリスト化したもの
- 文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
第三金融事業本部
e-ビジネス事業部
デジタル戦略室(OpenCanvas Atelier)
山田
E-mail:xgebdigisalespro@kits.nttdata.co.jp