アイロムとNTTデータが治験支援システムPhambieLINQクラウド版の全国拡大に向け協業

~クラウド化による短期導入とサポート強化で治験支援基盤の全国展開を推進し、医療DXと創薬開発を加速~

トピックス

2025年11月26日

株式会社アイロムグループ
株式会社NTTデータ

株式会社アイロムグループ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:森 豊隆、以下:アイロム)と株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:鈴木 正範、以下:NTTデータ)は、2025年11月26日に特約店契約(以下:本契約)を締結し、治験支援システム「PhambieLINQ®注1」のクラウド版(以下:クラウド版PhambieLINQ)の販売について協業を開始します。クラウド版PhambieLINQは、NTTデータが開発した医療機関向け治験支援基盤PhambieLINQをクラウド化したSaaS型ソリューションで、2026年1月の販売開始を予定しています。本契約により、アイロムは特約店として同サービスの販売が可能となり、全国の医療機関へ展開を加速させます。さらに、治験業務の経験が豊富なアイロムの強みを生かした現場支援やヘルプデスク対応を担うことで導入・サポート支援体制を強化します。
両社は2027年までにクラウド版PhambieLINQを100施設へ導入することをめざし、順次全国の医療機関に治験支援基盤を整備することで、医療機関の治験業務の効率化と患者さんの治験機会の拡大、創薬の加速、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に寄与します。

背景

医療機関が治験を実施する場合、参加者の対応のほか、治験審査委員会との連携業務や治験関連の書類の作成・管理など関連基準や法規に沿った多岐にわたる業務があります。加えて業務自体も、紙での業務管理・運用、FAXを活用した情報連携、情報管理の属人化など、業務効率に課題があり、現場の医師や医療スタッフの負担も大きく、治験が広がりにくい一因になっていました。
アイロムは、これまで多くの医療機関でSMO注2として医師や医療スタッフが行う業務を支援し、負担を軽減することで、円滑な治験の実施および品質の向上に貢献してきました。
一方のNTTデータは、治験における旧来業務をデジタル化・標準化することで効率化する医療機関向け治験支援システムPhambieLINQを提供してきました。
今回両社は、NTTデータのクラウド版PhambieLINQの提供開始にあたり、互いの強みを掛け合わせることで治験の活性化による日本の創薬開発を加速できると判断し、本契約の締結および協業の実施に至りました。

概要

本契約により、アイロムはNTTデータの特約店となり、クラウド版PhambieLINQを全国の医療機関に販売することが可能となります。PhambieLINQは、医療機関ごとの電子カルテとの接続を前提としたオンプレミス環境限定のソリューションです。これに対し、クラウド版PhambieLINQは電子カルテなどEDC注3データ連携を担う「eSource連携機能」注4を省き、「治験実施サポート機能」に焦点を当てたSaaS型のソリューションとして提供します。これにより、約1ヵ月間と短期間で導入できることが特長です。今回の特約店契約に基づき、医療機関で業務支援を行うアイロムのスタッフが現場でヘルプデスク窓口やセットアップ支援を担当します。そのため、医師や医療スタッフからの問い合わせにその場で回答できるほか、トラブル発生時も迅速に対応することが可能です。
クラウド版PhambieLINQの主な機能は以下のとおりです。SaaS型で提供することにより、将来的な機能拡充にも柔軟に対応できます。

<来院日管理表>

  • 参加者単位のスケジュールを管理でき、院内で情報の共有が可能です。
  • 来院許容日が一目でわかるため、担当CRC(治験コーディネーター)注5が不在でも来院日変更に対応できます。

<Visitチェックシート(来院日ごとの実施事項のチェックリスト)>

  • 実務の順番に沿ったチェックリストの作成が可能で、各実施項目の検査漏れを防止します。
  • 実施項目メモを活用することでプロトコール(治験実施計画書)からの逸脱を予防できます。
  • 参加者単位のメモを残せるため、投与量確認などでのミスを防止できます。

<費用計算機能>※2026年に機能実装予定

  • 来院日管理表に入力した実績日を踏まえた費用設定・リスト出力が可能です。
  • Fair Market Value(FMV)注6に対応しています。

図:画面イメージ

本契約とそれに伴う協業における、主な役割分担は以下の通りです。

<アイロム>

医療機関へのクラウド版PhambieLINQの提案・契約・販売、現場での導入支援およびヘルプデスク機能

<NTTデータ>

クラウド版PhambieLINQの提供および設定・プログラム改修、データ連携およびヘルプデスク支援

短期導入が可能なクラウド版PhambieLINQと、多くの医療機関での治験業務を重ねてきたアイロムの支援により、PhambieLINQの医療機関への導入を加速します。また、両社の強みを生かし医療現場でのサポート対応の充実をめざします。

今後について

アイロムおよびNTTデータは、クラウド版PhambieLINQについて2027年度末までに100施設への提供をめざします。将来的には全国の医療機関への展開を掲げ、治験の活性化による日本の創薬開発の加速と医療DXの推進に貢献します。
また、NTTグループでは、ICTの先進技術を活用し、参加者募集から治験データ連携・管理、オンライン診療支援、医療機関支援までを一貫してサポートする治験サービスを提供しています。NTTグループとしても、医療分野におけるデジタル活用のさらなる促進と、創薬環境の整備に取り組んでいきます注7

注釈

  • 注1 NTTデータが開発した、医療機関と製薬企業をつなぐデータ連携プラットフォームです。医療機関と製薬企業のデータ連携を実現し、データの高品質化、治験プロセスの効率化に寄与します。https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/phambielinq/
    PhambieLINQ:主に医療機関・製薬企業向けのシステムで、治験データの収集・連携(eSource連携機能)と医療機関における治療業務の効率化(治験実施サポート機能)を支援するための機能を提供するためのサービスです。
    クラウド版PhambieLINQ:主に医療機関向けのシステムで、上記のPhambieLINQからeSource連携機能を除いた、治験実施サポート機能を提供するサービスです。
  • 注2 SMO(Site Management Organization)は「治験施設支援機関」と訳され、治験を実施する医療機関を支援する専門組織のことです。
  • 注3 EDC(Electronic Data Capture)は、臨床データを電子的に収集する仕組み、もしくはそのシステムのことです。
  • 注4 eSource(Electronic Source)連携機能は、医療機関で収集された診療データを、製薬企業のEDCシステムへ直接連携する仕組みです。これにより、治験や臨床研究におけるデータ入力の負担軽減、リアルタイム性の向上、安全性の確保が可能になります。
  • 注5 CRC(Clinical Research Coordinator)は、「治験コーディネーター」と訳され、治験や臨床研究の現場で、医療機関、製薬企業、参加者などの間に立ち、治験の円滑な実施を支援する専門職です。
  • 注6 Fair Market Value(FMV)は、治験ごとの業務量や市場価格に基づき治験の費用を適正に算定するための基準価格です。
  • 注7 NTTグループの「治験」への取り組みは、NTT株式会社のWebサイトに掲載しています。
    https://group.ntt/jp/magazine/blog/ntt_med/
  • 「PhambieLINQ®」は日本国内における株式会社NTTデータの商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社アイロムグループ
経営企画センター
経営企画部
竹内
E-mail:web-info@iromgp.com

株式会社NTTデータ
第四公共事業本部
ヘルスケア事業部
PhambieLINQ担当
星野、石川、下窪
E-mail:phambielinq-sales@am.nttdata.co.jp