花王のマーケティング・商品開発の調査業務でAI生活者の有効性を確認、業務効率化・高度化へ

トピックス

2026年3月19日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、花王株式会社(以下、花王)が展開するメイクアップブランドの商品開発の調査プロセスにおいて、生活者調査データや購買・SNSデータをもとに、生活者の行動特性や価値観の傾向をAIでモデル化した「AI生活者」をペルソナとして活用する実証を行い、調査業務の効率化と生活者理解プロセスの高度化の実現可能性を確認しました。
市場環境や生活者の価値観が短期間で変化する中、生活者に直接インタビューを行う従来の調査では多くの時間を要し、調査結果を商品開発の意思決定に十分活用しきれないという課題がありました。
そこで、花王がこれまで蓄積してきた生活者調査データに加え、購買データやSNSデータ注1をもとに、NTTデータのAIエージェントサービス「LITRON® Marketing注2」を活用することで、商品開発の調査インタビュイーとなる複数のAI生活者とAIインタビュアーを作成。AI同士によるインタビュー調査を実施し、調査における対象者呼集・日程調整・実調査の時間を1.5カ月から0.5日(99%削減)に短縮できることを確認しました。
さらに、AI生活者は購買データやSNSデータといった実際の行動データをもとに回答するため、発言に一貫性があり、なぜその商品を選ぶのかといった購買判断の背景や心理要因を具体的に説明できます。その結果、購買理由や価値観の構造を整理しやすい発言が得られ示唆が出しやすくなり、生活者理解の質そのものを高められることを確認しました。
NTTデータは、本実証で得られた成果を踏まえ、生活者理解を起点とした商品開発プロセスのさらなる効率化・高度化に向けた取り組みを進めます。今後は、メイクアップブランド以外のブランド・商品への展開も検討し、実業務への本格適用に加え、商品開発領域だけでなく、マーケティング業務への活用をめざします。

背景

近年、生活者の価値観や購買行動は多様化しており、マーケティング領域において、変化するニーズやインサイトを迅速かつ的確に捉えることが求められています。一方、従来の商品開発の調査プロセスでは、調査設計から対象者募集、実査、分析に多くの時間と費用を要し、限られた開発期間の中で調査データの十分な深掘りや仮説検証が難しいという課題がありました。特に、花王のメイクアップブランドではシーズンごとに新商品を出していくために商品開発サイクルを短くする必要性がありました。
こうした背景の中、NTTデータは多様な業種の顧客と培ったマーケティング業務の高度化のノウハウと、AI活用の知見を生かし、花王のメイクアップブランドを対象として調査業務の効率化・高度化に向けた実証に取り組みました。

実証概要

  1. AI生活者作成
    花王が保有する生活者調査データに加え、匿名性を担保した購買データやSNSデータをもとに、NTTデータのLITRON Marketingを活用することで、消費行動や価値観、購買経緯を反映した8種類のAI生活者を作成しました。また、あらかじめ設計した質問や目的に基づいてインタビューを自動で実行できるインタビュアーもAIで作成しました。
  2. AI生活者へのインタビュー
    メイクアップブランドの商品コンセプト検討に向けたメイクトレンドの把握、新商品コンセプト案に対する受容性の検証、新商品に対する購入意向や価格への反応の把握などを目的に、複数のAI生活者に対して定性・定量インタビューを実施しました。

評価観点

AI生活者を活用した商品開発の調査について、以下の観点で評価を行いました。

  • 技術的な実現性:AI生活者の作成およびAI同士のインタビュー調査の、要件に沿った安定的な実行可否
  • アウトプットの有効性:調査から得られた示唆の、商品開発検討への活用可能性
  • 調査期間の削減効果:調査に要する期間の削減度合い

実証実験結果

評価の結果、AIを活用した定性・定量調査は、従来の調査で蓄積してきた知見との整合性を保ちながら、調査業務の効率化と生活者理解プロセスの高度化を同時に実現できることが確認され、生活者のインサイトに基づく商品開発への活用可能性が示されました。

  • 技術的な実現性:
    AI生活者の作成ならびにインタビューの自動実行、結果を出力する一連の調査プロセスが安定的に成立することを確認しました。
  • アウトプットの有効性:
    メイクトレンドの把握や新商品コンセプトの受容性検証、購入意欲への反応把握といったテーマにおいて、AI生活者の発言は、従来の生活者調査で得られてきた知見と比較して、発言の方向性や内容に大きな差異がないことを確認しました。また、価値観や購買履歴に基づいた一貫性のある回答により、購買判断に至る心理要因や背景・考え方を具体的に言語化できるため、示唆の整理や仮説立案に活用しやすいアウトプットが得られることを確認しました。
  • 調査期間の削減効果:
    従来の調査プロセスと比較して対象者呼集・日程調整・調査実施におけるリードタイムを1.5カ月から0.5日(99%削減)に短縮できる可能性が示されました。

AI生活者を活用した調査では、仮説整理やアイデア検討を高速かつ一貫性をもって反復できることが確認されました。そこで、商品企画の初期段階では、AI生活者による仮説検証を行い、試作品評価や販売開始判断といった最終段階では、実在の生活者へのインタビューを通じて、定性的な示唆を取り入れることで、効率性と品質の両立に寄与する商品開発プロセスとなる可能性が示されました。

今後について

NTTデータは、本実証で得られた成果を踏まえ、生活者理解を起点とした商品開発プロセスのさらなる効率化・高度化に向けた取り組みを進めます。今後は、メイクアップブランド以外のブランド・商品への展開に加え、商品開発領域だけでなく、マーケティング業務への活用をめざします。

NTTデータグループが描くAI活用の未来

NTTデータグループは、積極的なAI活用の推進とガバナンスの両輪でお客さまのビジネス、当社のビジネスの変革を推進します。お客さまのビジネスでは、AIエージェントが指示に応じ自律的に対象業務のタスクを抽出・整理・実行する「Smart AI Agent®」の実現をめざします。当社のビジネスでは、ソフトウェア開発の大幅な生産性向上や実践的AI人財の育成を加速します。これらを通じて、AIネイティブな業務プロセス改革に取り組み、人手不足等の社会課題解決に貢献するとともに、人が付加価値の高い業務領域に注力できる世界を実現していきます。

注釈

  • 「トレンドエクスプローラー」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
  • 「LITRON」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
  • 「Smart AI Agent」は、株式会社NTTデータグループの米国、英国、欧州連合および日本国内における登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
  • 購買データおよびSNSデータは第三者提供合意のもと取得したデータです。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
第二インダストリ事業本部
食品・飲料・CPG事業部
第2ビジネス統括部
ビジネス担当
山﨑、安藤、佐藤

コンサルティング事業本部
コンサルティング事業部
カスタマー&マーケティングユニットコンサルティンググループ
小木曽、武田、竹上

E-mail:cpg_cxconsulting@nttdata.co.jp