複数システム横断でAIが業務を自律的に実行する環境構築サービスを提供開始

~AIが複数システムを横断して一連の業務プロセスを完遂し、業務効率化や高度な意思決定を支援~

トピックス

2026年6月24日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、企業内の複数システムやデータ基盤を横断し、一連の業務プロセスをAIが自律的に実行できる環境構築を支援するサービス(以下、本サービス)を2026年7月より提供開始します。
多くの企業では、顧客管理、販売管理、データ分析、申請・承認などの業務が複数のシステムに分散しており、これらを横断的に処理するためには担当者がシステムを行き来しながら情報を収集・確認・判断する必要があります。業務効率化の手段としてAIの導入が進んでいるものの、個別システムでの利用にとどまっており、複数システムをまたぐ業務プロセス全体の実行には人手が介在しているのが実情です。
本サービスでは、AIに適したデータ整備、AIの判断基準となる業務文脈整備、AIが連携するためのシステム基盤の構築を一体で提供します。これにより、AIが複数システムを横断してデータ取得、分析、判断、申請処理までを一連の流れとして実行できる環境を実現します。AI自らが必要なデータを理解し、業務ルールや定義を踏まえながら、複数システムと連携して一定の業務を実行できるようになるため、企業の意思決定の質とスピード向上につながります。
さらに、NTTデータのAIサービス群「LITRON®」に加え、NTTデータが提供するプライベートAI基盤や、株式会社NTTの日本語特化の軽量LLM「tsuzumi 2」と連携することで、高いセキュリティや統制が求められる業務にも適用可能です。本サービスを通じて、NTTデータはAIを業務支援ツールとして活用する段階から、業務の実行主体として活用する段階への移行を支援します。

背景

企業のIT環境は複数のクラウドサービスや業務アプリケーション(SaaS)を組み合わせて利用する「マルチクラウド」「マルチSaaS」環境への移行が一般化し、業務は複数のシステムを横断して実行される構造となっています。
一方で、AI活用は依然として個別システムやデータ基盤単位にとどまるケースが多く、業務全体を横断した活用には至っていません。その結果、複数システムにまたがる業務では、人がデータを収集し、判断し、次の処理へつなぐ必要があります。
AIだけで業務を実行するためには、データが統一的に整理されていること、業務ルールや定義が明確化されていること、複数システムを横断して処理を実行できる環境が整備されていることが必要です。加えて、AIが加速度的に進化する中、AIの種類に依存せず共通して利用できる基盤整備が重要となります。
NTTデータは、これまで高いセキュリティおよびガバナンスが求められる金融業界をはじめとしたお客さまに対し、「Trusted Data Foundation」注1を通じて、全社的なデータマネジメントおよびデータ活用基盤の構築・活用支援を行ってきました。同基盤は、厳格なセキュリティおよびガバナンスを確保しながらも、柔軟かつ迅速なデータ活用を可能とするものであり、多くの実績と知見を蓄積しています。
さらに、複数プラットフォームを横断してAIが検索、分析、判断、業務実行まで行うユースケースの検証やシステム提供も行っており、実運用に耐えうるアーキテクチャおよび運用モデルを確立しています。これらの取り組みを通じて培ってきた知見をもと、全社規模でAIが一定範囲で自律的に業務を実行するシステム環境の構築サービスを提供開始します。

概要(特長)

NTTデータは2026年7月より、企業内の複数システムやデータ基盤を横断し、一連の業務プロセスをAIが自律的に実行できる環境構築を支援するサービスの提供を開始します。AIが業務を自律的に実行するためには、活用可能なデータ、判断の前提となる業務ルール、実行先となるシステム連携が一体的に整備されている必要があります。本サービスでは、データ整備、業務文脈整備、システム連携・実行基盤の3領域の構築を統合的に支援することで、AIが複数システムを横断して業務を遂行できる環境を実現します。

1.データ整備(AIが活用できるデータの整備)

AIが全社のデータを横断して活用できるよう、分散したデータを統合的に扱える環境を整備します。
企業内データの配置やデータの流れなどの現状を分析し、AI活用に適した整備方針の策定から実際の整備まで一貫して伴走支援します。構造化データに加え、文書、メール、ログ、音声などの非構造データもAIが利用可能な形式へ変換します。併せて、メタデータ整備、アクセス制御などのデータガバナンス設計、データ品質の維持に向けた仕組みの設計を行います。

2.業務文脈整備(AIが判断できるセマンティックレイヤー注2/オントロジー注3/コンテキストレイヤー注4の構築)

業務ルールや定義、社内規程、暗黙知を整理し、AIが参照可能な形で構造化します。
これにより、AIは業務ルールや制約を踏まえた判断を行うことができます。また、これら業務文脈をAIの判断プロセスに組み込むシステム設計や実装、運用ルールの整備支援およびAIエージェントを提供します。例えば「売上」「顧客」など、業務内容やシステムによって用語の定義が異なる場合でも、そのズレを解消し、統一した業務ルールや制約を踏まえた判断が可能となります。

3.システム連携・実行基盤整備(AIが複数システムを横断して業務を実行できる環境の構築)

AIが複数システムを横断して業務を実行できるよう、システム全体の設計と連携基盤の構築を行います。
既存の業務システム(Salesforce、ServiceNow等)やデータ・メタデータ基盤(Alation、Databricks、Quollio Technologies、Snowflake等)とAIエージェントを連携するために、仲介役となるAIゲートウェイ注5を設置し、システム連携アーキテクチャを設計・構築します。これにより、AIが複数システムを横断してデータ取得から業務実行までを一貫して行える環境を実現します。
また、複数システムを横断したAI活用において重要となる認証・認可、アクセス制御、監査ログ、説明可能性などのガバナンスについても、検討から実装まで支援します。さらに、高いセキュリティ要件に対しても、NTTデータが提供するプライベートAI基盤やNTTの日本語特化の軽量LLMであるtsuzumi 2との連携により対応可能です。

図1:本サービス全体概要

ユースケース

本サービスにより、AIが複数のシステムから必要な情報を探し出し、資料作成や申請・承認に必要な手続きまでを一連の流れで支援できるようになります。例えば、以下のような業務での活用が可能です。

  • 営業部門:
    顧客情報、商談履歴、契約情報、売上データなどをAIが複数のシステムから確認し、提案方針の整理や社内申請資料の作成を支援
  • 経営管理部門:
    売上、原価、予実、KPIなどのデータをAIが複数のシステムから集め、分析レポートの作成や承認に向けた情報整理を支援
  • 調達・購買部門:
    発注実績、在庫状況、取引先情報、社内ルールなどをAIが確認し、発注判断に必要な情報整理や申請手続きを支援
  • コンプライアンス部門:
    社内規程、取引情報、申請履歴、監査ログなどをAIが確認し、確認が必要な取引の抽出や証跡整理を支援

図2:AIによる業務のシステム横断実行イメージ

今後について

本サービスを通じて、NTTデータは業界・業種ごとのユースケース展開を進めるとともに、導入テンプレートや標準アーキテクチャの拡充を行います。併せて、LITRONサービス群や各種ソリューションとの連携、パートナー企業との協業を強化し、実運用に適用可能なAI活用モデルの展開を加速します。
さらに、AIがデータの収集・統合から品質管理、ガバナンス適用までを自律的に実行するAgentic AIによるデータマネジメントの技術確立に向けた実証実験を進めます。
これらの取り組みにより、企業におけるAI活用を個別業務の支援から、業務全体を横断して実行する段階へと引き上げます。

NTTデータグループが描くAI活用の未来

NTTデータグループは、積極的なAI活用の推進とガバナンスの両輪でお客さまのビジネス、当社のビジネスの変革を推進します。お客さまのビジネスでは、AIエージェントが指示に応じ自律的に対象業務のタスクを抽出・整理・実行する「Smart AI Agent®」の実現をめざします。当社のビジネスでは、ソフトウェア開発の大幅な生産性向上や実践的AI人財の育成を加速します。これらを通じて、AIネイティブな業務プロセス改革に取り組み、人手不足等の社会課題解決に貢献するとともに、人が付加価値の高い業務領域に注力できる世界を実現していきます。

注釈

  • 注1 Trusted Data Foundationは、さまざまな業界向けに支援してきたデータ分析基盤の構想立案・構築、データマネジメント戦略の策定・推進、情報活用組織の立ち上げ・運営サポートなどの実績を活かし、データ資産を分析活用するための環境をオールインワンで提供するソリューションです。https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/tdf/
  • 注2 セマンティックレイヤーとは、複数のシステム間で異なるデータの構造や名称(例えば、システムごとに異なる「売上」や「顧客」といった用語の定義)のズレを吸収し、ビジネス上の共通言語として統一的な意味(セマンティクス)を定義するデータアクセス層のことです。データベースの複雑な構造を隠蔽し、AIやユーザーが直感的にデータを横断して参照・活用できるようにする役割を担います。
  • 注3 オントロジーとは、業務ルール、社内規程、専門用語、さらには暗黙知といった特定の領域における「概念」と、それらの概念同士の「関係性」を体系化し、AI(コンピュータ)が意味を理解・処理できる形で構造化した知識表現のことです。これを構築することで、AIは単なる文字列の検索にとどまらず、業務の背景にある文脈や制約を踏まえた高度な推論や判断が可能になります。
  • 注4 コンテキストレイヤー(文脈レイヤー)とは、業務手順、承認ルール、例外処理、FAQ、過去事例など、業務文脈を正しく理解するために必要な背景情報を整理・管理する層です。これにより、単に文書を読むだけでなく、社内ルールや業務文脈を踏まえた判断・回答・提案が可能になります。
  • 注5 AIゲートウェイとは、複数のAIエージェント同士が、自律的に連携し合う中で、安全かつスムーズに通信できるよう仲介する役割を果たす。セキュリティやアクセス権限、データ連携を一元管理し、システム全体の混乱を防いで処理を最適化します。
  • 「Trusted Data Foundation」「LITRON」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
  • 「tsuzumi」はNTT株式会社の登録商標です。
  • 「Smart AI Agent」は、株式会社NTTデータグループの米国、英国、欧州連合および日本国内における登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
ソリューション事業本部
デジタルサクセスソリューション事業部
データマネジメントプラットフォーム統括部
田井中、樋口

テクノロジーコンサルティング事業本部
インダストリセールス事業部
蟹江、五十嵐