リアルワールドデータを活用した治験候補者の選定支援サービスを提供開始

~非構造化データの活用で治験候補者の探索を変革し、治験の迅速化と患者の治験参加機会の拡大を支援~

トピックス

2026年9月30日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は2026年7月、電子カルテデータなどのリアルワールドデータ注1を活用し、治験条件に合う候補者の探索を支援するサービスについて、医療機関との契約および製薬企業からの利用申し込みの受付を開始しました。2026年9月末時点で20を超える医療機関との協議を進めており、既に2医療機関が参画を決定しています。また、製薬企業からも複数の利用申し込みをいただくなど、本サービスへの高い期待が寄せられています。
従来、医療機関では医師や治験コーディネーターが診療録などを確認しながら治験候補者を探索しており、その業務負担が課題となっています。本サービスでは、参加医療機関に蓄積された非構造化データを含む電子カルテデータなどを活用する画期的な手法により、治験実施計画書の適格基準・除外基準に基づいて解析し、条件に合う候補者を抽出します。
これにより、医療機関の候補者探索を効率化するとともに、製薬企業による治験の円滑な実施を支援します。NTTデータは、治験を円滑に実施できる医療機関ネットワークの構築と製薬企業へのサービス提供を通じて、治験期間の短縮を支援するとともに、患者の治験参加機会を広げ、新たな治療選択肢へのアクセス向上に貢献します。

背景

新薬開発における治験では、治験実施計画書に定められた適格基準を満たす患者を見つけ、治験参加につなげる必要があります。一方、医療機関では、医師や治験コーディネーター注2がカルテなどの診療録を一件ずつ確認して候補者を探索するケースも多く、候補者探索に多くの時間と人的負担を要しています。治験における患者登録を円滑に進めるためにも、こうした業務の効率化が求められています。
また、日本では、国外で承認されている医薬品の国内承認が遅れる、あるいは国内で開発されない「ドラッグラグ・ドラッグロス」注3が課題となっています。治験を円滑に実施できる仕組みを整備し、国内での新薬開発を進めやすくすることは、その改善に向けた重要な取り組みの一つです。
NTTデータはこれまで、認定匿名・仮名加工医療情報作成事業者である一般社団法人ライフデータイニシアティブのもと、認定医療情報等取扱受託事業者として次世代医療基盤法認定事業「千年カルテ®」注4を通じて、非構造化データを含む医療情報の取り扱いや分析に関する知見を蓄積してきました。さらに2026年5月には、近畿大学病院と実施したリアルワールドデータを活用した治験候補者抽出の技術検証を完了しました注5。これらの知見と検証成果を生かし、本サービスに参画する医療機関と新たに業務委託契約を締結したうえで、各医療機関が保有・管理する医療データを活用した治験候補者の選定を支援するサービスの提供を開始しました。

概要

治験候補者の選定支援サービスは、医療機関に蓄積されたリアルワールドデータを活用し、条件に合う治験候補者を効率的に探索するサービスです。NTTデータが医療機関と製薬企業をつなぎ、治験候補者の探索を支援します。
本サービスの趣旨に賛同する医療機関との契約により、NTTデータが治験候補者探索のための医療機関ネットワークを構築します。製薬企業から特定の治験に関する候補者探索の依頼を受けると、対象となる参画医療機関における業務支援を行います。
NTTデータは、製薬企業から提供された適格基準・除外基準に基づいて検索条件を設計し、参画医療機関に蓄積された電子カルテデータなどのリアルワールドデータから、治験に合致する候補者を抽出します。処方情報、検査結果、バイタル情報などの構造化データに加え、経過記録や臨床サマリなどの非構造化データも活用することで、遺伝子検査結果や疾患サブタイプ、疾患の重症度などのより詳細な患者背景を踏まえた候補者探索ができます。
抽出した候補者情報は参画医療機関に共有し、医師や治験コーディネーターが内容を確認したうえで、治験参加候補者とするかを医療機関が最終的に判断します。
これにより、医療機関における候補者探索の負担を軽減するとともに、製薬企業による治験候補者の確保を支援し、治験の円滑な実施に貢献します。

図:サービスの概要

本サービスの特長

1.リアルワールドデータを活用した効率的な候補者探索

参画医療機関に蓄積された電子カルテデータを、治験の適格基準・除外基準に基づいて分析し、条件に合致する候補者を抽出します。実診療で蓄積されたデータを活用することで、医師や治験コーディネーターがカルテを一件ずつ確認する負担を軽減します。

2.非構造化データの分析ノウハウを活用

NTTデータは、診療録などの非構造化データを活用し、構造化データだけでは把握が難しい詳細な患者背景をとらえるための医療情報の分析に関する知見を蓄積してきました。本サービスには、こうした知見に加え、近畿大学病院との技術検証で得られた成果を生かしています注5。

3.医療機関と製薬企業をつなぎ、治験の円滑な実施を支援

NTTデータが製薬企業と医療機関の間に立ち、候補者探索に必要な調整からデータ分析までを一貫して支援します。これにより、医療機関の業務負担を軽減するとともに、製薬企業による治験の円滑な実施を後押しします。さらに、患者の治験参加機会を広げ、新たな治療選択肢へのアクセス向上につなげます。

今後について

NTTデータは今後、本サービスに参画する医療機関を拡大するとともに、2029年度までに20社以上の製薬企業による治験での利用拡大をめざします。
また、候補者探索にとどまらず、地域の医療機関が連携し、治験実施医療機関への患者紹介を通じて治験参加につなげる仕組みを構築するなど、候補者探索から治験への組み入れまでを一連で支援するサービスへの拡張を検討します。地域に潜在する治験候補者を治験実施医療機関につなぐことで、製薬企業による治験候補者の確保を後押しし、症例集積の迅速化と治験の円滑な実施に貢献します。
さらに、リアルワールドデータと大規模言語モデル(LLM)注6を活用した共同研究注7の成果を生かし、候補者抽出のさらなる精度向上、効率化、高度化を進めます。これらの取り組みを通じて、日本における治験環境の改善と新薬開発の迅速化に貢献します。

注釈

  • 注1 リアルワールドデータ
    医療機関における日常診療など、実際の医療環境で蓄積される医療・健康関連データの総称です。
  • 注2 治験コーディネーター(CRC:Clinical Research Coordinator)
    医療機関において、医師の指示のもと、治験参加者への対応や治験実施に関する調整・支援業務を担う専門職です。
  • 注3 ドラッグラグ・ドラッグロス
    国外で使用されている医薬品について、日本での承認が遅れることや、日本で開発されず使用できない状況を指します。
  • 注4 次世代医療基盤法認定事業「千年カルテ」
    「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報に関する法律」(次世代医療基盤法)に基づき、医療情報を研究開発などに活用する事業です。
  • 注5 「リアルワールドデータを活用した治験候補者抽出の技術検証を完了」
    NTTデータ、2026年5月25日、https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2026/052500/
  • 注6 大規模言語モデル(Large Language Model)
    生成AIの一種で、大量のテキストデータを学習し、文章の生成や要約などを行う人工知能技術です。
  • 注7 「治験候補者抽出の精度向上・効率化に向け、リアルワールドデータと生成AI(LLM)を用いた共同研究を開始」
    NTTデータ、2026年6月30日、https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2026/063001/
  • 「千年カルテ」は日本国内における一般社団法人ライフデータイニシアティブの登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
インダストリ統括本部
第二インダストリ事業本部
製薬事業部
サービス担当
関根、込山、森田、池ケ谷
E-mail:patient-recruitment@am.nttdata.co.jp