AIエージェントを活用した経営管理業務の高度化支援サービスを提供開始
~経営管理の業務知見とAI技術を組み合わせ、AIエージェントの構築から業務定着までを支援~
トピックス
2026年11月5日
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は株式会社FLUX(以下、FLUX)と共同で、2026年11月5日、AIエージェントを活用して企業の経営管理業務を高度化するサービスの提供を開始します。
本サービスは、経営層や経営管理部門からの質問に対し、AIエージェント注1が社内データを参照し、業績変動の要因分析や業績見通しの把握などを支援するものです。企業固有の用語やデータ間の関係、業務上の判断ルールを整理することで、AIエージェントが根拠となるデータに基づいて回答できる仕組みを構築します。NTTデータが20年以上にわたり培ってきた経営管理領域の業務知見と、FLUXのAI技術を組み合わせ、サービスの設計から導入、運用・改善までを一貫して支援します。
NTTデータは本サービスを起点とした関連ビジネスを推進し、今後3年間で累計100億円規模の事業創出をめざします注2。
背景
企業を取り巻く経営環境が変化する中、経営層や経営管理部門には、業績変動の要因や将来の見通しを迅速に把握し、データに基づいて意思決定することが求められています。一方、経営管理に必要なデータは複数のシステムや部門に分散しており、収集・分析に多くの時間を要しています。また、企業固有の業務知識や判断ルールが十分に整理・共有されておらず、分析結果が担当者の経験や知識に左右されることも課題です。
こうした課題に対し、複数の処理を自律的に実行するAIエージェントの活用が期待されています。一方、AIエージェントが企業の業務に即した分析を行うには、データを参照できる環境に加え、業務用語やデータ間の関係性、判断ルールを整理し、回答の根拠を確認できる仕組みが必要です。
サービスの概要
本サービスは、経営層や経営管理部門からの質問に対し、AIエージェントが社内データを参照・分析し、根拠とともに回答する仕組みを企業ごとに構築するものです。
例えば、「今月の営業利益が計画を下回った要因は何か」「年度末の業績見通しと改善策は何か」「経営資源を集中すべき事業はどこか」といった質問に対し、AIエージェントが業績変動の要因や将来の見通し、改善策の候補とその財務影響を、根拠となるデータとともに提示します。
本サービスでは、企業固有の業務用語や管理指標、データ間の関係性を「オントロジー注3」として体系化し、データの確認手順や計算・判断ルールを整備します。NTTデータとFLUXは、これらの設計からAIエージェントの構築・検証、実業務への導入、運用開始後の改善までを一貫して支援し、企業の経営管理業務の高度化を実現します。
図:「経営の問い」から意思決定までの5ステップと、ヒトとAIの役割分担
サービスの特長
(1)業務知識の体系化による回答根拠の明確化
企業固有の業務用語やデータ間の関係性をAIが理解できる形で体系化する「オントロジー」と、データ確認手順や計算・判断ルールを整備します。これにより、AIエージェントが必要なデータを特定・分析し、根拠とともに回答できる仕組みを構築します。
また、回答根拠の確認や人による検証を業務プロセスに組み込み、最終的な意思決定と説明責任は人が担うことを前提としています。
(2)構想策定から業務定着までの一貫した支援
NTTデータが20年以上にわたり培ってきた経営管理領域の業務知見と、FLUXのコンサルティング・エンジニアリング力を組み合わせ、対象業務の選定からAIエージェントの構築・検証、実業務への導入、運用開始後の改善までを支援します。
経営会議や業績見通しの更新など、日常の経営管理業務への定着を図るとともに、利用状況や課題に応じてAIエージェントの機能や適用範囲を継続的に見直します。
(3)既存システムやデータを活用した導入
既存のERP・EPM注4を置き換えることなく、会計・販売・購買・生産などの業務実績や、予算・業績見通しなどのデータを活用します。これらのデータを一次情報とし、業務用語やデータ間の関係性をオントロジーとして整理することで、AIエージェントが企業固有の業務内容に沿って分析できる環境を構築します。
新たなデータ基盤への全社的な集約を前提とせず、既存のシステムやIT投資を活用して導入できます。また、表計算ソフトで管理する補助的なデータも、既存の運用を維持しながら活用できます。
(4)段階的な導入と他業務への展開
まずは「営業利益が下回った要因」など、経営管理上の重要性が高く、回答の妥当性を検証しやすい質問からAIエージェントを構築します。検証結果を踏まえ、業績分析や予測、改善策の検討から、資本効率の分析、資本配分や事業戦略の検討へと適用範囲を広げます。
整備した業務用語や管理指標、計算・判断ルールは他の分析業務にも再利用でき、将来的には調達、生産、販売、人事などへの展開もめざします。
実施済みの検証内容
両社は本サービスの提供に先立ち、原材料費の上昇に伴う価格転嫁を題材にAIエージェントを構築し、汎用(はんよう)の生成AIとの比較検証を実施しました注5。検証では、実務レベルの粒度・形式・分量で作成した架空データを使用し、実際の業務における意思決定の流れを想定した検証課題を設定しました。検証の概要は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 検証データ | 原材料単価、部品表、製造原価、販売数量などの表形式データ43ファイル、社内規程、企画書、営業ヒアリング記録などの文書9ファイル(計52ファイル、44,039行) |
| 検証課題 | (1)原材料費の上昇が各商品に与える原価影響の把握 (2)値上げ実施時の販売数量や売上高、利益への影響分析 (3)値上げだけでは採算が回復しない商品の対応方針の検討 |
| 比較条件 | 同じ業務データと基盤モデルを使用し、汎用(はんよう)生成AIと、企業固有の業務知識や判断ルールをオントロジーとして整備したAIエージェントを比較 |
比較検証の結果、今回構築したAIエージェントは、汎用(はんよう)生成AIと比較して、企業固有の業務知識や判断ルールに沿った分析や回答根拠の提示において、より高い精度を実現できることを確認しました。具体的には、以下の6点で改善を確認しました。
- 業務上の関係性に基づくデータの特定:価格改定通知に記載された社内コードから、部品表を通じて中間品や完成品との関係性をたどり、原価上昇の影響を受ける商品を特定
- 社内規程に沿った計算:社内規程で定められた複数の算定方式に基づいて計算し、結果を提示
- 回答根拠の明示と検証可能性の確保:回答に使用したデータや確認・計算の手順を明示し、利用者が回答の妥当性を確認
- 情報不足や計算前提への対応:判断に必要な情報が不足している場合はその旨を示し、仮定した条件や計算の前提を明示
- 誘導的な質問への対応:特定の結論を誘導する質問に対しても、参照データや社内規程に基づき回答
- 処理の効率化:オントロジーに基づく必要データの絞り込みによる、AIへの入力情報量の抑制
本検証では、汎用(はんよう)生成AIと同じ基盤モデルを使用した比較を通じて、オントロジーと業務プロセスの整備が、企業固有の業務知識や判断ルールに沿った分析と、回答根拠の明示に寄与することを確認しました。
今後について
両社は、大企業の経営企画部門や事業部門の企画担当を中心に本サービスを展開します。導入実績を重ねながら、業界・事業特性に応じた知識体系や実装方法を蓄積し、業績分析・予測から資本配分や事業戦略の検討まで支援範囲を拡大します。
また、最新のAI技術を取り入れ、継続的な機能の向上を図るとともに、AIモデルやシステム基盤の変更にも柔軟に対応できる仕組みを整備します。
NTTデータは本サービスを起点とした関連ビジネスを推進し、今後3年間で累計100億円規模の事業創出をめざします。
株式会社FLUXについて
FLUXは、AIコンサルティングを専門とし、金融・製造・小売など幅広い業界でAI推進を支援するAIスタートアップ企業です。専門領域ごとに編成されたチームでプロジェクトを推進するAIコンサルタントおよびAIエンジニアが多数在籍し、技術面とビジネス面の双方で専門性を有しています。独自のKPIに基づく採用活動と教育プログラムにより、AI人材の確保と育成においても実績があります。
NTTデータとFLUXは2026年5月28日に資本業務提携を締結し、AIコンサルティングやAIサービス開発を含む上流領域の強化に向けた連携を進めています。その具体的な取り組みとして、本サービスを共同で提供します。
注釈
- 注1 AIエージェント:与えられた目的に応じて必要な処理を組み立て、データの参照や分析など複数の処理を実行するAIです。
- 注2 将来目標について:本目標は記載時点の計画であり、市場環境などにより変動する可能性があります。
- 注3 オントロジー:業務で使用する用語や概念の意味と、データ同士の関係を整理し、AIが企業固有の業務内容を解釈できる構造として定義したものです。本サービスでは、事業・製品・販売先などの階層構造、システムごとに異なる呼び方の対応関係、指標や業務上の関係性などを対象とします。
- 注4 ERP・EPM:ERP(Enterprise Resource Planning)は、会計、販売、購買、生産などの基幹業務のデータを統合して管理するシステムです。EPM(Enterprise Performance Management)は、予算編成、業績予測、実績管理、経営レポーティングなど、企業の業績管理プロセスを支えるシステムです。
- 注5 本検証について:実在企業のデータではなく、実務で扱うものと同等の粒度・形式・分量で作成した業務データに対して実施したものであり、実際のお客さま環境での性能や成果を保証するものではありません。実環境への適用時は、データ、業務ルール、評価基準を個別に設計し、検証を行います。
- その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
参考
本件に関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
コンサルティング事業本部
コンサルティング事業部
会計・経営管理ユニット
藤本、福持
E-mail:csaksales@kits.nttdata.co.jp