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技術のオーケストラを指揮する、ITアーキテクトへ/スペシャリストのキャリア

通信・小売・電力・広告・不動産などの様々なお客様に対して、ITを活用した課題解決を行うITサービス・ペイメント事業本部。そのなかで事業部を横断したプロジェクトの技術支援を行っているのがFR事業部 テクノロジーデザイン統括部です。今回ご紹介するのは、ここでITアーキテクトとしてデータ分析システムや店舗業務を支える大規模ミッションクリティカルなシステムに携わっている和田 崇礼です。インフラエンジニアとしてキャリアをスタートさせ、分散処理技術「Hadoop」の日本最先端の商用事例を多数生み出しながらITアーキテクトとして自身の専門性を追求する、彼のキャリアに迫ります。

目次

スペシャリストのキャリアはどのように形作られたのか

和田 崇礼
ITサービス・ペイメント事業本部
FR事業部 テクノロジーデザイン統括部

大学院で情報工学を修了した後、NTTデータに入社した和田。システムエンジニアとしての道を選ぶにあたってこだわっていたのは、特定の領域ではなくシステム全体を見渡せる仕事ができることでした。

入社後は事業部横断の技術支援チームに所属し、事業部が向き合う様々なプロジェクトの技術支援に携わります。その数は2021年時点で、顧客数14、案件25件以上。お客様の業界も通信、小売、電力、広告、不動産など、多岐にわたります。まずは入社からの和田のキャリアを振り返ります。

入社以来、インフラエンジニアからITアーキテクトとして幅広いビジネスのお客様の技術支援を牽引。また分散処理技術「Hadoop」の黎明期から国内最先端の事例を創出するなど、スペシャリストとしての道を歩んでいます。

最初に参画した案件では、データセンターへの機器設置工事業務などをはじめとしたインフラエンジニアとしての基礎を学び、2年目からはとある通信事業会社の店舗受付系システムの運用を担当することになりました。

当時のシステムは、私がプロジェクトに参画した時点でカットオーバーから年数も経っていました。また、度重なる追加開発や改修でシステム全体がかなり煩雑になっていて、私も運用の視点で苦労を感じていました。そんな中、システム更改のタイミングでアーキテクチャ全体の設計をご支援する機会をいただくことになりました。

和田にとっては、入社後初めてシステムのアーキテクチャから関わるプロジェクトでした。不安はなかったのでしょうか。

当時のシステムは運用に負担がかかる仕組みになっていました。何よりも現場で感じていた改善ポイントをアーキテクチャに組み込む絶好のチャンスだと考えて、性能評価の円滑な実施、アラート抑制のための仕組みなどの細かい要件をご提案しました。中には、お客様が要望として認識できていないために、要件に入っていないものもありましたが、丁寧に説明をしてご納得いただけました。

お客様からのご要望に応えることはもちろんですが、開発者、運用者も含めた関係者全員にとって最適なシステムを構築したいという想いが原動力になっていました。

日本でも前例のない、大規模Hadoop活用プロジェクト

次に和田が参画したプロジェクトが、自身のキャリアに大きな影響を与えることになります。

アサインされたのは、とある通信事業会社が蓄積してきた膨大な通信データの分析基盤開発でした。今でこそビッグデータの分析技術には様々な方法論がありますが、ご相談を受けた2010年当時はAIどころかクラウド技術すら浸透していない頃のことでした。そんな中、和田は、商用案件として日本国内でも前例のない超大規模な分散処理技術「Hadoop」の活用をお客様に提案することになります。

分散処理技術「Hadoop」

Apacheソフトウェア財団が運営するオープンソースプロジェクトのひとつとして開発が進められている並列分散処理を実現するオープンソースソフトウェア。NTTグループ各社をはじめとして、TwitterやFacebookなど先進的企業で利用され、極めて巨大なデータの高速処理を実現する。

当時のHadoopは、社内外を見渡しても大規模な商用運用の事例がない状況でした。もちろんお客様のご要望を実現するための他の選択肢もありましたが、「新しい技術を活用しましょう」という我々の提案を受け入れてくださった、お客様の期待に応えたい想いでプロジェクトに向き合っていました。

何もかもが手探り状態の中、和田達のプロジェクトチームは、サーバ900台を並べてクラスタを作る巨大システムの構築に取り掛かります。世界的に見ても前例のない規模のプロジェクトを進めていくにあたって、和田はその身をもってNTTデータの組織力・技術力を体験することになりました。

はじめは右も左もわからない状況でしたが、専門書籍を読み漁ったり、社外のカンファレンスに参加したりとかなり情報収集をしました。当時、Hadoopの専門家はまだ多くありませんでしたが、NTTデータは2008年からHadoopの研究・開発を始めていて、後に日本で初めてHadoopのコミッタ(主要開発者)に就任したメンバーも在籍するなど、この分野では国内有数の知見を持った専門部隊がありました。これはプロジェクトを進めるうえで、大きな助けになりました。

和田は社内の技術専門部隊と協力しながら、それぞれの領域に適した形で指示を出し、アウトプットを組み上げて最終的に一つの仕組みにするという重要な役割を担っていきます。このプロジェクトをきっかけに、和田は国内におけるHadoopの専門家として様々なプロジェクトに参画していくことになります。2017年には、大手自動車メーカーのコネクティッドカーに関わるプロジェクトに参画。自動車が持つ膨大なセンサーデータ活用のための情報処理基盤の検討等に携わるなど、NTTデータにおいても先端領域でキャリアを築いています。

テクニカル・グレード(TG)制度が専門家としてのキャリアの可能性を拓く

NTTデータは2019年10月より、専門性による貢献を主軸にしたキャリアパスであるテクニカル・グレード(TG)制度を新設しています。この制度の適用者として、専門分野で高いスキルを発揮することでお客様やプロジェクトへの貢献する道を選ぶことになった背景を、和田は次のように振り返ります。

これまで携わった仕事を振り返ってみて、「技術的な視点から、お客様と一緒により良い仕組みを共創したい」「エンジニアとして純粋に良いものをつくりたい」という共通の想いが自分のなかにあることを感じていました。

以前は、ある程度固まった仕様をもとにプロジェクトを進めることが多かったのですが、とあるプロジェクトでお客様と一緒にRFP作成段階から、仕様を検討する経験をしたことがきっかけで、「技術的にどのような設計がプロジェクトとしてベストか」をお客様と追求する面白さを感じました。

テクニカル・グレード(TG)制度の選択肢がなければ、管理職やマネージャーとしてのキャリアを歩んでいたのかもしれませんが、技術ドリブンでプロジェクト全体の仕様を設計するITアーキテクトという役割は、今の自分にぴったりだと感じています。

現在、和田はITアーキテクトとして日本を代表するような大手小売企業やグローバルアパレル企業のシステム内製化プロジェクトに携わっています。分散処理技術のスペシャリストとして、お客様から高い期待をいただくなか、今後どのようなことに挑戦してみたいかについて語ってくれました。

システム開発をオーケストラによる演奏だと考えたときに、ITアーキテクトはそれぞれの楽器(技術)を深く理解し、演奏家(開発メンバー、お客様)に寄り添って、技術的な視点からプロジェクトを導いていく指揮者だと、私は考えています。プロフェッショナルとしてこの道を追求していきたいですね。

また、後輩を育てる立場にもあるので、様々なプロジェクトで経験したアーキテクトの知見とお客様と一緒にプロセスをくみ上げていくノウハウを、少しでも若手に伝えていければと思っています。

エンジニアとしての専門性を突き詰め、特定の分野で突き抜けた価値を生み出す。
NTTデータは、社員の自分らしいキャリアのあり方をこれからも支援していきます。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです