大規模レガシーシステムの刷新を通して、資源の再分配を促進
──まず自動車開発統括部の特徴やミッションを教えてください。
小宮
自動車開発統括部は、大きく分けて4つの戦略領域に取り組んでいます。EV・SDVシフトによるモビリティのソフトウェア化を起点に、車両開発から運用・進化までを対象として、ハードウェア中心の発想からソフトウェア主導の価値創出へと転換する「sDx」、顧客接点のシームレス化、販売~リサイクル(廃棄)までのすべてのあり方を、バックエンド業務とサービスを一体で進化させる「sVx」、サステナビリティを起点に、エネルギー活用から資源循環までを視野に入れ、環境負荷低減と経済価値創出の両立を実現する「sGx」、そして、生産方式の見直しや供給網の分散化を起点に、調達・生産・物流を横断し、個別最適に分断されたサプライチェーンを強靭で柔軟な仕組みへと再構築する「sSx」 です。
今日集まった4人は全員、自動車の買い方や使い方などにフォーカスした顧客接点領域のDX支援に携わっています。
西川
顧客接点領域の中でも、吉田さんは自動車メーカー様のディーラー向けの受託開発プロジェクトを担当していますよね。小宮さん、島田さん、自分が所属するチームはそのプロジェクトから誕生したアセットをもとに販売会社向けのSaaS型基幹システムを開発し、自社プロダクトとして幅広いお客様に提案・導入していく、新たなビジネスモデルに注力しています。
島田
「脱SIer」が、私たちのチームのキーワードになっていますよね。
小宮
そうそう。現在のフェーズでは、お客様はもちろん我々自身の変革も重要テーマのひとつです。生成AIの台頭もあって、今後は開発そのものの付加価値が低下していくはず。そんな時代にどのような価値提供を目指していくべきかを統括部で議論し、「システムの手前にある、お客様の業務のあり方や顧客体験の将来像を提示する設計力と提案力を身につけるべきだ」と考えました。
そこで私たちのチームは業界共通で使える SaaS の開発・提供というアプローチをとり、吉田さんのチームは特定のお客様の伴走パートナーとして受託開発に臨んでいるという形です。
吉田
おっしゃる通りです。私たちのチームでは、大手自動車メーカー様のパートナーとして、全国4万人のユーザーが利用する「販社DX」と呼ばれるディーラー向け基幹システムを手掛けています。従来の基幹システムは、オンプレミス環境で30年以上使われてきたようなレガシーなもので、長期運用に伴う複雑化・老朽化が大きな課題でした。そこで新たな基幹システムでは、現状の業務はもちろん、新サービスの立ち上げなどにも適用しやすくなることを目指し、新しいアーキテクチャを提案・導入しています。
西川
自動車業界は「100年に一度の変革時代」と呼ばれるほど大きな構造転換の真っただ中にあります。環境変化への対応が必須であるにもかかわらず、レガシーシステムの保守・管理に莫大なコストがかかり、本来投資すべきところに投資できていないというケースが本当に多いです。新たなシステムやSaaSへの置き換えによってコストを削減し、その分の資源を顧客体験の向上に向けた施策へ再配分するという、業界全体にとって最も理想的な未来に向けて、私たちはご支援を続けています。
──自動車開発統括部にはどのような人財が集まっているのでしょうか?
島田
私は学生時代から自動運転やスマートライフに興味を持って研究テーマにしていたタイプです。NTTデータに入社する際も自動車領域が第一希望でした。吉田さんは、色々な部署を経験していますよね。
吉田
そうですね。小売流通のお客様のグローバルEC、システムの性能問題を解決するコンサルティングサービスなどに携わってきました。
小宮
西川さんは、私と同じく経験者採用での入社ですよね。せっかくの機会なので、NTTデータに興味を持ったきっかけを聞いてみたいです。
西川
前職では自動車メーカーの人間として、ディーラー向けの基幹システムを10年近く担当していました。そのうちに業界はCASEの時代を迎えるわけですが、購買体験やディーラーの業務の変革はなかなか進まず、基幹システムの刷新も後回しになりがちでした。
そこで1つのメーカーではなく、業界全体の進化に貢献できないかと考えていた時に、現在取り組んでいるSaaSプロジェクトの話を聞き、「大きな可能性を秘めているな」と感じて転職を決めた形です。小宮さんはお子さんが生まれたのが転職のきっかけでしたよね?
小宮
そうです。もともと自動車業界とは畑違いの出身ですが、子どもが生まれて自動車を日常的に利用するようになって、利便性を実感する一方で、ユーザーの利用方法や購入体験などに、デジタル化できる伸びしろがまだまだあるなと感じました。
例えば当時、アメリカでは中古車の購入から配送までオンラインで一括注文できるような、クルマの買い方そのものを変えるデジタルサービスが話題を呼んでいました。こういった先進的な取り組みを含め、NTTデータなら多様なメーカーを横断する形で自動車業界全体に関わり、社会的インパクトのあるサービスを生み出せるんじゃないかと。それに、顧客接点だけをとっても購入・レンタル・カーシェアなど、幅広い挑戦ができる土壌があると感じたのもポイントでしたね。
吉田
他にもAP基盤領域に特化した技術スペシャリストがいたり、プロジェクトに参画しているグループ会社には会計システムに精通した方がいたりと、技術力・業界知識・ビジネスノウハウなど、さまざまなスペシャリティを持った方が集まっている部署だと思いますね。
販売やリースの現場に向き合いながら、業界全体の変革をリードする
──現在担当しているプロジェクトの概要と、難しさや面白さを教えてください。
小宮
我々が取り扱っているのは、DMS(Dealer Management System)と呼ばれるSaaS型の基盤システムです。業界共通で利用できるプロダクトをつくるため、標準となる業務プロセスや機能を定義し、開発から導入まで一気通貫で関わっています。
ただし、汎用性の高い基幹システムの開発には、当然莫大な期間とコストがかかるもの。そこでまずは需要の高い機能から構築し、お客様それぞれの課題や要望に合わせてカスタマイズして提供していくことで、プロダクトの開発と拡販を両軸で進めています。
島田
私は自動車リース会社様を担当し、現在は導入先企業の一員としてプロジェクトを推進しています。業務要件の整理やステークホルダーとの調整を行ってスムーズな導入に向けた支援を行っています。
西川
上流も大事ですが、現場への導入をリードするのも重要ですよね。
島田
本当にそう思います。どのお客様も現場の方々への影響を強く意識されている印象です。なので私たちも、全国の支店を視察したり、事前ヒアリングを行って業務がどのように変化するのかをリサーチしたり、現場で説明会を行ったりと、地道な取り組みが大事だなと感じています。
吉田
自動車業界のお客様は、「今のままではダメだ」「変えていきたい」という熱量や、業務とシステムの変革に対する想いが強いですよね。その気持ちに応えながら、顧客接点領域の根幹を担うシステムに携われるのは大きなやりがいです。
エンジニアとしては、モダンな技術を積極的に使えるのもすごく面白いポイントなんですよね。私はインフラとSREのリーダーを担当しているのですが、従来のシステムはモノリシックな構造で、どうしても拡張が難しい面がありました。そこで、新たなシステムでは今後の拡張性も見据えてマイクロサービスのアーキテクチャを採用。販売会社様の業務をいくつかに細分化し、それぞれを1つのシステムとしてアジャイルで開発しています。最終的には、それらのサブシステムを組み合わせて構成する形で、「販社DX」という基幹システム全体をつくり上げる設計にしています。
小宮
ちなみに技術スタックはどんな感じなんですか。
吉田
AWSの中でもサーバーレスのアーキテクチャを採用し、AWS LambdaやAmazon API Gateway、Amazon Auroraなどを使用しています。フロントエンドはServiceNowです。仕事を通じて新しい技術でモノづくりができるところに面白みを感じています。
小宮
それはエンジニア冥利に尽きますね!
吉田
小宮さんの思う面白さについても聞いてみたいです。
小宮
特定の1社にとどまらず、業界全体に影響力を発揮できる点は、NTTデータならではの面白さかもしれません。私の場合、自動車メーカーだけでなく、各社から構成されている業界団体とも頻繁にやりとりさせてもらっていますから。
西川
それは私も感じています。私たちの部署は自動車メーカー様や販売会社様と相対していますが、NTTデータの公共・社会基盤分野では国土交通省やその外郭団体などとともに自動車関係のプロジェクトに取り組んでいる部署もありますよね。こうした部署と連携することで、お客様が抱えているリアルな課題をリサーチできるし、私たちと公共分野のメンバーがワンチームとなって打ち手を示すこともできます。
また、国は今、自動車保有に関する複雑な手続きに関して、便利な電子申請の利用率向上を推進しています。こうした日本の制度をより良いものにすることにも挑戦できる。これは大きなやりがいですね。
──業務を通して、どういった成長実感を得ていますか。
西川
あらゆる自動車メーカーとの取引を通じて、特定のメーカーにいるだけでは絶対に知ることができないような情報が集積しています。その情報をインプットすることで、SaaSの開発や導入に活かすこともできれば、お客様の事業変革に役立てることも、具体的かつ実践的な「あるべき論」を検討することもできます。前職時代よりも、自動車業界に関する知見は確実に深まりましたね。
島田
ビジネス視点も磨かれます。私の場合は2年目から利益管理表を作成し、売上・コスト・利益などの数値を自分の手で管理してきました。その経験があったからこそ、プロダクトの開発や導入に取り組む前に、ビジネス全体を俯瞰して捉えることができるようになりました。
小宮
たしかに、この事業部に限らず NTTデータは「現場主義」と「ボトムアップの文化」が根付いていて、現場に権限と責任がしっかり委譲されています。人・モノ・金をマネジメントする機会が圧倒的に多いし、マネジメントスキルは確実に伸びますよね。それに多様なお客様、多様なプロジェクトに参画できるため、顧客折衝能力も磨かれるはずです。
新スタンダードをつくるのに必要な資質は「傾聴力」と「自走力」
――自動車業界ではさまざまな面で変革が進んでいます。そのような中でNTTデータだからできることは何だとお考えですか?
小宮
通常、業界全体に影響を与えるのは簡単ではありません。しかし、私たちはあらゆる自動車メーカーや業界団体とコネクションを構築しており、かつ、デジタルに関する高い実行力を持っています。
それらすべてを活かせば、自動車業界の次世代のスタンダードをつくる支援も可能だと思いますし、消費者にもより便利な体験を届けられるはず。こうした可能性を持ったプレイヤーは、日本でもごくわずかだと思います。
西川
ただ変えるのではなく、「守りながら変える」が実現できますよね。自動車業界は日本の基幹産業であり、一説には500万人以上が従事していると言われています。それに各自動車メーカーが構築してきたエコシステムやバリューチェーンには、世界に誇れるような仕組みも少なくありません。そういった独自の価値や雇用などの業界全体で積み上げてきたものを守りながら、より良い仕組みをつくっていけたら一番ですよね。
――自動車開発統括部には、どんな人財がマッチするとお考えですか?
吉田
私はビジネス視点やマネジメント能力はもちろん、システムをつくる側の人間として技術に対する知識や興味も持っていてほしいなと思っています。例えばAWSがどういうサービスで、どういう時に1番使われるべきなのかが頭に入っているかどうかで、提案できる内容も変わってきますし、ビジネスサイドにも好影響を生むようなより良いシステムができるんじゃないかと思っています。
小宮
私自身もそうでしたが、自動車領域やモビリティ関連の開発を手掛けてこなかった方も活躍と成長のチャンスは十分あると思います。重要なのは、「傾聴力」と「自走力」の2つです。お客様の要望をただ表面的に受け取るのではなく、「本質的な課題や目的は何なのか」を深く理解し、解決すべき問題を特定していくような、傾聴から問題設定までの力がこれからは重要になってくるからです。
また、NTTデータはボトムアップの会社です。逆に言えば、上から問題設定をされることはありませんし、待っていれば解決手段をレクチャーしてもらえるわけでもありません。自ら見出した問題の本質に対して自分で動き、自分で調べ、自分で提案していくという行動力が問われてきます。
――最後に、皆さんがこれからチャレンジしたいことを教えてください
西川
私の目標は現在のSaaS案件をより拡大させ、日本の基幹産業である自動車業界を盛り上げていくことです。そのためにも、一つひとつの業務を通してプロジェクトマネジメントのスキルや技術面のスキルをさらにレベルアップしていきたいと思っています。
吉田
私は、いわゆるT字型の人財を目指したいと思っています。何かひとつ特定の技術分野のスペシャリティを高めつつ、そのうえで幅広い知識を併せ持つのがT字型人財の特徴ですが、私は特にジェネラリティの部分を磨いていきたいですね。スペシャリティだけを伸ばしてしまうと、「技術的にはこれが最適解だ」「なぜやらないんだ」と、どうしても技術ありきの発想になりがちです。
しかし、知識の幅を広げてお客様の視点やエンドユーザーの視点からも見たうえで、技術面で全体最適を図ることができれば、今以上に質の高いシステム開発ができるはず。これからもアプリ・インフラ、上流・下流と幅広い経験を重ねて自分の強みを磨いていきたいです。
島田
私も吉田さんのように、これまでの経験に加えて、さらに幅広い領域やプロジェクトに関わりながらスキルの幅を広げていきたいと考えています。特にこれまでは上流工程を中心に携わってきましたが、開発の実務やコーディングなどは経験が浅いので、技術的な理解度をもっと高めていきたいです。そして技術に精通したうえでプロジェクトを推進できる存在を目指したいなと思っています。
小宮
今は顧客接点領域の中でも「自動車の販売とアフターサービス」にフォーカスしていますが、NTTデータならば、クルマの利用そのものをもっと便利にするようなサービスづくりもできると感じています。クルマによる移動は、人生を豊かにするものです。私自身、子どもと色んなところへ出かけて思い出をつくったり、クルマがあるからこそできる趣味も持てました。しかし、今の社会ではそうした豊かさを誰もが享受できるわけではありません。
NTTデータが有するアセットや先進的なデジタル技術を用いれば、自動運転、乗り合いバス、カーシェアなど、クルマを利用するための敷居を下げるさまざまな手段を生み出せるはずです。Web上やスマホの画面上だけでなく、リアルな体験そのものを含めて便利に変えていけるのが、この仕事ならではの魅力。クルマによる移動をもっと自由にするチャレンジができたら面白いですね。
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電動車や自動運転技術をはじめ、自動車自体が急速に進化する中、クルマの購入や利用のあり方も進化が求められています。変革期を迎える自動車業界に向き合い、新たなスタンダードをつくる挑戦は始まったばかり。今だからこそできる経験が、この部署で待っています。


