今後のキャリアを考えていたときに出会えた、デュアルキャリアという挑戦の場
Q:一ノ瀬さんがデュアルキャリアに興味を持った経緯を教えてください。
私が所属する法人分野では近年、キャリアオーナーシップの醸成に力を入れています。その取り組みの一環として受講した「キャリアドック研修」を機に、キャリアについて深く考えるようになったんです。ずっと続けてきた、お客様に向けたシステム開発を続けていくのか。それとも、異なる領域の仕事にチャレンジするのか。何がベストか迷走してしまい、上司に相談したところ「デュアルキャリアをやってみたらいいんじゃない?」とアドバイスをいただきました。デュアルキャリアなら、興味のある業務に期間を定めてチャレンジできると知り、その気軽さに惹かれました。
Q:兼務先のポスト(コロナ禍以降のあるべき全社総労働時間を定義するための仮説検証/分析プロジェクト)はどのように選びましたか?
以前から関心のあったデータ分析業務にチャレンジしたいと考えていました。その背景は、これまでの業務経験にあります。長年にわたりシステム開発に従事する中で、何度かデータ分析業務に携わる機会はあったのですが、PoCで終わったり、導入が決まったタイミングでプロジェクトを離れることになったりと、なかなか腰を据えて取り組むことができていませんでした。
また、あるプロジェクトを通じて社内の多様な部署と密接に連携する楽しさを知り、社内向けの仕事ももっとやってみたいと思っていたんです。「データ分析業務」と「社内向け」というふたつの条件がぴったりと合致していたのが、応募先のポストでした。
Q:デュアルキャリアに応募するにあたり、不安はありましたか?
私は時短勤務のため、そもそもの稼働が8割です。そこにデュアルキャリアの2割稼働が入ると、本務に充てられるのは6割稼働のみ。限られた時間の中で、仕事を円滑に進められるか当初は自信がありませんでした。そこで、上司に不安を吐露したら「サポートするよ」とあたたかく声をかけてもらえたんです。周囲の「新しいことにはチャレンジする、為せば成る」といった考え方にも背中を押されましたし、「もし何かあっても誰かが支えてくれる」という安心感があったので、前向きな気持ちで応募できました。
Q:デュアルキャリアに合格した際の周囲の反応はいかがでしたか?
「面白そう!今度チャレンジしてみようかな」と興味を持ってくれる人もおり、潜在的に求められていた制度なんだなと感じました。
周囲の助けを借りながら成長でき、思わぬ大きな成果も
Q:デュアルキャリアを開始するにあたり、兼務先の受け入れ体制はいかがでしたか?
兼務先の人事本部には知り合いがひとりもおらず、どのような組織かあまり知りませんでした。うまくなじめるか心配はあったのですが、それは杞憂でした。兼務初日に「人事本部とは」という初歩的なことから教えてくださり、あわせて、人事本部のさまざまな方を紹介してもらえました。みなさんがあたたかく迎えてくれて、なじめるよう手厚くフォローしてくれたおかげで、難なく立ち上がれたと思います。また、業務においても、こちらの希望を汲んでくださり、私が使ったことのある分析ツール「Tableau」を導入していただけて助かりました。
Q:兼務先で一ノ瀬さんは、どのようなミッションに取り組みましたか?
大きく分けて2つの人事施策の仮説検証に取り組みました。テーマは、任期の前半は「有給休暇取得率向上に向けた仮説検証」、後半は「総労働時間とエンゲージメントとの相関分析」です。どちらも、課題の明確化から始め、各種定量データの分析、ヒアリングによる定性分析を行い、仮説を検証するという流れで進めました。分析業務にとどまらず、報告書にまとめるまでの一連のプロセスを経験できたことは、「今後のキャリアに直結するスキルが習得できた」という手応えがありましたね。
遂行する中で新鮮に感じたのは、課題との向き合い方です。これまで私自身が経験してきたシステム開発では課題が明確だったので「どう解決するか」に集中できました。一方で、今回のテーマでは、まずはターゲットを定める「目標達成型」のアプローチが求められました。不慣れな手法で大変ではありましたが、視野が広がり、柔軟な思考や戦略的な視点を養う貴重な経験になりました。
Q:プロジェクトを通して達成できたことを教えてください。
取り組んでいた2つのミッションでは、いずれもプロジェクトメンバーは私だけでした。しかし、兼務先の部長をはじめ、部のみなさんの力を借りることで困難な状況を乗り越えられたと感じています。たとえば、NTTグループ全体で蓄積しているデータを用意してくれたり、壁打ちやブレストに付き合ってもらったり。労務担当ならではの目線で、さまざまな意見をいただけたおかげでブラッシュアップを重ねることができ、自分だけでは到達できなかったクオリティのアウトプットができました。
デュアルキャリアを終えてしばらく経ったころ、兼務先の上司から、私が取り組んだ結果は方針策定につながり、全社説明会を実施することになったと報告をいただいたんです。「興味があることを、まずはやってみよう」と気軽にチャレンジしたデュアルキャリアで、そんな大きな成果が出せるとは思ってもいなかったので、とても驚きましたね。
Q:次に、一ノ瀬さんがデュアルキャリアをしていた際の働き方について教えてください。
どのようなスタイルで働きたいか、兼務先の上司にヒアリングしていただき働き方を決定しました。1日の中で時間を分けるより、1日単位で区切ったほうが集中しやすいと考え、兼務先の定例ミーティングがある水曜日をデュアルキャリアに充てました。もう少し兼務に充てたいと感じることもありましたが、曜日で分けたことで切り替えはしやすかったと思います。
デュアルキャリアを経験したからこそ決心できた「次なる道」
Q:デュアルキャリアに参加したことで、仕事への向き合い方に変化はありましたか?
以前より時間管理に対する意識が高まりました。デュアルキャリアの限られた稼働の中で、また労働時間に関する業務に従事していたこともあり、私も効率的に仕事を終わらせることをより一層心がけるようになりましたね。タスクに優先順位をつけ、時にはその日の着手を見送るという判断もするようになりました。
資料作成のスタイルも大きく変わりましたね。以前は、「口頭で補足すれば十分」と考え、最低限の情報しか記載していなかったんです。そのような資料をもとに兼務先の統括部長へ報告に伺ったところ、「読んだだけで意図が伝わる資料」であることが大切だとアドバイスをいただきました。それは、お客様や協力会社向けの資料にも通じるものだと気づき、以来、情報量やメッセージ性、ストーリー性を意識しながら資料づくりをしています。
Q:キャリアにおける変化があれば、教えてください。
デュアルキャリアでデータ分析業務にじっくり向き合えたことで「この道に進みたい」と強く認識できました。そして、デュアルキャリアを終えてすぐに「データ分析業務ができる部署へ異動したい」と上司に申し出たんです。その2か月後に希望が叶い、現在は、製薬業界向けのデータ分析プロジェクトに参画しています。デュアルキャリアに参加していなかったら、いまのキャリアにはたどり着けていなかったですね。「お試し」という軽い気持ちで始めた挑戦でしたが、一歩を踏み出せたことが大きな転機につながりました。
Q:最後にデュアルキャリアのおすすめポイントを教えてください。
兼務先で実施したエンゲージメントに関する分析では、スキルに見合った刺激的な挑戦をしている人ほど得られる達成感が高くフロー状態に入りやすいという結果が出ました。デュアルキャリアは、本務を続けながら自分の強みを生かし、新しい挑戦ができる機会です。私もデュアルキャリアに参加したことで、本務ではできなかった経験を積むことができ、それがキャリアのモチベーションの高まりにつながりました。想像以上に、得られるリターンは大きいので、ぜひチャレンジを楽しんでほしいです!


