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金融サービスを支える基盤には、技術者が挑める開発の最前線がある

高井は入社以来、「ANSER」の基盤開発に携わり、現在は法人向けマルチバンクサービスの更改プロジェクトで、サーバ基盤チームを率いています。前例の少ない環境への移行に、自ら手を動かしながら挑み、技術的な壁を越えていく。そうした経験は、高井に技術者としての自信を与え、チーム全体を見渡す視点も育てました。本記事では、開発の最前線で得られる成長と、金融の技術をつなぎ始めた金融高度技術本部の可能性を紹介します。

目次

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新しい技術に挑みながら、確かな品質をつくり込む

──サーバ基盤開発の面白さについて教えてください。

OSを載せ、その上にミドルウェアを構築し、試験を重ねながら一つのシステムとして動く環境をつくり上げていく。自分で手を動かした結果を最後まで確かめられることが、基盤領域の開発の面白さだと思います。利用者からは見えにくい領域ですが、アプリケーションやサービス全体を動かす土台を、自分たちの手でつくり込んでいくことに大きな手応えがあります。

実は、入社時から基盤領域の開発を志望していたわけではありません。「技術に関わる仕事がしたい」という思いはありましたが、当時はどちらかといえばアプリケーション開発をイメージしていました。面談でサーバ基盤担当を勧められ、実際に設計から構築、試験まで経験する中で、この領域の奥深さに引き込まれていきました。今では、サーバ基盤担当になってよかったと思っています。

──現在は、どのようなプロジェクトと役割を担当していますか。

現在は、企業が複数の金融機関と安全に取引できる、ブラウザ対応の法人向けマルチバンクサービスの更改プロジェクトに携わっています。私たちサーバ基盤チームが担当するのは、クラウド上に構築するゲストOSやミドルウェアです。Linuxをはじめ、Apache、Tomcat、PostgreSQLなどを組み合わせ、アプリケーションが安定して動く環境を設計・構築しています。

現在、私は5人ほどのチームを率いる立場ですが、技術から離れたわけではありません。メンバーへの指示やスケジュール管理、他チームとの調整を行いながら、自らもデータベースやセキュリティに関するミドルウェアを設計・構築しています。チームを動かす責任と、自分の手で技術的な課題を解いていく手応え。その両方を経験できることが、今の役割の面白さです。

──今回の更改では、どのような技術的な挑戦がありますか。

今回の更改では、データセンタの移転や利用する社内クラウドのサービス変更に加え、OS・ミドルウェアのバージョンアップにも取り組んでいます。特に、ANSERシステムとして、新センタに構築された OpenCanvas 環境を利用するため、新たな環境の仕様に合わせて、構成や設定、移行方法を一つずつ考えなければなりません。

もちろん、最初から答えが見えているわけではありません。マニュアルを読み、実際に試し、思い通りに動かなければ原因を調べる。その繰り返しの中で、少しずつ前へ進んでいます。前例が少ないからこそ、自分たちが考えたことが新たな知見になっていく。技術的な壁を越えるたびに、開発を自分たちの手で進めている実感があります。

──新しい環境への移行を進めるうえで、特に意識していることは何ですか。

新しい技術や環境を取り入れながらも、金融サービスに求められる品質を置き去りにしないことです。技術者としては新しいものに魅力を感じますが、最新であれば最適とは限りません。安定性やセキュリティ、将来の利用規模まで見据え、安心して使い続けられる構成になっているかを、一つひとつ確かめる必要があります。

現在は試験フェーズにあり、本番稼働後に起こり得る問題をできる限り減らすため、不具合だけでなく小さな懸念も拾い上げています。気になることがあれば、自分の中だけで閉じず、早い段階で周囲へ共有することも意識しています。基盤が止まれば、そこで動くアプリケーションや、その先の金融サービスにも影響が及びます。前例の少ない環境への移行に取り組むからこそ、最後まで品質に向き合う。それが、サーバ基盤を担当する私たちの責任だと考えています。

任されることで視野が広がり、技術が確かな自信に変わった

──これまでのキャリアで、印象に残っているプロジェクトを教えてください。

以前携わった個人向けインターネットバンキングサービスの更改プロジェクトが、特に印象に残っています。私はサブリーダーとして、クラウド環境だけでなく、オンプレミス環境を含むOS・ミドルウェアの設計・構築を担当していました。

あるとき、サーバのリソースが高騰し、クラスタが切り替わる事象が発生しました。想定外の事象を前に、現場の空気が一気に張り詰めたことを覚えています。早く原因を見つけなければならない状況で、これまで学んできたクラスタの知識をもとに、「まずはこのログを見よう。次はここを確認しよう」と、一つずつ事象を切り分けました。その結果、原因と考えられる箇所を絞り込むことができました。緊張感のある現場で、自分の知識が実際に役立った。あの瞬間の手応えは、今も強く残っています。

──その経験は、ご自身にどのような変化をもたらしましたか。

これまで積み上げてきた技術や経験は、いざというときに裏切らないのだと実感しました。学んでいる最中には、身につけた知識がいつ役立つのか分からないこともあります。しかし、緊迫した現場で必要なログにたどり着き、原因の候補を絞り込めたことで、点在していた知識が実践の中でつながったように感じました。

同時に、トラブル対応では単に製品知識があればよいのではなく、事象を整理し、どの層に問題があるのかを順序立てて考える力が重要だと学びました。設定、ログ、プロセス、リソースの状況を確認し、可能性を一つずつ切り分けていく。この経験を通じて、自分なりの調査の進め方や勘所が少しずつ身につきました。技術者として自信を持つきっかけになった、大きな成功体験だったと思います。

──若いうちから仕事を任された経験も、成長につながっていますか。

個人向けインターネットバンキングサービスの更改では、決められた手順通りに作業するだけでなく、自分で調べ、設計し、構築するところまで任せてもらいました。技術的に難易度の高い仕事に、自分なりの答えを持って取り組み、責任を持って進められたことは大きかったです。

もちろん、すべてを一人で決めるわけではありません。自分の考えを上司や有識者に伝えると、必要に応じて助言をもらえますし、方向がずれていれば軌道修正してもらえます。ある程度の裁量を与えてもらいながら、挑戦を支えてくれる環境がありました。自分で考えた設計だからこそ、うまく動いたときには大きな達成感があります。言われたことをこなすのではなく、自ら考え、主体的に仕事を進めた経験が、技術を自分のものにするきっかけになりました。

──現在、チームの判断を担う立場になり、仕事の見え方はどう変わりましたか。

以前は、自分が担当するOSやミドルウェア、目の前の作業を中心に考えていました。現在は、チーム全体の進捗に加えて、他チームとの関係やプロジェクト全体の動きまで見ながら判断する必要があります。自分の作業を終えるだけでなく、チーム全員が迷わず前へ進める状態をつくることが、自分の役割になりました。

リーダーになって気づいたのは、少人数のチームであっても、メンバーそれぞれが高い専門性を持って動くことで、大きな推進力が生まれるということです。一方で、私が誤った方向を示せば、その力を違う方向へ向かわせてしまいかねません。だからこそ、指示を出す前に自分が一歩先を見て、課題や必要な作業を整理するようになりました。プレッシャーはありますが、自分の判断によってチームが前進する手応えは、担当者だった頃には得られなかったものです。技術を深めるだけでなく、チーム全体で成果を出すことにも、今は面白さを感じています。

金融の技術をつなぐ、新たな組織が動き始めている

──金融高度技術本部ならではの特徴を、どのように感じていますか。

金融高度技術本部は、金融分野のさまざまなプロジェクトで基盤領域の開発を担ってきた技術者が集まる、まだ発足して間もない組織です。同じ基盤領域でも、お客様やシステムが異なれば、採用する技術や開発の進め方、課題へのアプローチも変わります。これまで接点のなかった人やプロジェクトを知り、自分の担当業務だけでは得られない視点に触れられることは、この組織ならではの魅力だと思います。

現在はキックオフなどを通じて、異なるプロジェクトに携わる技術者が顔を合わせ、横のつながりを少しずつ築いている段階です。AIを活用した設計書レビューなど、他の現場で進められている取り組みを知り、「自分たちの業務にも応用できるかもしれない」と考えるきっかけも得られました。今後さらにプロジェクトを越えて相談できる関係が増えれば、これまで一つの現場に閉じていた技術やノウハウも、もっと活かしやすくなるはずです。私自身も、そうしたつながりを仕事に活かしていきたいです。

──金融高度技術本部には、どのような学びの環境がありますか。

金融高度技術本部は、技術者の育成にかなり力を入れていると感じます。年次を問わず社内外の研修への参加が推奨されているほか、本部独自の専門的な研修も用意されており、業務に必要な知識を実践的に身につけられる環境です。

私も、本部から案内されたPostgreSQLの研修に参加しました。当時、データベースに関する経験が浅く、自分にとって強化すべき領域だと感じていたため、自ら手を挙げたのです。研修では、知識を学ぶだけでなく、実際にデータベースを構築するところまで経験でき、そこで得た知識は現在担当している設計・構築にも活きています。

また、研修が有意義だったことをチーム内で伝えたところ、別のメンバーの参加にもつながりました。一人の学びが次の人の挑戦を後押しし、そこで得た知識が再び現場へ還元されていく。そんな学びの連鎖が生まれることも、この組織の魅力だと思います。

──金融高度技術本部で、今後どのようなキャリアを築いていきたいですか。

まずは、現在の更改プロジェクトをリーダーとして最後までやり切ることが目標です。そこで得たクラウド環境への移行経験や、OS・ミドルウェアの知識を次の案件にも活かし、特定の製品やシステムにとどまらない専門性を身につけたいと考えています。今後、金融高度技術本部の横断的な取り組みが進めば、プロジェクトの枠を越えて、異なるシステムや開発手法に触れる機会も増えていくと思います。私自身もそうした機会を活かして、技術者としての視野を広げていきたいです。

将来めざしているのは、「このシステムの基盤については、高井に聞けば分かる」と言ってもらえる存在です。サーバ基盤全体を俯瞰する技術力と、チームを導く力の両方を磨き、いずれはシステムアーキテクチャ全体の設計にも挑戦したいです。

──最後に、金融高度技術本部に関心を持つ方へメッセージをお願いします。

金融高度技術本部の魅力は、難易度の高い開発案件に携わりながら、技術を深められることだと思います。基盤領域は利用者から見えにくい一方で、すべてのアプリケーションを動かす屋台骨でもあります。自らOSやミドルウェアを設計・構築し、試験を通じて品質を確かめる。そうして自分たちがつくったものが、数年にわたり社会を支えるシステムとして使われていくことには、大きな手応えがあります。

専門的な研修に加え、周囲の支援を受けながら、必要な技術を身につけていくことができます。また、年次にかかわらず、自分の意見や考えを仕事に反映できる機会があることも特徴です。今の専門性をさらに深めたい方はもちろん、これまでの経験を足掛かりに技術者としての幅を広げたい方にとっても、挑戦しがいのある組織だと思います。少しでも興味があれば、次のキャリアを考える際に、金融高度技術本部に目を向けてもらえるとうれしいです。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです