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2018年9月12日技術ブログ

技術トレンド「イノベーションデザイン」 NTT DATA Technology Foresight 2018シリーズ~Vol.10

NTTデータが導出した2018年の情報社会や技術のトレンド「NTT DATA Technology Foresight(※1)」を全10回で紹介。第10回は技術トレンド「イノベーションデザイン」。

ITが生み出した革新

ビジネスは、IT化で多くの革新を生んできました。IT化とは、商材やサービスがITでコントロールできるように変わることです。IT化したビジネスは、プロトコル(通信時の約束事)が決まれば相互接続と連携を容易に実現します。この特性を活用し、既存の有力なサービスとインターネットを経由して連携し、組合せでビジネスを実現する仕組みが一般化しました。これはAPIエコノミーとも呼ばれ、ビジネスの立ち上げに必要なスピードだけでなく、コストも低減しています。

今後もIT化する領域は拡大を続け、これまでIT化がもたらした技術とそれを活用した革新を確認し、さらに興隆する新たな動きを認識することで、ビジネスに革新をもたらすデザインが可能になるでしょう。

パーソナライズが生む革新

パーソナライズ技術を最大限活用したサブスクリプションモデルのビジネスも拡大しています。サービス提供者が、その人がその時観たい作品を極めて高い精度でリコメンドし、必要な時に必要なだけ、その人だけに適合した特別な割引やキャンペーンを提供する、といった個々のユーザ毎に最適化したサービスを提供します。これがユーザの満足度向上、信頼確保、契約継続をもたらします。オンラインで簡単に契約も解約もできる現代の流動性の高いユーザを、定額の安価な料金でまず加入させ、革新的パーソナライズで忠誠度の高い優良顧客に変えて、囲い込むためにIT技術は活用されています。

継続的改善が生む革新

さらにITの開発手法である継続的改善のフローをビジネスで活用する動きも注目に値します。ITの世界で、開発(Development)と運用(Operations)を分離せずに連携させ、ソフトウェアを継続的に改善していくやり方をDevOpsと呼びます。

このフローはサービスの改善にも利用できます。サブスクリプションモデルのサービスにおいては、ユーザに自分の判断が正しいと納得させ、サービスに慣れさせ、利用を拡大させ、契約継続を決断する一連のフローを、常にユーザからフィードバックを受けて、サービスを改善しながら提供する必要があります。

こうしたサービスのデザインと、フィードバックを受けての改善が、継続的に続く手法をDesignOpsと呼ぶこともできます。サブスクリプションモデルが盛んになる今後のサービスやビジネスデザインでは欠くことのできない要素となるでしょう。

オープン化が生む革新

ITと一体化したサービスは、オープン化して世界にその価値を問うことも容易です。しかもオープン化は継続的改善をさらに強化する手段としても有効です。例えば大手ECサイト企業は、この特性を活用して、クラウドサービスや物流サービスなどの自社で利用するシステムを外部に公開したことで知られています。その目的は、ユーザのフィードバックやライバルとの比較をより広範囲に収集し、将来にわたって改善を継続する仕組みを組み込む点にあるのでしょう。結果的に、公開したシステムが世界最大のサービスに成長し、さらに改善を繰り返して継続的に強化されていったのはこの仕組みの成果と考えられます。

技術トレンド「イノベーションデザイン」

図1:技術トレンド「イノベーションデザイン」

既存産業を革新するビジネスデザイン

IT化の大波は自動車産業を飲み込みつつあります。自動運転という強力な革新が、運転者を分離して自動車を完全にIT化します。その時、既に述べたようなIT化の革新が、自動車ビジネスの主役を自動車製造業から奪っていく未来も予見できます。

こうした状況で大手自動車メーカが、未来の自動運転プラットフォームの開発を宣言したのは注目すべき動きです。彼らは、鍵となる自動運転技術の開発と強力な競争力を持つ自動車生産は自ら手がける一方で、自動運転車を統合的にコントロールするシステムをまとめて、ライドシェアリングサービス企業などに提供します。各企業はオープンなAPIを活用して自由にサービスを提供します。イメージビデオでは膨大な自動運転車一台一台が、状況に合わせて提供するサービスの役割を時間毎に変えながら、無駄なく効率的に動き回る、未来のモビリティサービスプラットフォームの姿が示されています。ITが生むビジネスの革新を全面的に取り入れた上で、自らのポジションを新しい形で確保する野心的な取組みが既存産業から提示されたのは大きなニュースです。今後様々な企業が革新的ビジネスデザインを実現する際の参考となる事例と言えるでしょう。

  1. ※1 「NTT DATA Technology Foresight」特設サイト
    http://www.nttdata.com/jp/ja/insights/foresight/sp_2018/index.html(外部リンク)
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