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2023年3月14日トレンドを知る

連載:一巡した企業のDX。つぎの潮流を読む(1)

デジタルトランスフォーメーション(以降DX)の取り組みを多くの企業が進めており、DXを企業文化に組み込み、新たな事業運営の仕組みを備える転換期が訪れている。DX推進を一通り実施した中で、次に立ちはだかる壁は何か?計4回の連載記事で紹介する。
目次

DX二巡目の到来

近年、急速にITの位置づけが、人手による既存業務の合理化・効率化の手段から、新たなサービス・商品・ビジネスモデルの創造、更なる自動化・効率化の手段へと変化し、各社ではDX組織の設立など、取り組みを進めてきた。(筆者らは2021年に「企業のDX推進アプローチ」として当時の状況、課題・ポイントについて紹介した。リンクは末尾)

その後一年あまりを経て、DXへの取り組みは一巡し、多くの企業では次のステップに進んでいる。
例えば、「取り組みが高度化しており、効果創出が難しい」「DXの裏側にある、既存業務・ITの変革が難しい」等といった課題に、多くの企業が直面している。

連載1回目の本稿では、一巡目の振り返りから、DX支援に従事するNTTデータ コンサルティング組織に所属する3名で考えていきたい。

DXの変遷(二巡目とは)

Q:各社が取り組む「DX」。これまでの変遷は?

法人コンサルティング&マーケティング事業部 デジタルストラテジー&タレント統括部 三浦 篤

法人コンサルティング&マーケティング事業部
デジタルストラテジー&タレント統括部
三浦 篤

三浦2017~2018年はまだITの延長戦上で、新たなデジタル技術やツールを活用した業務改善の取り組みが中心かつ個別部門やシステムでの取り組みが中心でした。
2019~2020年はいよいよ各社本腰を入れ、全社横断あるいは部門横断の取り組みをおこなうようになりました。また、業務改善に留まらない売上や利益に直結する取り組み、或いは新たなバリューチェーンを作る新規事業創出の取り組みがおこなわれるようになりました。
2021~2022年は立ち上げ期が終わり、全社DXを進めるにあたって組織間連携の難しさやリソース不足の問題などDXの壁に直面する企業が増えてきました。
そして2023年現在はDXの壁を乗り越えるために、DXの活動を企業文化に組み込み、新たな事業運営の仕組みを備える転換期が訪れていると我々は見ています。ここまでがDXの取り組みを一通り実施した一巡後の世界と定義しています。

「DXの成熟度」に見る現在の位置付け

服部DXの壁にはステージ毎に様々あります。経済産業省で定義している「DXの成熟度」を下敷きにお話しします。

法人コンサルティング&マーケティング事業部 デジタルストラテジー&タレント統括部 服部 克彦

法人コンサルティング&マーケティング事業部
デジタルストラテジー&タレント統括部
服部 克彦

図で示している通り、最初は一部での散発的な活動から始まりますが、レベル2では戦略的な活動となり、レベル3では全社戦略に基づく部門横断の取り組みとなります。そしてレベル4は全社戦略に基づく持続的な活動ということです。レベル5はこれをグローバルレベルで活動するということになります。
この定義に当てはめると、一巡目でレベル2に到達している企業が多い状況です。

法人コンサルティング&マーケティング事業部 デジタルストラテジー&タレント統括部 三好 寛

法人コンサルティング&マーケティング事業部
デジタルストラテジー&タレント統括部
三好 寛

三好NTTデータでは多くの企業をご支援してきましたがDXの本質は企業変革です。特に国内の大企業では、デジタル技術の活用による事業/業務変革はもちろんのこと、社内の変革風土の醸成などの組織・人材変革も大きな論点となります
前回(2021年)の連載でも、「(1)経営層と現場間のDX活動のゴール・目的の共通認識」、「(2)当事者意識を持てるDXグランドデザインの策定」、「(3)現場推進体制の確立」、「(4)DX活動の活性化・促進のためのモニタリング」といった4つの論点を挙げました。企業変革の論点を分解していくと、二巡目でも変わらない点、二巡目で進化・高度化する点があると考えます。

多くの企業は一巡目でレベル2に到達、次に必要になるもの

Q:各社の状況は?

三浦服部の話の中にあったとおり、多くの企業様はレベル2まで到達しています。お客さまにもレベル3、4にステップアップするための取り組みをご支援する機会が多くなってきた印象です。次のレベルへ到達するためには、この先のゴールイメージを持つことが大切だと思います。ゴールイメージがないと、既存の事業運営に留まってしまい、DX活動で生まれた社内の組織風土やデジタルアセットなど新たな資産を育てることができず、陳腐化してしまう可能性があります

服部レベル2から3へのシフトは、社内の組織風土の醸成や制度・システムの設計をボトムアップからトップダウンに切り替える必要性があると思います。また、制度システムを短期間で見直し、ルール変更をされている企業は多くみられますが、組織風土や社員のマインドセットを新たな段階にシフトチェンジするのは容易ではありません。社員の変革意識を根付かせる活動を幾巡も繰り返すことが、成熟するために必然的なことなのかな?とも思います

三好レベル3を実現するために、各社においては、DX組織を立ち上げ、多くの取り組みを全社レベルで進められています。その取り組みの内容も、「情報のデジタル化」や「AI等のデジタル技術を利用した業務プロセスのデジタル化」から、「事業競争力の強化」や「新たなビジネスモデルによる顧客への付加価値提供」に取り組みを移されています。事業成長を実現する活動へ高度化しているため、既存の強みを再認識して、顧客に提供する価値を再定義する活動が重要となります。このように論点が進化・高度化しています。

次回の連載記事(第2回)では、二巡目の論点について、具体的に議論したいと思います。

関連リンク

DX推進のアプローチの課題・成功に向けたポイントについて、2021年に「企業のDX推進アプローチ」として紹介した。

企業のDX推進アプローチ(1)~各社のDX状況~
https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2021/0303/
企業のDX推進アプローチ(2)~DX活動の課題~
https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2021/031001/
企業のDX推進アプローチ(3)~成功に向けたポイント~
https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2021/032201/

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