米国の人工知能学会(AAAI)にて「NeuroAI®」基盤技術の論文が採択

お知らせ

2020年1月31日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)が、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下:NICT)脳情報通信融合研究センター(以下:CiNet)との共同研究注1で開発した「NeuroAI(読み:ニューロエーアイ)®」注2の基盤技術の論文が、AAAI(旧称:アメリカ人工知能学会)-20にて採択されました。また、2020年2月7日~12日に米国・ニューヨークで開催される学会の会場にて、共同研究者であるNICT CiNetが口頭発表(講演)することが決定しました。

AAAIは1979年に設立されたAI分野における歴史ある学会で、毎年1月~2月に、世界トップクラスの人工知能に関する国際会議を開催しています。「NeuroAI」基盤技術の論文において、NTTデータとNICTは、「転移学習(Transfer Learning、ある領域で学習させたモデルを、別の領域に応用させること)」のヒトの脳を媒介する手法「Brain-mediated TL(以下:BTL)」を開発し、機械学習モデルの対応能力を向上させられることを示しました。本論文が、専門家による厳正な査読を通じて研究の新規性、重要性、信頼性が認められ、AAAIに採択されました。

NTTデータは、今後も世界に先駆けた次世代の脳情報通信技術の研究開発とその社会還元を目指して、産学共創体制の下で脳情報通信産業活性化に向けて取り組んでいきます。

「NeuroAI」の基盤技術の論文について

タイトルBrain-mediated Transfer Learning of Convolutional Neural Networks
著者西田知史(NICT CiNet)、中野裕介(NICT CiNet)、Antoine Blanc(NICT CiNet)、前田直哉(NTTデータ)、角将高(NTTデータ)、西本伸志(NICT CiNet)
論文概要人間の脳は、経験から認知した情報を、異なる領域における認知や行動へ柔軟に応用する能力を持っています。この能力は、機械学習の分野で用いられる、転移学習(TL)の考え方に似ています。転移学習は、新しい領域で不十分な学習データしか得られない状況でも、その領域におけるモデルの性能を向上させることができます。特に、「畳み込みニューラルネットワーク(以下:CNN)」注3のような優れた機械学習モデルを用いた転移学習は、さまざまな領域に対して高い対応能力を示します。
しかし、いかに高度な転移学習を用いても、機械学習モデルに人間の脳に匹敵する対応能力を持たせることは未だ実現していません。これを解決するため、NTTデータとNICTは、特に人間らしい認知が必要となる領域に機械学習モデルを適応させるために、ヒトの脳を媒介する転移学習の手法「Brain-mediated TL(BTL)」を開発しました。BTLでは、CNNが持つ視聴覚入力の情報を、個人の脳活動パターンによる情報表現に変換して転移学習に利用し、視聴覚入力が生じさせる人間の認識および行動を推定します。この検証結果から、認識・行動の推定において、BTLが脳を媒介しない標準の転移学習と比較してより高い性能を示すことが確認できました。さらにNTTデータとNICTは、異なる人の脳を使うことでBTLによる推定結果に違いが生じることを示し、その違いが個人による認識の差を反映する可能性を示しました。
以上の結果から、BTLを用いることで、機械学習モデルの対応能力が向上することが分かりました。また、BTLは、個人の多様性を含む形で、機械学習が人間らしい認識・行動を推定可能にするための技術的枠組みを提供すると期待しています。

参考

プレプリント掲載ウェブサイト(英文のみ)https://arxiv.org/abs/1905.10037
全文(プレプリント)(英文のみ)https://arxiv.org/pdf/1905.10037.pdf

各機関の役割分担

NICT技術の開発と検証
NTTデータ技術の事業展開

採択理由

AAAIは1979年に設立されたAI分野における歴史ある学会で、毎年1月~2月に、世界トップクラスの人工知能に関する国際会議を開催しています。AAAI-20は、2020年2月7日~12日にアメリカ・ニューヨークで開催され、NICTの共同研究者が講演します。

このたび、NTTデータとNICTが共同で投稿した論文が、厳正な審査のもと、新規性、重要性、信頼性の点において審査基準を満たしたことを受けて採択となりました。また、採択された論文の中でも、相対的に価値が高いと判断され、2020年2月に開催されるAAAIの国際会議において、口頭発表を実施するという栄誉に与りました。

学会概要

名称Thirty-Fourth AAAI Conference on Artificial Intelligence (AAAI-20)
開催地米国・ニューヨーク(会場:ニューヨーク・ヒルトン・ミッドタウン)
開催期間2020年2月7日~12日(口頭発表:2月11日9時30分)
URLhttps://aaai.org/Conferences/AAAI-20/

注釈

  • 注12017年11月1日ニュースリリース:NTTデータグループによる脳情報通信技術分野の産学共創プロジェクト「脳情報通信ラボ」を始動
    https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2017/110101/ 
  • 注2「NeuroAI」は、コンテンツ視聴時の視聴者の脳活動予測し、その脳活動からコンテンツ視聴により誘起される行動・広告視聴データ等を推定する技術です。
    http://nttdata-neuroai.com/
  • 注3畳み込みニューラルネットワークとは、ディープラーニングの一種です。何段もの深い層を持つニューラルネットワークで、「畳み込み層」や「プーリング層」などの幾つかの特徴的な機能を持った層を積み上げることで構成され、特に画像認識の分野で優れた性能を発揮します。
  • 「NeuroAI」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
社会基盤ソリューション事業本部
ソーシャルイノベーション事業部
第一営業担当
前田、角(かど)
TEL:050-5546-2895
E-mail:neuro-biz@kits.nttdata.co.jp