緊急時指揮支援システム「NoKeos®」マルチプラットフォーム化に向け、FPC Iv社と共同開発を開始 〜システム導入の円滑化・ユーザビリティ向上などを実現〜

ニュースリリース/NTTデータ

2005年1月14日

株式会社NTTデータ

 (株)NTTデータは、FPC Iv社(本社:ベルギー・アントワープ、CEO:Ralf Bruyninckx)と緊急時指揮支援システム「NoKeos®(ノケオス)マルチプラットフォーム対応版」の共同開発について平成16年末に合意し、開発を開始しました。

 NoKeosは、企業や行政が危機管理対応を行う際に、必要な事前準備の策定を容易かつ効率的に作成・管理し、実対応の際の意思判断を支援するシステムです。NTTデータとFPC Iv社は、本共同開発により、大規模災害や組織レベルの危機に対応し、安全・安心な社会作りをサポートするNoKeosの導入をこれまでより容易に行えるよう、オランダ・スキポール国際空港やベルギー国内地方政府など欧州で実績のある現行NoKeosのコンセプトであるシナリオベースのインシデントマネジメント手法※1を継承し、新たにシステムのマルチプラットフォーム化、フレキシビリティとユーザビリティの向上を実現する予定です。

【共同開発の背景】
 平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災から10年が経過しようとしており、昨年には新潟中越地震やスマトラ沖地震津波に代表される大規模災害が発生しました。このような、地震、風水害、火山災害、津波などの自然災害をはじめとした、原子力事故災害、大規模停電、ケミカルテロリズム、感染症、BSEなどのインシデント発生時には、企業や行政などの各組織はその都度これらのインシデントに対する危機管理対応をすることになります。それだけではなく、企業や行政における日常の業務の中で発生する個人情報漏洩などのリスクに対応するためのリスクマネジメントの重要性・必要性も高く認識されつつあります。特に、事業継続計画(BCP)やアクションプランなどの作成を行い、過去の経験・ノウハウを最大限に活かした適切かつ迅速な意思決定を行うことは、リスクマネジメントを実行する上で重要視されており、その一方でこれらのリスクマネジメント実行を支援するシステムには、既設の企業や行政のネットワークシステムとの相互接続性、親和性や連動性の向上、様々な局面での使用にあわせたカスタマイズ性の向上などが要求されています。
 そこで、NTTデータでは、今日までに培ってきたノウハウと、現在販売中である緊急時指揮支援システム「NoKeos」をベースに、クライアントソフトのインストール方法の見直しやマルチプラットフォーム対応によりこれまでよりにフレキシビリティとユーザビリティを向上させた次期バージョンを、NoKeosの開発元であるFPC Iv社社と共同で行うこととしました。

【NoKeosについて】
 緊急時指揮支援システム「NoKeos」は、想定されるインシデント(緊急事態)に則した判断基準や対応などをシナリオ化し、効率的にデータベースに蓄積する機能、状況の変化に応じて対話型の入力方式により最適なシナリオを選択する機能、迅速な意思決定を行うためにシナリオに基づいた指示内容をわかりやすく表示する機能のほか、意思決定の結果を適切なタイミングで適切な人に情報を伝達できる機能など、実際の緊急時や訓練時に必要な仕組みを一括して提供するシステムです。
 NoKeosは、サーバと複数台のクライアントPCにより構成されます。サーバには、インシデントを想定して事前に作成したシナリオやインシデントに関連する情報などの各種データが格納されるとともに、インシデント発生中にセンサーなどの周辺機器から取り込まれるインシデントの状況変化を示す値や、PCからのユーザ間のやりとりの入力値などが格納されます。これらのデータや情報を元に、刻々と変化する周囲の状況に応じて適切な意思決定を即すシナリオをサーバで選出し、クライアントPCに表示することにより、関係者間で変わり続ける情報に対応した多対多のコミュニケーションを可能にします。意思決定権者は、クライアントPCを通じて表示された適切な意思決定を行います。これにより、動的なインシデントによる様々な被害の軽減や拡大防止を図ることが可能となります。

 NoKeosは平成14年にFPI Cv社が開発し、空港・駅、石油化学プラント、ビル、ホテルなどヨーロッパを中心に5カ国、7社・組織への導入実績があります。日本ではNTTデータが平成14年よりFPC Iv社と提携し、日本における販売活動を展開し、平成16年1月より日本における総代理店として販売活動を行ってきました。日本国内では、現在3件の企業・団体でパイロットプロジェクトが進行中です。

【次期バージョンの特徴】
 次期バージョンの主な特徴は次のとおりです。
  1. ユーザビリティの向上
    MVCモデル※2の適用により、ユーザの要望に合わせたユーザインタフェースの変更などが容易になります。また、現行のフローチャート型のシナリオ構築手法から、「イベント・ドリブン型」のシナリオ構築手法に変更することにより、インシデントの状況変化に一層柔軟に対応できるシナリオ構築を可能にします。


  2. フレキシビリティの向上
    マルチOS・マルチプロトコル対応により、インターネットやイントラネットなどユースケースに応じてネットワークインフラに柔軟に対応します。クライアントPCでの情報入力・表示はJavaを用いたアプリケーションを使用します。これによりマルチプラットフォーム対応が可能となり、クライアント端末に依存せず、かつ携帯電話や携帯端末などの連動、ネットワークインフラに依存しない(衛星回線の利用など)柔軟なシステム構築を可能にします。


  3. インタオペラビリティ(相互接続性)の向上
    コア部と外部コンポーネントを完全分離させ、コア部に影響を与えずに既存のシステム(シミュレーションシステム、センサー系システム、情報収集系システム、各種DBなど)との連動を、現行のものよりも容易に実現します。


【販売時期】
 平成17年度下半期より日本国内における販売開始予定

【今後の展開】
 NTTデータとFPC Iv社は、今回の共同開発を平成17年9月までを目処に行い、平成17年12月より世界各国での販売を開始します。
 NoKeosは現在、ベルギー連邦政府においてEU内への展開も視野に入れたパイロットプロジェクトが開始されており、EUや米国における販売活動をFPC Iv社が行うとともに、この世界各国で集積されるノウハウを元に、日本国内においてはNTTデータが販売活動を行っていきます。
 NTTデータは、NoKeosのシステム導入について、今後3年で50システムの販売を目指します。

※1 シナリオベースのインシデントマネジメント手法 … 事前に想定される緊急事態(インシデント)と対策を事前にシナリオ化し、緊急事態発生時にシナリオに沿ったの円滑な対応を取るという手法。
※2 MVCモデル … アプリケーションをModel(ロジック)、View(プレゼンテーション)、Controller(通信、制御)の3つの部分に分割して、それぞれを独立して開発していく概念。各コンポーネント間の依存性が最小限に抑えられるため、他の部分の変更による影響を受けにくい実装が可能となる。

* NoKeos®は、Fire Protection Consultants Interactive N.V.の登録商標です。
その他、文中に記載されている商品・サービス名、および会社名は、それぞれ各社の商標または登録商標です。



【図】NoKeosの概念図

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