高電圧直流給電システム実証実験の結果について 〜省エネ型データセンタを目指した新たな取組み〜

ニュースリリース/NTTデータ

2009年11月27日

株式会社NTTデータ
株式会社NTTファシリティーズ
NTTデータ先端技術株式会社

 (株)NTTデータ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:山下 徹)が「グリーンデータセンタ®注1における省エネの新たな取り組みとして、(株)NTTファシリティーズ(本社:東京都港区、社長:沖田 章喜)およびNTTデータ先端技術(株)(本社:東京都江東区、社長:山田 伸一)と共同で、1月29日よりNTTデータの都内データセンタにて開始した、高電圧直流給電システムの実証実験注2が10月30日に完了しました。

 本実証実験は、NTTグループとして推進している「直流給電推進の取り組み方針」注3の一環であり、高電圧直流給電システムを稼働中システムに導入しての大規模な実証実験としては、国内初の取り組みです。また、国内外の優れた企業、ベンダー、サプライヤーが協力を表明し、対応機器を持ち寄り共同で実験を実施しました。
本実証実験は、データセンタにおける給電システムの消費電力を最大20%程度削減することを目標として取り組んだ結果、電源・空調システム、IT機器の合計で最大18%程度の削減効果を検証しました。また、NTTデータの稼働中社内システムへの高電圧直流給電システムの試験適用を通して、信頼性、安全性に関する高い検証結果が得られました。
NTTグループでは今後もさまざまな実験を進め、データセンタにおける消費電力を削減することを目指していきます。また、高電圧直流給電技術の開発および標準化にNTTグループを挙げて取り組み、国内外のハードウエアベンダー、サプライヤーの各社とも協力をしながら2010年度までに本格導入開始を目指します。

【高電圧直流給電システム概要】

 高電圧直流給電システムとは、従来商用電源を交流で受電した後、無停電電源装置で2回、IT機器内で1回、合計3回行っていた交流‐直流変換を1回にとどめ、機器に直接直流を供給する電源システムです。本システムにより交流‐直流変換のエネルギー損失を削減することができます。また、直流48V方式に比べ、給電ケーブルを細くでき、給電効率を改善することが可能となります。
なお、本実証実験を含めたNTTデータのグリーンデータセンタは、世界的に関心が集まっている高電圧直流給電技術を実装した大規模な高電圧直流給電システムの数少ない例であるとして、先進性・独創性について高い評価を受け、NTTファシリティーズと共同で「グリーンITアワード2009 経済産業大臣賞」注4を受賞しました。

【検証結果の概要】

♦実証実験期間
 2009年1月29日〜2009年10月30日
♦実証実験内容
  • 高電圧直流給電システムの省エネ性の検証
  • 高電圧直流給電システムの電源の信頼性の検証
  • 高電圧直流給電システムの安全性の検証
♦検証結果概要
  • 省エネ性の検証結果:
    最大18%程度の消費電力削減(電源・空調システム、IT機器の省エネ効果合計)
  • 電源の信頼性の検証、安全性の検証:
    実証実験期間中の故障件数0件
    実証実験期間中にNTTデータの稼働中社内システムへ試験導入し、安定運用を確認
    (稼働中システムに導入しての大規模な実証実験としては、国内初の取り組み)
♦共同実験参加企業
 本実験に使用する検証機器(サーバー、ストレージ)については、日本電気(株)(本社:東京都港区、代表取締役執行役員社長:矢野 薫)、(株)日立製作所(本社:東京都千代田区、代表執行役 執行役会長 兼 執行役社長:川村 隆)、富士通(株)(本社:東京都港区、代表取締役会長 兼 社長:間塚 道義)、EMCジャパン(株)(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:諸星 俊男)、サン・マイクロシステムズ(株)(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:河村 浩明)の各社より提供を受けました。
また、今回の実験結果を各社で共有し、今後の高電圧直流給電対応機器の開発・標準化活動等を促進していきます。

【今後の展開】

 NTTデータでは、2009年度〜2013年度の中期経営方針における重点施策として、「環境志向経営」を掲げ、NTTデータグループが提供する事業を通じた社会全体の環境負荷低減を目指しています。
データセンタ事業においても、IT技術とファシリティ技術を融合した環境負荷低減のためのグリーンデータセンタを推進し、将来的なグローバルスタンダードになることを目指しており、高電圧直流給電システムによるエネルギー効率化、「アイルキャッピング®注5による空調の効率化、仮想化技術を用いたサーバ集約・統合などのさまざまな省エネ技術を総合的に実施することで、グリーンデータセンタにおける消費電力を30%程度削減することを目指していきます。

 NTTファシリティーズでは、国内データセンタの約30%の設計、構築に携わってきた豊富な実績・経験と、環境に配慮した先進的なファシリティ技術を通して、データセンタのさらなる消費電力削減を推進し、「信頼性」と「グリーン」を両立したデータセンタの企画から構築、運用までのソリューションを提供してまいります。
特に、高電圧直流給電システムに適用する電源装置については、本格導入に向けさらなる性能・機能向上を目指します。

 NTTグループでは、今後もさまざまな実験を進め、高電圧直流給電技術の開発および標準化に取り組むとともに、IT機器メーカ各社へ機器電源部の最適化を働きかけることで、さらなる高効率化を目指します。
今回の実証実験を含め、これからも国内外のハードウエアベンダー、サプライヤーの各社とも協力をしながら2010年度までに、地球温暖化防止活動の一環として省エネルギーに貢献できる高電圧直流給電システムの本格導入開始を目指します。

注1 グリーンデータセンタ®について
NTTデータの中期経営方針の重点施策「環境志向経営」の取り組みの一つで、NTTデータの技術・ノウハウ・実績に基づくデータセンタの省エネや最適化に向けたIT設置環境の測定、評価、改善、管理を行うサービス、およびそのサービスから生み出された成果物の総称を言います。
グリーンデータセンタは(株)NTTデータの登録商標です。
注2 高電圧直流給電システムの実証実験について
NTTデータがグリーンデータセンタにおける省エネの新たな取り組みとして、都内自社データセンタで2009年1月29日より開始した「高電圧直流給電システムの実証実験」に関する報道発表。
(関連HPのURL:http://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2009/012600.html
注3 NTTグループの「直流給電推進の取り組み方針」について
地球温暖化防止活動の一環として、NTTグループは省エネルギーに貢献できる直流給電の導入・普及に向けた施策を推進するとともに、新規技術(高電圧直流給電技術)の開発着手することを内容とする報道発表。
(関連HPのURL:http://www.ntt.co.jp/news/news08/0806/080605a.html外部サイトを別ウインドウで開きます
注4 「グリーンデータセンタ」サービスの「グリーンITアワード2009 経済産業大臣賞」の受賞について
株式会社NTTデータは、環境負荷低減、省電力化を実現する「グリーンデータセンタ」サービスについて、「グリーンIT推進協議会」が主催する「グリーンITアワード2009」ITの省エネ部門にて、先進性、独創性を評価され「経済産業大臣賞」をNTTファシリティーズと連名で受賞しました。
(関連HPのURL:http://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2009/100500.html
注5 アイルキャッピング®について
ラック間の通路を壁や屋根で区画し、IT装置への給気(低温)とIT装置からの排気(高温)を物理的に分離して効率的な空調環境を実現する気流制御技術です。本製品にはNTTファシリティーズの発明特許が含まれています。
アイルキャッピングは、(株)NTTファシリティーズの登録商標です。
本件に関するお問い合わせ先
報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部 高橋(沙)
TEL:03-5546-8051

株式会社NTTファシリティーズ
広報室
小保方
TEL:03-5444-5112

本実証実験に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
ビジネスソリューション事業本部
データセンタビジネスユニット
ITビルソリューション統括部
三上、大澤
TEL:050-5546-9925

株式会社NTTファシリティーズ
研究開発本部
パワーシステム部門
廣瀬
TEL:03-5907-6328