別紙:補足

ニュースリリース/グループ会社

応用脳科学コンソーシアムについて

注 以下の内容は、2010年9月1日のプレス内容の抜粋です。なお、詳細はWebサイト(https://www.nttdata-strategy.com/can/(外部リンク))をご覧頂くか応用脳科学コンソーシアム事務局までお問い合わせください(上記枠内参照)。

設立の背景及び課題認識

脳科学研究は、「脳の可視化」を実現する各種計測技術・情報技術の飛躍的進歩に伴い、現在急速な発展を遂げつつあります。この結果、我々人間の認知・行動・記憶・思考・情動・意志といった「心」の働きに関する研究知見が急速に蓄積されるとともに、これらの知見を核とし、経済学・社会学・生理学・認知心理学等のさまざまな研究領域と融合した「応用脳科学研究」とその事業活用に関する取り組みが、分野を問わず世界規模で活発化しています。具体的には、脳活動を可視化することで消費者の嗜好や感性を明らかにしてマーケティング活動に応用するニューロマーケティング、これらの結果を応用し感性価値を向上させた商品・サービス等の開発、脳活動の情報を利用して外部機器を制御するブレインマシン・インターフェース(BMI)技術を応用したコミュニケーション支援器具・玩具等の製品開発等、応用の事例は枚挙に暇がありません。これらの先進的事例は、消費者のQOLの向上、ひいては産業経済活動の活性化をもたらすものであると考えられます。

これらの応用脳科学研究及びその事業活用を推進するためには、脳科学が、複数の学問分野及び産業分野の技術・知見及びノウハウと融合することで一層の成果を生み出すという特徴を持つことから、それぞれの専門知見を有する研究者や企業等が共同で研究に取り組むことが重要です。さらに、より適切な応用脳科学研究を推進し、社会全体に価値のある事業活用を実現するためには、研究に携わる者が倫理面・安全面に配慮しつつ、各々の専門的な研究知見を持ち寄って多角的な視点から科学的検証を行うことが必要不可欠であると言えます。しかしながら、我が国においては、脳科学に関する学術研究や各個別企業の取り組みには目を見張る成果があるものの、当該成果の応用や事業活用を目的とした産業界と学術界の連携の動きは必ずしも活発ではありません。

設立の経緯とミッション

こういった課題認識の下、本コンソーシアムは、我が国の脳科学研究を代表する学術団体である日本神経科学学会の協力を得ることで、本コンソーシアムにおける各活動に対して科学的・倫理的な観点からの助言を受けた上で、異業種の民間企業と異分野の脳科学及びその関連領域の研究者が一堂に会する研究プラットフォームを提供し、脳科学及びその関連領域の最新の研究知見を活用した応用脳科学研究の推進とその事業活用の実現を目指すとともに、これらの成果の社会還元に貢献する人材の育成に取り組みます。今後は、本コンソーシアムにご賛同頂ける民間企業及び研究者のご参加を広く募り、将来的には脳科学に関連する他の学術領域の学会や研究者との連携強化も図りながら、応用脳科学を切り口とした我が国発のオープンイノベーションを一層推進していく所存です。

【図】

応用脳科学とその事業活用の概念図

全体構成

本コンソーシアムは1.応用脳科学R&D研究会、2.応用脳科学アカデミー、3.応用脳科学ネットワークの3つの機能を有します(詳細は次項を参照)。また本コンソーシアムの意思決定機関として、特別会員の民間企業、日本神経科学学会から招聘するサイエンティフィックアドバイザー及び事務局から構成されるステアリングコミッティを設置します。なお本コンソーシアムは将来的に、他学会やさまざまな分野の研究者、さらには各省庁や業界団体との連携も視野に入れています。

【図】

応用脳科学コンソーシアム(CAN)の全体構成

  • 日本神経科学学会及びサイエンティフィックアドバイザーの役割

    日本神経科学学会は、サイエンティフィックアドバイザーをステアリングコミッティに派遣することで、本コンソーシアムが研究倫理、発表・報道倫理等を含め科学的かつ倫理的に適正な運営を図ることができるように助言・問題提起等を行う役割を担います。一方で、本コンソーシアムから創出された研究成果や各種の知的財産及びこれらが社会に与える影響等に関する責務は、各活動に参加しこれらを行使する会員にあり、日本神経科学学会は関知致しません。

活動内容

本コンソーシアムは、1.応用脳科学R&D研究会、2.応用脳科学アカデミー、3.応用脳科学ネットワークの3つの各機能において、以下のような活動を行います。

1.応用脳科学R&D研究会

応用脳科学R&D研究会は、異業種の民間企業と異分野の研究者が、応用脳科学研究の推進とその事業活用を目指す研究開発のプラットフォームです。

各R&D研究会は各特別会員によって設置され、当該R&D研究会ごとに掲げられたテーマについて、専門的な研究知見を有する脳科学及びその関連領域の研究者を招聘して研究活動を行います。R&D研究会には、テーマを設定した特別会員の他に、当該テーマ設定企業である特別会員が参加を認めたR&D研究会員や、その他特別会員及び協賛会員が参加します。

R&D研究会における研究活動は、将来的にコンソーシアムからスピンオフし、研究成果をもとにした共同実証実験(さらには事業活用)に移行することを目指して進められます。一方、各R&D研究会の成果は、当該R&D研究会の参加会員及び研究者によって共有され、参加会員は成果を自社に持ち帰り、自社の事業活動に応用することも可能です。

【図】

応用脳科学R&D研究会の構成

2.応用脳科学アカデミー

応用脳科学アカデミーは、脳科学の基礎知識から最先端の知見にいたる専門的な研究知見を有する脳科学及びその関連領域の研究者を講師として招聘し、事業活用という観点から脳科学を学ぶことで、応用脳科学研究及びその事業活用に貢献する人材育成のプラットフォームです。応用脳科学アカデミーは、必要最低限の脳科学の知識や倫理に関する知識を学ぶ「必修コース」と各論からなる「選択コース」に大別されます。応用脳科学アカデミーには、協賛会員を除く全ての会員が参加可能です。

3.応用脳科学ネットワーク

応用脳科学ネットワークは、会員と研究者の交流、各種研究活動・人材育成活動に資する情報の収集及び本コンソーシアムの活動の社会への発信を促進する人材交流及び啓発のプラットフォームです。応用脳科学ネットワークでは、ウェブサイトやメーリングリストの運営、脳科学及びその関連領域の研究知見や応用脳科学研究及びその事業応用事例の収集、本コンソーシアムの活動の情報発信等を行います。応用脳科学ネットワークには、全ての会員が参加可能です。

会員種別

本コンソーシアムの会員には、以下のような種別があります。

  • 特別会員

    特別会員は、ステアリングコミッティの構成委員として本コンソーシアムの運営において中心的な役割を果たします。また応用脳科学R&D研究会を1つ設置することができます。さらに応用脳科学アカデミーや応用脳科学ネットワークに参加することができます。

  • R&D研究会員

    R&D研究会員は、応用脳科学R&D研究会に1つ参加することができます。さらに応用脳科学アカデミーや応用脳科学ネットワークに参加することができます。

  • アカデミー会員(法人会員、個人会員)

    アカデミー会員は、応用脳科学アカデミーや応用脳科学ネットワークに参加することができます。

  • 協賛会員

    協賛会員は、応用脳科学R&D研究会や応用脳科学アカデミー、応用脳科学ネットワーク等の本コンソーシアムの活動において、自社の技術やノウハウを会員に提供することで研究活動を支援します。