CEPを用いた大規模リアルタイム・データ分析実証実験が成功 ~橋梁モニタリングシステム「BRIMOS®」への適用検証事例~

ニュースリリース/NTTデータ

2011年7月14日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータは2010年10月~2011年5月、橋梁モニタリングシステム「BRIMOS®」において、CEP(Complex Event Processing)を活用した大規模リアルタイム・データ分析に基づくプロアクティブ型BIサービスの実証実験を行い、CEPが十分な処理性能を発揮できることと、複数センサーの分析に基づく総合的な橋梁異常検知が可能であることを確認しました。

今回の実証実験では、橋梁に設置された多数のセンサーから発生するデータを対象として、傾斜、振動、ひずみなどを算出する定型的な変換処理を行うとともに、リアルタイム・データと過去の蓄積データも含めた複数の要素の分析に基づく橋梁の異常検知処理を対象に検証を行いました。

NTTデータではこの検証実験の成功を機に、大量のデータが発生するさまざまな分野において、プロアクティブ型BIに代表される次世代ビジネスインテリジェンス(BI)の普及展開を図り、大規模データ活用による競争優位性の獲得を目指すお客さまのビジネスに貢献していきます。

背景

GPSやICタグなどから得られるセンシング・データ、ブログやSNSなどから得られるライフログ・データなどが大量に発生する"情報爆発"時代において、これらのデータを活用した新たなサービスの提供による競争優位性の確保が目指されています。一方、これら大規模データ処理をサポートする基盤技術も登場し、大規模リアルタイム・データ分析によるプロアクティブな情報活用の機運が高まってきています。

NTTデータでは、この新しい局面を「次世代ビジネスインテリジェンス時代の到来」と捉え、お客さまのビジネスインテリジェンス(BI)支援サービス「データウェアハウス/ビジネスインテリジェンス・ラボ」において、2009年より、大規模リアルタイム・データ分析を可能にする分析方法論やシステム構築支援などの取り組みを進めてきました。

この取り組みの中で注目してきたのが、リアルタイム・データ分析基盤技術であるCEPです。CEPは、欧米を中心に金融業界におけるアルゴリズム・トレードなどで普及していますが、多数のソースから発生するデータをミリ秒レベルの高速で処理できることから、金融以外のさまざまな業務システムへの適用領域拡大が期待されています。

実証実験の概要

橋梁モニタリングシステム「BRIMOS」では、複数の橋梁に設置された数十個~数百個のセンサーから、毎秒数千件~数万件のデータが収集されます。

今回の実証実験では、これらのデータに対し、傾斜、振動、ひずみなどを表す物理量への変換処理、複数センサーのデータを絡めた複雑な異常検知ロジック注1に基づく処理において、CEPを含めたシステムが十分な処理性能を発揮できることを確認できました。

また、約10,000個という、より多数のセンサーを想定した模擬実験においては、毎秒数十万件のデータを処理できることが確認でき、複雑なロジックに基づく高度な分析をリアルタイムに実施できることが期待されます。

このような技術は、センシング・データなど、日々絶え間なく発生する大規模データをリアルタイムに分析し、ユーザー行動や事象の先読みに基づいて先回りしてサービスを提供する「プロアクティブ型BI」実現の要となるものです。

プロアクティブ型BI

プロアクティブ型BIとは、ECサイトでのレコメンド機能や、マネーロンダリングの検出など、ユーザー行動や事象の成り行きを理解し、一歩先回りして気の利いたサービスや機能を提供するための情報活用の総称です。過去の多数のデータ分析コンサルティングの経験から、NTTデータが独自に分類した情報活用の4タイプの1つに相当します。

NTTデータでは、プロアクティブ型BI実現の仕組みとして、ユーザー行動や事象を表すデータの発生に合わせて、リアルタイムに付加価値情報提供をするフロントのシステムと、大規模な蓄積データのマイニングにより高度な付加価値情報を生成するためのバックヤードのシステムのシームレスな連結が必要と考え、システム実現のための研究開発を進めています。

【図】

図1:4つのBI

【図】

図2:NTTデータの考える大規模リアルタイム・データ分析基盤

今後について

NTTデータでは、この検証実験の成功を機に、RFIDタグ注2や、ICカード、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)などにより大量のデータを発生するさまざまなシステムに対して、次世代ビジネスインテリジェンスを適用することにより、お客さまの新しいサービス実現に貢献します。

具体的には、大規模リアルタイム・データ分析に基づくプロアクティブ型BIを核としたシステム構築により、2015年度末までに200億円の売り上げを目指します。

関連情報

「CEP」について

"Complex Event Processing"の略称で、「複合イベント処理」と訳されます。大量に発生し続けるデータをメモリー上でリアルタイムに(ミリ秒レベル)処理するアプリケーション技術です。製品の多くが、ロジック実装のための開発環境や入出力アダプターを備えており、開発効率性を高めています。

「BRIMOS」について

橋梁に設置した各種センサーを用いて、リアルタイムかつ継続的に橋の状態を監視する橋梁モニタリングシステムです。災害時のリアルタイム異常検知や、平常時の早期異常把握、また車両通行状況の解析による点検・補修の優先度検討などを支援します。

「データウェアハウス/ビジネスインテリジェンス・ラボ」について

NTTデータが提供するデータウェアハウス/ビジネスインテリジェンス・ラボは、DWHの構築やBIツールの導入を検討されているお客さまに対して、(1)BIツール選定支援、(2)実データを用いたBIシステムのデモ、(3)DWHおよびBIシステムの性能検証、(4)データモデル・分析レポートのテンプレート提供、を通じて最適なBIシステムの導入を中立的な立場から支援し、お客さまにおけるシステム構築前後のギャップを解消するサービスです。

  • コンサルティングノウハウと情報分析技術を組み合わせた「データウェアハウス/ビジネスインテリジェンス・ラボ」サービスの提供開始
  • データウェアハウス(DWH)/ビジネスインテリジェンス(BI)効果的導入サービス
    • http://www.nttdata.com/jp/ja/services/s090399.html

注釈

  • 注1橋梁の異常状態をリアルタイムに検知するロジックです。センサーが外れ値を発生させた場合に、近隣のセンサーにも外れ値が発生しているか、発生している場合どれくらいの時間的なズレが生じているかを評価することにより、複数の異常状態を区別します。
  • 注2微小な無線ICチップであり、個体を識別するのに利用されています。さまざまな物体に取り付け、その位置や動きをリアルタイムに把握するシステムに適用されています。
  • 「データウェアハウス/ビジネスインテリジェンス・ラボ」「BRIMOS」は日本国内におけるNTTデータの登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
杉山、平形
TEL:03-5546-8051

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
技術開発本部
IT活用推進センタ
中川、横川、稲葉
TEL:050-5546-9741