世界最高31cm解像度の地球観測衛星WorldView-3の画像提供を開始

ニュースリリース/NTTデータ

2014年10月20日

株式会社NTTデータ
NTT空間情報株式会社

株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)とNTT空間情報株式会社(以下:NTT空間情報)は、2014年10月20日より、民間の地球観測衛星では世界最高の31cm解像度注1で画像撮影が可能な米国DigitalGlobe社のWorldView-3衛星画像の提供を開始します。

WorldView-3は、2014年8月に打ち上げられた地球観測衛星で、商用世界最高の地上分解能31cmの「パンクロマチック画像センサー注2」、商用世界初の16波長帯の「マルチスペクトル画像センサー注3」と薄雲などの影響を軽減し鮮明な画質を可能にする「大気補正センサー」を搭載しています。本衛星の活用により、航空写真と同等の細かさで国内外の画像を提供することが可能になる上、多波長のマルチスペクトルセンサーにより、赤外線波長等を利用した地表面の種類や状態の詳細な分析が可能になります。これにより、地図作成、自然災害への対応、設備管理、資源探査、森林や農地の管理、環境評価の分野などへの利用展開が期待されます。

両社は、WorldView-3衛星画像を通じた高精度な地理空間情報の提供、および複数の衛星を活用して撮像能力を強化することで、より質の高い衛星画像提供サービスを行い、地理空間情報の一層の利用拡大、市場創出に取り組んでいきます。今後、WorldView-3衛星を含む本衛星画像提供サービスについて、2016年度までの累計で50億円の売り上げを目指します。

背景

日本国内における地理空間情報の活用マーケットは、地理空間情報活用推進基本法注4に基づく、地理空間情報の整備ならびにインターネットを通じた提供、スマートフォンの普及に伴う位置情報サービスの拡大、より正確な位置情報の活用を可能にする準天頂衛星システムの実用化に向けた取り組み等が進み、年々、拡大の傾向にあります。

NTTデータおよびNTT空間情報は、2014年4月より、米国の商用衛星画像の提供機関であるDigitalGlobe社と公共・民間分野の総代理店契約を締結し、衛星画像ならびに同画像を活用したサービスの提供を推進してきました。2014年8月にDigitalGlobe社がWorldView-3衛星の打ち上げに成功し、10月より同社から画像供給が開始されることを契機に、国内において同画像提供を開始します。

両社の役割

NTTデータとNTT空間情報はDigitalGlobe社衛星画像の提供サービスを行っています。WorldView-3衛星画像の提供にあたっては、NTTデータが衛星画像と地理空間情報サービスの豊富な実績を生かしたサービス・ソリューションの企画および開発を実施し、NTT空間情報が衛星画像製品および高精度電子地図「GEOSPACE®」の販売ネットワークを生かした日本国内の販売窓口を担当します。

WorldView-3衛星の特長

  • 「パンクロマチックセンサー」による商用衛星で世界最高の解像度

    商用衛星で世界最高の31cm解像度の画像センサーにより、航空写真と同等の細かさの画像製品を提供します。これまで、高解像度衛星画像により建物や車の識別が可能でしたが、本衛星により、建物や車の種類、施設設備の状況、道路の車線、樹木一本一本の状況等、さらに詳細に判別できるようになります。

  • 商用世界初の16バンドの「マルチスペクトルセンサー」

    WorldView-3のマルチスペクトルセンサーは、従来の衛星が観測可能であった4つの波長帯(青、緑、赤、近赤外)に加えて、さらに12個の波長帯のセンサー(紫、黄、近赤外域に2つ、短波長赤外域に8つ)を観測できます。微細な色の違いを識別することによる土地利用変化の検出や、植生に反応する近赤外線センサーを利用した農作物の生育状態の把握、地質に反応する短波長赤外線センサーによる資源鉱物の検出等に利用できます。

  • 商用世界初の「大気補正センサー」

    WorldView-3は画像上の大気の影響を除去・軽減して、高い品質の画像データを提供するための、大気補正センサーを搭載しています。もやや薄雲を除去軽減することにより、より画質が鮮明になるとともに、異なる天候下で観測された複数の画像を精度よく比較できるようになるため、土地種類の識別や変化の検出がより容易になります。

  • 全世界の衛星画像を提供

    日本国内のみならず全世界の航空写真と同等の細かさの画像を供給することができます。日本企業のグローバル化に伴う海外進出や国際プロジェクトを支援する地理空間情報として、衛星画像のさらなる活用が見込まれます。

  • 高精度の付加価値地図コンテンツの提供

    WorldView-3衛星による商用での世界最高解像度の衛星画像を活用して、NTTデータの高度な画像処理技術による加工や展開中の「全世界デジタル3D地図提供サービス」との組み合わせ、NTT空間情報が保有する高精度な電子地図との組み合わせにより、国内外の高い精度のオルソ補正画像注5やデジタル3D地図、土地利用地図などの付加価値のある地図情報コンテンツを提供します。ニーズに即した精度の高い地図情報への加工により、地図作成、自然災害への対応、設備管理、資源探査、森林や農地の管理、環境評価等の分野で、より一層の利用展開が見込まれます。

提供製品/サービスについて

  • 製品/サービスの種類
    • 撮影済み画像、新規撮影画像、ステレオ撮影画像
    • オルソ補正画像、高精細3次元地図
    • クラウド配信サービス、災害時緊急撮影サービス 等
  • 提供単位
    • 世界中の任意の区域を囲むエリアでの情報提供が可能です。(提供する画像種類に応じて最少購入面積の設定があります)

価格について

1平方キロメートル(km2)あたり、3,000円注6

利用用途

本衛星画像は、以下の幅広い利用用途が想定されます。

  • 都市計画

    道路、建物、土地利用、公園等の都市関連施設の現況把握、計画、管理および地図作成

  • 国土管理

    河川、海岸、港湾等に関する国土管理施設・設備の現況把握、計画、管理および地図作成

  • 建設・不動産

    建設工事の進捗状況の把握、管理、不動産の現況把握および管理

  • 交通

    道路、鉄道、航空機運用に関する関連設備の現況把握、計画、管理および地図作成

  • 施設管理

    通信、電力、石油、ガス等のインフラ関連施設の現況把握、計画、管理、地図作成

  • 防災

    洪水、土砂災害、津波、火砕流等の災害発生時の被災情報の提供、危険エリアの把握および管理

  • 農林

    森林計画やモニタリング調査、農地管理や作付面積の把握

  • 資源調査

    資源探査における有望エリアの把握、鉱山のモニタリング、水資源および地下水の調査

  • その他

    コンピューターグラフィックス等の映像制作、教育における地理、防災等の教材制作

今後について

NTTデータとNTT空間情報は、地理空間情報コンテンツや各種システムと衛星画像を組み合わせることで、より付加価値性の高いサービスの提供を目指すと同時に、新市場の開拓や新サービスの創出を積極的に図っていきます。両社はWorldView-3衛星を含む本衛星画像提供サービスについて2016年度までの累計で50億円の売り上げを目指しています。

関連ウェブサイト

  • 衛星画像提供サービス

注釈

  • 注1解像度

    センサーの精細さを表わす尺度。31cm解像度は、地上換算31cmの格子間隔で、画像の画素(ピクセル)値を記録することを意味します。

  • 注2パンクロマチック画像センサー

    可視から近赤外線の波長域を観測する白黒の画像センサーであり、最も高い解像度で観測します。マルチスペクトルセンサーの画像と組み合わせて高解像度のカラー画像が提供されます。

  • 注3マルチスペクトル画像センサー

    可視から赤外線の波長域を、複数の波長帯で観測する画像センサーで、見た目に近いRGB(赤緑青)のカラー画像や、目に見えない赤外線波長帯の画像を観測します。利用分野によって、特定の波長帯を組み合わせて利用されます。

  • 注4地理空間情報活用推進基本法

    2007年5月23日に成立、5月30日に公布、8月29日に施行された法律であり、地理空間情報の活用の推進に関する施策の基本となる事項を定めることで、地理空間情報の活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的としたものです。

  • 注5オルソ補正画像

    正射投影画像。衛星や航空機から撮影した画像は、地形の影響により歪みを含んでおり、そのままでは、実際の地形と重ね合わせることができないため、撮影時の状況と地形の影響を考慮した補正を画像に加えることで、地形図に重なるように処理をした画像です。

  • 注640cm解像度パンクロマチック画像の価格です。価格は解像度、波長帯の数、新規撮影の有無等の製品種類により異なります。
  • 「GEOSPACE」は、NTT空間情報株式会社の登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

別紙

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
戸田、後藤(尾)
TEL:03-5546-8051

NTT空間情報株式会社
ビジネス開発部
サービス開発グループ
松田、千葉
TEL:03-6802-8206

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
公共システム事業本部
e-コミュニティ事業部
第三営業担当
大竹、岩田
TEL:050-5546-2507