宮崎大学とNTTデータがAI画像診断の実証実験を実施 ~腎臓CT画像に対して、高い精度であらゆる異常を検出可能であることを確認~

ニュースリリース/NTTデータ

2019年9月26日

株式会社NTTデータ
国立大学法人宮崎大学

国立大学法人宮崎大学(学長:池ノ上 克、以下「宮崎大」)と株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:本間 洋、以下:「NTTデータ」)は、2019年3月から8月に宮崎大学附属病院(以下:「附属病院」)にて、NTTデータが開発したAI画像診断支援ソリューションで腎臓のあらゆる異常の検出を行う実証実験を実施しました。

本実証実験では、附属病院の患者700人のデータを対象に異常の検出精度の測定を行い、特に癌の検出に関して、高い検出精度を持つことが確認されました。

宮崎大とNTTデータは、本実証実験の結果を踏まえ、実際の診断業務での医師の負担削減効果の検証を、2020年度中をめどに計画しています。

背景

附属病院では、放射線科医の負担軽減が求められています。精密な診断に用いられるCT検査では、放射線科医が1回の診断を数千枚の画像から行う必要があり、かつ注意深く読影を行わないと病変を見逃す可能性もあります。したがって、CT検査は作業負荷が大きく難易度が高い診断法であり、CT検査を行う放射線科医に対し、AI等のデジタル技術による診断支援が検討されていました。

そこで宮崎大とNTTデータは、NTTデータが2018年から開発するAI画像診断支援ソリューションの放射線科医による実診断業務への適用可能性を検証することになりました。

NTTデータのAI画像診断支援ソリューション

NTTデータのAI画像診断支援ソリューションは、患者の医療画像をAI技術で分析し、疾患の可能性がある箇所を画像上とテキストで示すことで医師の診断をサポートします。

本ソリューションの特長は、第一に、特定の疾病のみならず臓器のあらゆる異常を検出できること、第二にCTメーカーあるいは造影剤の有無といったCT撮影の条件によらないことです。疾病を選ばず、かつCT撮影の条件も選ばないことから、健康診断をはじめとしたさまざまな場で、放射線科医の負担削減が期待できます。

NTTデータはアメリカをはじめとする複数カ国の複数病院で画像データを収集し、本ソリューションの精度向上に用いており、本サービスのグローバル展開を目指しています。

図1:AI画像診断支援ソリューション画面例

図1:AI画像診断支援ソリューション画面例

目的

実証実験の目的は以下の通りです。

目的(1) アメリカ人患者の約5000患者、およそ11万枚の腹部CTデータのみを使って学習したNTTデータのAI(附属病院を含む日本人のデータは学習には利用しない)が、附属病院の患者にも同様に適用できるかを検証する
目的(2) 附属病院のデータのうち腎癌患者データについて、検出精度を検証する

対象

附属病院の患者合計700人

  • (内訳)
    • 250人の腎癌患者
    • 200人の癌以外の疾病・異常が腎臓にある患者
    • 250人の健康な腎臓をもつ患者

結果

目的(1)について、アメリカ人患者と附属病院患者における診断精度は、腎臓のあらゆる異常(腎癌、腎臓結石、水腎症のような疾病から、嚢胞、腫瘍などまでを含む)に関して同等の結果となりました。これにより、NTTデータのAI画像診断支援ソリューションが、附属病院患者を含め、人種や生活習慣の異なる複数カ国の患者に適用できることが確認されました。

目的(2)について、腎臓における癌の診断精度は正解率89.00%、感度82.00%、特異度95.00%、適合率94.60%となり、高い診断性能が確認されました(図2)。

以上により、当社のAI画像診断支援ソリューションが、附属病院で診断ニーズの高い癌の実診断業務への適用が有効であることの示唆が得られました。

図2:附属病院患者のAIによる癌の検出精度

図2:附属病院患者のAIによる癌の検出精度

今後について

宮崎大とNTTデータは、本ソリューションの高い検出精度が確認されたことを踏まえ、実際の診断業務での医師の負担削減効果の検証を、2020年度中をめどに計画しています。またさらなるステップとして、宮崎大とNTTデータは、検出した異常から病名を特定するアルゴリズムの開発と検証を2019年10月から行う予定です。AIによる病名の特定が実現されることで、医師の診断時間をより削減することが期待されます。

今後も宮崎大とNTTデータは、画像診断などの医療分野においてAI導入を通したデジタル化を推進していきます。

注釈

  • 正解率とは予測結果全体と、真の答えがどの程度一致するかを判断する指標です。感度とは、「陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率」として定義される値で、この値が高いほど見逃しが少ないことを示す指標です。特異度とは、「陰性と判定されるべきものを正しく陰性と判定する確率」として定義される値で、この値が高いほど偽陽性(誤って健康な人を病気と判定する)が少ないことを意味し、有病率が低い診断では重要な指標です。適合率とは「陽性と判定したもののうち、真に陽性である確率」として定義される値で、この値が高いほど、誤アラートが少なく、医師に余計な確認負荷を与えないことを意味します。
  • 本文中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

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