電子カルテなど医療ビッグデータ活用によるがん患者臨床アウトカム評価の研究開始 ~初の次世代医療基盤法に基づく匿名加工医療情報提供に向け契約を締結~

ニュースリリース/NTTデータ

2020年12月14日

ファイザー株式会社
一般社団法人ライフデータイニシアティブ
株式会社NTTデータ

ファイザー株式会社(東京都渋谷区、代表取締役社長:原田明久、以下:ファイザー)、一般社団法人ライフデータイニシアティブ(京都府京都市、代表理事:吉原博幸、以下:ライフデータイニシアティブ)、株式会社NTTデータ(東京都江東区、代表取締役社長:本間洋、以下:NTTデータ)は、患者さんにより良い医療を提供することを目指し、医療ビッグデータを活用した研究を進めるため、日本ではじめて次世代医療基盤法注1に基づく匿名加工医療情報提供に向けた契約を締結しました。

ライフデータイニシアティブ、NTTデータが提供する匿名加工医療情報提供事業では、レセプトデータ・DPC(診断群分類別包括評価)調査データ注2に加え、電子カルテデータまで参照できることが特長です。本契約では、次世代医療基盤法に基づいて得られた、日常診療における医師の診察記録などのリアルワールドデータ(以下、RWD)を基に、レセプトデータやDPC調査データから得られる情報だけでは困難とされる、治療の効果や安全性の臨床アウトカムを評価する方法論について研究します。本方法論の確立により、個別化医療進展、医薬品アクセス早期化などに向けたエビデンスの創出が可能となることが想定されます。

本契約により、3社はRWD利活用の有用性を高め、医薬品をより適切な患者さんに届け、医薬品の価値を最大化し、医療に貢献することを目指します。

研究の背景

海外ではすでにRWDの利活用が進んでおり、電子カルテデータに基づく臨床アウトカム評価などから適応拡大がなされた薬剤も存在しています。日本でも医療情報の利活用を目指し、2018年に次世代医療基盤法が施行され、2019年にはライフデータイニシアティブが「認定匿名加工医療情報作成事業者」、NTTデータが「認定医療情報等取扱受託事業者」として国から初の認定を得ました。

医療情報に関する情報源としてレセプトデータやDPC調査データが以前から利用されていましたが、臨床アウトカムの評価には限界がある状況でした。ライフデータイニシアティブ、NTTデータが提供する匿名加工医療情報提供事業では、電子カルテデータまで参照することができるため、臨床アウトカムまで評価が可能です。ただし、電子カルテに定型的な記載方法はなく、医療従事者によって異なる表現で記載されているため、その利活用のためには新しいアルゴリズムの開発などの方法論に関する手当てが必要となり、それにかかわる研究が求められています。

ファイザーは、臨床試験に加えて、RWDを用いて実臨床下のさまざまな患者さんに対する医薬品の効果や安全性を評価することで、医薬品をより適切な患者さんに届け、医薬品の価値についての情報発信を適切に行っていくことが重要であると考え、今後、日本でもRWDの利活用の可能性を広げていくことで、患者さん、日本の医療の向上に貢献したいと考えています。これらを踏まえ、RWDの利活用に結びつく方法論を研究することを目的に、本契約を締結するに至りました。

研究の概要

目的

次世代医療基盤法に基づく匿名加工医療情報から、がん患者さんの臨床アウトカムを評価するための方法論に関する研究を行う

内容

  • RWDには医師の診療録などテキストデータが多く含まれる電子カルテの情報があり、それらをどのように臨床アウトカムの評価に資するデータとして取得するか検討する
  • 検討結果から、電子カルテ情報から臨床アウトカムを生成する方法・アルゴリズムを開発する
  • さらに、解析を行うために必要な情報を、全国の施設が含まれたデータベースからどの程度取得できるのかを確認する

今後について

日本において、医療情報の利活用は非常に大きな可能性を秘めていると考えています。先進的な日本の医療に関する臨床アウトカムの情報を集めることができれば、さらなる個別化医療の進展、医薬品アクセスの早期化など、さまざまなベネフィットが期待されます。ただし、電子カルテにはデータベース上では整理が難しいデータも多く含まれており、これを利活用可能なものとするためには、今後AI解析(機械学習・深層学習・自然言語処理)などの先端技術も取り入れ、より使いやすいものとしていく必要があります。

ファイザーは、今回研究開発する方法論を用いて今後電子カルテデータ等の医療情報を活用し、革新的な医薬品の患者さんへの提供や、医薬品の適切な使用をより一層目指していきます。ライフデータイニシアティブ、NTTデータは必要な先端技術を用いてより高度な解析手法の開発を行っていきます。このことにより、使いやすく、価値の高い匿名加工医療情報提供事業を通じて、日本の社会・医療・産業に貢献できるようサービスの向上に努めます。ファイザー、ライフデータイニシアティブ、NTTデータはより早く、より適した医療実現に寄与すべく、本契約をその一歩とします。

次世代医療基盤法とは

「次世代医療基盤法」は、国民の医療情報を先進的な研究開発に利活用し、健康長寿社会を実現するための、医療情報の利活用促進を目的とした法律です。2017年5月12日に交付され、2018年5月11日に施行されました。

出典:内閣官房ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000406831.pdf

注釈

  • 注1次世代医療基盤法とは、略称であり、正式名称は「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(平成29年法律第28号)」です。
  • 注2DPC調査データとは、厚生労働省にて実施している「DPC導入の影響評価に係る調査」にて医療施設が提出しているカルテからの匿名化情報等のことです。

ファイザーについて:患者さんの生活を大きく変えるブレークスルーを生みだす

ファイザーはサイエンスとグローバルなリソースを活用し、人々が健康で長生きし、生活を大きく改善するための治療法をお届けしています。私たちは、革新的な医薬品やワクチンを含むヘルスケア製品の探索・開発・製造における品質・安全性・価値の基準を確立するよう努めています。ファイザーの社員は、生命や生活を脅かす疾患に対するより良い予防法や治療法を提供することで、日々、世界中の人々の健康に貢献しています。世界有数の革新的医薬品企業の責務として、信頼できる医療に誰もが容易にアクセスできるように、世界中の医療従事者、政府、地域社会と協力しています。人々の期待に応えるため、私たちは170年以上にわたり前進し続けてきました。詳細はホームページをご覧ください。
https://www.pfizer.com/(グローバル)
https://www.pfizer.co.jp/pfizer/index.html(日本法人)

ライフデータイニシアティブについて

(一社)ライフデータイニシアティブは、次世代医療基盤法の「認定匿名加工医療情報作成事業者(認定事業者)」として国から認定を受け、健康・医療全般の情報の利活用者、参加施設へのサービス展開により、日本の医療発展に寄与できる事業を行うと共に医療の質・効率性や患者・国民の利便性向上、臨床研究等の研究開発、産業競争力の強化、持続可能な医療システム実現へ貢献します。

NTTデータについて

NTTデータは、豊かで調和のとれた社会づくりを目指し、世界50カ国以上でITサービスを提供しています。デジタル技術を活用したビジネス変革や社会課題の解決に向けて、お客さまとともに未来を見つめ、コンサルティングからシステムづくり、システムの運用に至るまで、さまざまなサービスを提供します。

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