5行共同利用システム(MEJAR)の維持・運用にServiceNowを適用 ~新しいプログラムの反映にかかる作業時間を83%削減~

ニュースリリース/NTTデータ

2021年8月10日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は2021年8月、地域金融機関5行に提供している共同利用システム(MEJAR)注1の維持・運用にSaaSであるServiceNow注2を適用しました。維持・運用作業を自動化することで、作業の間違いとオペレーターの負荷を低減します。これまでシステムの一部で行った試行運用では、新しいプログラムの反映にかかる作業時間を83%削減するなど、維持運用にかかる作業を全体で約3%削減しました。金融システムに求められる高いセキュリティーを担保しながらServiceNowを適用するため、独自のネットワークを構築しています。
NTTデータは今後もServiceNowをはじめとする外部のサービス・製品の活用を積極的に進め、MEJARの開発・維持・運用品質の向上やセキュリティー確保、各種効率化に取り組みます。本取り組みの成果やノウハウを、2024年に稼働予定のMEJAR次期システムやNTTデータが提供する他の金融システムに適用することも目指します。

背景

地域金融機関は近年、経営環境の変化を受けて戦略的分野への投資を進めており、金融システムにおける運用・維持の効率化や維持費用の低減を試みています。ところが勘定系システムではこれまで、試みの効果が限定的でした。高度なセキュリティーを確保するためにネットワークの独立が必要で、外部のさまざまなサービスと連携が難しく、運用がシステムごとに設計されるなど標準化が一部に限られていたためです。
MEJARを運営するNTTデータは2019年からセキュリティーを担保しながら外部サービスと接続する方法、およびServiceNow の活用を検討してきました。2020年10月にはMEJARにServiceNowの試行的な適用を始め、維持運用にかかる作業の約3%を削減しました。具体的な成果が確認できたことから、2021年8月から本格的な適用を始めました。

概要

MEJAR にServiceNowを適用し、維持・運用作業を自動化します。作業の間違いを削減するだけでなく、オペレーターの負荷を低減します。なおSaaSを適用するにあたり、セキュリティーを担保した独自のネットワークを構築しています。
FISC安全対策基準を満たしており、セキュリティー品質に関する第三者評価も実施しています。
具体的な適用事例は以下の通りです。

  • 故障連絡を自動化し、オペレーターの対応を削減
  • 勘定系システムなどMEJARの主要システムとServiceNowを連係し、故障発生時の関係者への連絡を自動化します。故障の重要度の判断、担当者への電話連絡、事象やログを正確に表した連絡メールの発信など、故障の連絡で求められる全ての作業をServiceNowで自動化します。これまでの運用ではオペレーターが確実なエスカレーションを行うため、故障に応じて担当者に電話連絡していました。
  • 資産反映を自動化し、作業時間を83%削減
  • ServiceNowとGitLab注3、Jenkins注4を連係させ、MEJARの各サブシステムのプログラム更新作業を自動化します。これまで閉鎖されたネットワーク内にあるMEJARにプログラムを適用するためには、記録媒体などを使いながら手動で作業する必要がありました。ServiceNowの適用で更新作業がボタン一つで完了するようになります。
    試験的に適用したサブシステムでは、更新にかかる作業時間を83%削減しました。今後適用するサブシステムの範囲を拡大し、システム全体のプログラム更新作業にかかる時間を削減することを目指します。サブシステムにとどまらず勘定系システムへの適用もMEJAR次期システムで目指します。

今後について

NTTデータは今後もSaaSをはじめとする外部のサービス・製品の活用を積極的に進め、MEJARの開発、維持・運用品質の向上やセキュリティー確保、各種効率化に取り組みます。具体的には、以下を2024年1月までに目指します。

  • 情報共有の高度化
  • ServiceNowにおけるサービスポータル機能を活用することで、お客さまとの情報共有を高度化します。具体的にはシステムのパフォーマンス情報や故障情報、各種作業連絡票などのやりとりや、表示を自動で実行し、関係者間の情報共有を迅速化します。
  • 監査対応の高度化
  • マシンの使用申請とログイン情報を自動で突合せるなど、金融システムに求められる監査対応を自動化します。作業の効率化とともにチェック品質を向上させます。

当社が提供する他の金融システムにも今回の取り組みを展開し、当社の金融システム全体で運用高度化と基幹システムの安定的な運用の実現を目指します。2021年1月1日に設置したServiceNowに関する専門事業組織「ServiceNowビジネス推進室」注5とも連携していきます。

注釈

  • 注1 MEJARは株式会社コンコルディア・フィナンシャルグループの株式会社横浜銀行と株式会社東日本銀行、株式会社ほくほくフィナンシャルグループの株式会社北陸銀行、株式会社北海道銀行、株式会社七十七銀行に提供しています。2010年に稼働を始め、NTTデータが運営しています。
  • 注2ServiceNowはServiceNow社が提供するクラウドアプリケーションサービス(SaaS)で、ITサービスマネジメント業務をはじめとする各種業務をサポートします。デジタル・ワークフローにより、業務生産性を変革、従業員体験を高度化、顧客エンゲージメントを再構築します。グローバルITSMマーケットでデファクトスタンダードで、シングルプラットフォームによる容易な拡張性、柔軟なカスタマイズと高いメンテナンス性、高い堅牢性・安定性を持ったクラウド基盤の活用など、金融システムの運用高度化に必要な機能を備えています。
  • 注3GitLabは、ソースコード等の分散型バージョン管理システムであるGitをベースとしたライブラリ管理オープンソースソフトウエアです。GitHubと異なり、オンプレのサーバーに構築できます。
  • 注4Jenkinsは、継続的インテグレーション(CI)と継続的デリバリー(CD)を促進するオープンソースソフトウエアです。ソースコードのビルド、テスト、デプロイといった処理を自動化します。
  • 注5ServiceNow関連ビジネスの専門部隊です。社内のServiceNowエンジニアおよびコンサルタント150名をワンチームとして牽引し、ビジネスをリードします。これまで主にIT管理の社内ユースを中心に活動してきた技術者とコンサルタント人財を活用して新規事業開拓を進めます。
    -ServiceNowに関する専門事業組織の設置についてhttps://www.NTTdata.com/jp/ja/news/release/2020/121400/
  • 商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
岡林
TEL:050-3644-3163

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
第二金融事業本部 第三バンキング事業部
荒木・阿久津
TEL:050-5546-7900

- NTTデータは、「これから」を描き、その実現に向け進み続けます -