UBE社の最終製品別CFP算定システム開発により、算定にかかる時間を約95%削減

~2023年1月よりUBE社が自社顧客へCFPデータを提供開始~

報道発表

2023年1月16日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、UBE株式会社(以下:UBE)と共同で、最終製品別のCarbon Footprint of Products(以下:CFP注1)算定システム(以下:本システム)を開発しました。本システムは、宇部ケミカル工場で製造する一部製品を対象に運用を開始し、UBEは2023年1月より順次、本システムで算定したCFPデータを顧客に提供開始します。これにより、UBEの顧客が社会から求められる、原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量の迅速な把握・開示に寄与します。
本システムでは、製品ごとに複数の種類があり、かつそれぞれが多段階を経る化学メーカーの特有の複雑な製造プロセスを反映したCFP算定ロジックを実装しており、これまで算定にかかっていた作業の約95%削減を実現しています。
今後、NTTデータは製造業を中心とした多岐にわたる業種に対し、本基盤の提供を含む温室効果ガス関連ビジネスで、2025年度末までに20件以上の受注を目指します。

背景

社会全体としてカーボンニュートラルの実現が目標に掲げられ、各企業に対して温室効果ガス排出量の開示・低減要請が強まっています。UBEをはじめとする化学メーカーにおいても、自動車業界を中心とした顧客から製品別CFPの開示要望が急増しています。しかし、化学メーカーにおいては、製品ごとに複数の種類の製造手法が存在し、かつそれぞれの製造手法を多段階に実施する、特有の複雑な製造プロセスを実施する必要があります。これを反映したCFP算定は、多様な計算パターンが存在し、かつ上流原料から下流製品へ正確に排出量を連携していく必要があるため難易度が高く、現在多くの企業で行われているExcel等を活用した個別算定では、多くの工数が発生するなど、現場の担当者に大きな負担が掛かっていました。

本システムの仕組み・特長

上記の課題を解決するため、NTTデータはUBEとともに、最終製品別のCFPを自動で算定・管理するシステムを開発し、2023年1月からUBEにて本格運用・顧客へのCFPデータ提供を開始します。

表:UBE社の本システムを活用したCFPデータ提供予定

データ提供開始時期 提供データ対象期間 対象製品
2023年1月 2021年度実績 ナイロン、ファインケミカル、工業薬品(製造工場:宇部ケミカル工場)
2023年7月 2021年度実績 機能品(製造工場:宇部ケミカル工場、堺工場)
合成ゴム(製造工場:UBEエラストマー千葉工場)

なお、以下は、本システムの特長です。

1.製造現場のExcelデータをインプットデータとして活用

Excelや専用システムで管理されているマスターデータ・トランザクションデータには手を加えない形でシステムにインプットし、システム側で変換・集計・計算することで、最終製品別のCFPを数分で算出します。その結果、工場など現場の負担となっていた製品別CFP算定にかかる時間を従来から95%削減し、業務の効率化に寄与することが可能です。

2.最終製品別CFPのダッシュボード化

本システムで算出した製品別CFPは、ダッシュボード上で顧客軸、製品軸などさまざまな切り口で可視化しています。これにより、顧客へのタイムリーなCFPデータの提供、および内部の分析に活用することが可能です。

3.短期間でのシステム構築

製造業でも広く用いられているBI製品であるTableauおよび、TableauのETLツール注2であるTableau Prepを採用し、アジャイル開発方法論を用いて柔軟に要件に対応することで、プロジェクト開始から3カ月という短期間でシステム構築を行いました。製品別CFP計算の脱Excel化を目指す企業に対しては、まずは特定の製品群を対象としたアプローチを通じた短期導入が可能です。

図1:Tableauを活用したCFP算定システム概要

図1:Tableauを活用したCFP算定システム概要

図2:CFP算定システム画面イメージ

図2:CFP算定システム画面イメージ

今後について

NTTデータは、本取り組み以外にも、自社の製品別CFPに価格を付ける「Internal Carbon Pricing」を活用し、投資判断の指標として活用する基盤の導入支援注3など、製品別CFP可視化関連のビジネスに注力していきます。また、グリーンコンサルティングサービス注4をはじめ、組織別の温室効果ガス可視化プラットフォーム「C-Turtle™」を用いた可視化サービスなど、製品別のCFPの管理だけではなく、サプライチェーンを業界全体でつなげた管理を実現し、SDGsの達成に貢献していきます注5。TableauなどのSaaS製品の活用を積極的に進め、2025年度末までに20件以上の受注を目指します。

NTTデータが取り組むビジネスレジリエンス

NTTデータは、業界・技術のForesight起点で未来を構想し、共創パートナーとしてお客さまの成長とビジネス変革を実現していきます。
デジタルが生活者にもたらしたイノベーションは、企業のサービス、プロダクトの在り方を変え、経営管理やサプライチェーンにまで変革が及んでいます。加えて、政治、経済、社会、法規、環境らの激動が、企業経営をより複雑にする中、お客さまビジネスのレジリエンスを高める提言、およびサービスの提供に取り組んでいます。

NTT DATA Carbon-neutral Vision 2050

NTTデータでは環境方針環境目標に基づき、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた新たなビジョンNTT DATA Carbon-neutral Vision 2050を策定し、取り組みを行っています。
NTTデータは2050年の社会のカーボンニュートラルに向け、Green Innovationを通じ、自社のサプライチェーンを通じた温室効果ガスの排出削減のみならず、お客さまや社会のグリーン化へ貢献をしていきます。2040年にScope1、2のカーボンニュートラル、2050年にScope1~3のネットゼロ実現を図ります。

注釈

  • 注1 商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を二酸化炭素に換算して定量的に算定したものを指します。UBEで算定を行っているCFPはプロセス合算型データ(Cradle-to-Gate)の考え方に基づいたもので、UBEの上流にあたる原料由来のものや製品輸送時に発生するもの、UBEにおける製造プロセス上で発生するもの、また製造に使用される電力などのエネルギーに由来するものの合算値を指します。
  • 注2 複数のシステムやデータベースに蓄積されたデータを、さまざまなシステム間で連携・活用するため、抽出・収集(Extract)、変換・加工(Transform)、配信・送出(Load)するツール
  • 注3 2022年4月20日ニュースリリース 旭化成とScope1, 2, 3を網羅した製品別CFP管理基盤を共同開発
    https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2022/042000/
  • 注4 2022年1月14日ニュースリリース グリーンコンサルティングサービスを提供開始
    https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2022/011400/
  • 注5 NTTデータはグリーンイノベーション推進室、サステナビリティサービス&ストラテジー推進室、グループ会社のクニエなどでサステナビリティに貢献するサービスを幅広く提供しています。
  • 文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係のお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
広報部
田中
TEL:080-1724-5429

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
法人コンサルティング&マーケティング事業本部
法人コンサルティング&マーケティング事業部
ビジネスレジリエンス統括部
山崎、田中
E-mail:csaksales@kits.nttdata.co.jp

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