ミャンマー中央銀行基幹システム引き渡し式典の開催 ~ミャンマー中央銀行初の基幹業務ITシステムの稼働開始~

サービスインフォメーション

2016年1月18日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)が開発に携わった、ミャンマー中央銀行の基幹業務ITシステムである、CBM-NETシステム(CBM Financial Network System)の引き渡し式典が、2016年1月18日にヤンゴンのミャンマー中央銀行で開催されました。引き渡し式典には、ミャンマー政府関係者、ミャンマー中央銀行関係者、日本側からも本プロジェクトに携わった関係者として、在ミャンマー日本国大使館、独立行政法人国際協力機構(以下:JICA)ほか、NTTデータも出席しました。

本プロジェクトはJICAによる無償資金協力事業として、2014年3月よりシステム開発工程を着手し、2015年12月に開発完了、2016年1月5日より稼働を開始しています。

本システム開発は、NTTデータの最新ソフトウエア生産技術を採用しました。またNTTデータグループのミャンマー現地法人であるNTT DATA Myanmar Co., Ltd.(以下:NTTデータミャンマー)が開発体制に参画しています。

CBM-NETシステムは資金決済、国債決済、担保管理等の機能を持つ中央銀行基幹システムであり、ミャンマー中央銀行と市中銀行の各支店を専用回線で接続する、ミャンマー初の中央銀行基幹業務ITシステムです。

従来、手作業・紙面で処理されていた資金・国債取引がシステム化されることで、中央銀行業務を効率化し、ミャンマーのさらなる経済成長に貢献するだけではなく、金融取引の信頼性・安全性の向上に寄与します。

背景

今後の経済発展が大きく期待されるミャンマーに対して、日本政府は官民をあげた経済支援を表明しており、本システム開発は、JICAの無償資金協力事業として実施されました。

ミャンマーは急激な経済成長が見込まれるなか、各種制度や基準・基盤の整備に、国をあげて対応しており、ミャンマー中央銀行においても、他国に追随するべく金融制度の整備を推し進めています。

CBM-NETシステムは、ミャンマーの金融基盤として銀行間の資金決済・国債決済業務および小切手交換業務といった金融取引の迅速化、信頼性・安全性の向上といったメリットをもたらし、ミャンマーの経済発展に大きく寄与することが期待されています。

【写真】

写真:CBM-NETシステム引き渡し式典

概要

CBM-NETシステムは2016年1月5日に稼働開始し、外国銀行を含めた市中銀行全38行が接続するシステムを利用した業務の運用が開始されました。

1月18日にはミャンマー中央銀行ヤンゴン支店にて、引き渡し式典が開催され、セ・アウンミャンマー中央銀行副総裁らが出席しました。日本からも在ミャンマー日本国大使館、JICAをはじめ、CBM-NETシステム開発に携わったNTTデータ、株式会社大和総研(以下:大和総研)等が出席しました。

引き渡し式典では、セ・アウン副総裁から日本関係者への感謝の意が伝えられ、樋口建史駐ミャンマー日本国特命全権大使からの挨拶、その後ミャンマー中央銀行職員によるシステムのデモンストレーション等が行われました。同国のメディアにも取り上げられ、CBM-NETシステムの稼働がミャンマーで大きく注目されていることが確認されました。

システム概要

今回開発されたCBM-NETシステムは、大きく中央銀行基幹アプリケーション、ICT基盤、小切手クリアリングシステムであるMechanized Clearing Houseシステム(以下、MCHシステム)の3つで構成され、NTTデータは中央銀行基幹アプリケーション、MCHシステムの開発を実施し、ICT基盤は大和総研が開発を行いました。

中央銀行基幹アプリケーションは、主としてRTGS注1方式の資金決済、DVP注2方式の国債決済、および日中帯の当座貸越を自動的に行うための担保管理等の機能を持つアプリケーションであり、大和総研が構築したICT基盤上で動作します。

中央銀行基幹アプリケーション開発においては、プログラムソースの自動生成技術等、NTTデータが取り組んでいるソフトウエア生産技術を全面的に採用し、短納期・高品質でのシステム提供を実現しました。開発体制面においては、NTTデータミャンマーが開発初期より参画しました。NTTデータミャンマー初の大規模システムへの参画となりましたが、本開発を通じてシステム開発・サービス展開能力を高め、ミャンマーにおけるミッションクリティカルなシステム開発分野の第一人者としての地位を築いています。

MCHシステムは、小切手の決済システムです。それぞれの市中銀行間で統一されていなかった小切手券面を統一化し、機械読み取り可能な磁気インクを使用して小切手情報を記載することにより、小切手の仕分け、クリアリング・決済データ算出を機械的に行うことが可能となりました。毎営業日に中央銀行の各支店にある小切手交換所に集められる小切手を、発行銀行ごとなど機械的に仕分けを行い、決済情報を電子データで中央銀行基幹アプリケーションに引き継ぎ処理することで、ミャンマー中央銀行および市中銀行の業務効率化を実現しています。

NTTデータの今後の取り組み

NTTデータでは引き続き、ミャンマーの金融市場の成長にあわせ、ASEAN諸国とのクロスボーダー資金・証券決済を視野に入れた中央銀行基幹システムの整備に貢献するとともに、ICTノウハウの移管など技術協力という側面においても、ミャンマー金融インフラ近代化に貢献していきます。

また本プロジェクトのノウハウをいかし、ミャンマー以外の国においても、積極的なITインフラ整備を目指していきます。

参考

注釈

  • 注1RTGS

    Real-Time Gross Settlementの略。中央銀行における金融機関間の口座振替の手法の一つであり、金融機関からの振替指図を1件ずつ、即時に決済する方法。

  • 注2DVP

    Delivery Versus Paymentの略。証券の決済方法の一つであり、証券の引き渡しと資金の決済を同時に履行する方法。

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