秘密分散技術を用いた複数金融機関のデータ統合の有効性検証を実施 ~法人融資需要予測へデータコラボレーション技術を活用~

サービスインフォメーション

2022年1月11日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、秘密分散技術を用いた複数金融機関のデータ統合の有効性検証を目的に、法人融資の需要予測に関する実証実験を行いました。
本実証実験では、筑波大学が開発したデータコラボレーション技術を用い、実験に参加した7金融機関のデータを秘匿化した状態で統合し、統合需要予測モデルを構築しました。予測精度を比較するため、各金融機関単独のデータから構築したモデルと統合モデルを比較した結果、統合モデルは、法人融資の需要予測にあたり高額の融資の需要予測など各金融機関に保有データが少ないケースで特に精度向上に有効な手段であることを確認しました。
今後NTTデータは、金融機関と異業種の連携など、幅広い業界内外のデータ統合によって生産性向上を目指します。

背景

生産性向上を目的としたAI活用が盛んになってきた一方で、高精度のAIを作るための学習データ(量が豊富で、分布に偏りなく、バリエーションに富んでいるデータ)の蓄積が進んでいません。また、プライバシー情報を含むことを理由に、会社組織や分野を越えたデータの共有、収集が進まないケースもあります。
上記課題解決のため、NTTデータはデータコラボレーション技術と複数金融機関のデータを使って、法人融資の需要予測をする実証実験を行いました。

データコラボレーション技術の概要

データコラボレーション技術は筑波大学が開発注1し、NTTデータと共同研究している技術です。この技術は、各機関が秘密にしたいデータを元に戻せないように秘匿化した状態で統合することで、分散されたデータをまとめて解析できる点を特長としています。
組織や分野に跨って分散したデータに対して、元データの直接的な統合を行うことなく、高度な統合解析が可能になることに加え、元データに含まれる秘匿性の高い情報の安全性を担保しつつ、多量のデータが取り扱い可能となることで、データ(種類・量)の不足を改善しAIの解析精度の大幅な向上を実現します。

図:実証実験の概念図

図:実証実験の概念図

実証実験について

  • 参加組織
    NTTデータが主体となり実験を行いました。データは合計7金融機関に提供いただきました。
  • 実験内容
    2020年末から2021年にかけて、7金融機関に協力をいただき、金融機関のデータを用いて、法人融資需要予測のAIモデルを構築しました。本実験では各金融機関単独のデータで構築した単独機関モデルと、データを秘匿化したうえで7金融機関のデータで構築した統合モデルを構築し、単独機関モデルと統合モデルの精度比較を行いました。
    双方のモデルを用いた法人需要予測の結果、各金融機関単独のデータから構築したモデルよりも、統合モデルの方が、単独機関で保有データが少ないケースで需要予測の精度向上に有効な手段であることを確認しました。
    具体的には、高額な法人融資の需要を予測でき、データコラボレーション技術の効果、有用性を確認できました。

今後について

複数の機関を跨いだデータ統合は、同業種間だけでなく異業種連携においても期待されており、データコラボレーション技術は(1)同業態機関におけるデータ結合(2)異業種とのデータ統合の双方で活用が想定されます。
NTTデータは金融業界に限らず、金融機関と異業種のデータ統合など、幅広い業界内外のデータ統合による生産性向上を目指します。

注釈

  • 注1データコラボレーション解析による生産性向上を目指した研究開発 https://datacollab.cs.tsukuba.ac.jp/
    本実証実験の前段である基礎研究・開発の段階において、筑波大学はNEDOの委託を受けて本技術の研究・開発を実施しております。

本件に関するお問い合わせ先

製品・サービスに関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
金融事業推進部
デジタル戦略推進部
斎藤、田中
E-mail:dc_finance@kits.nttdata.co.jp

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