愛・地球博記念公園における自動運転の社会実装を見据えた実証実験に参加

~デジタル空間に車と歩行者の動きを再現し、最適な走行条件を計算~

トピックス

2023年1月26日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は、株式会社NTTデータ東海(以下:NTTデータ東海)と共同で、愛・地球博記念公園における「歩車混在環境および管理道路での走行にあたっての課題抽出」をテーマとした公園利用者等の移動手段を想定した実証実験に参加します。
NTTデータが取り組む実証では、自動運転バスの走行に対する、歩行者の危険認知感覚をAIで再現し、歩行者にとって安心感のあるバスの走行方法をシミュレーションにより検証します。バスと歩行者の動きの傾向をデジタル空間に構築し、バスの走行条件の速度や走行ルート、道路往来量を変更させながら、歩行者に危険と感じさせない最適な走行速度等の走行条件をシミュレーションします。
NTTデータは、2030年までに解決を目指す社会課題「都市における経済発展と環境負荷低減の両立」に関する取り組みを進めています。その取り組みの一つとして、NTTデータ東海とともに、さまざまな交通課題の解決に寄与することが期待されている自動運転サービスの実現を目指した実証事業等に取り組んでいます。今後も、歩行者と車が安全・安心に共存できる社会の実現を目指して、研究開発に取り組みます。

背景

愛知県は、2016年度から自動運転の実証実験を重ね、5G注1・遠隔監視・路車間協調等を活用した自動走行技術の確立、ビジネスモデルの構築を進めています。
2022年度は、社会実装に向けた取り組みをさらに深化させ、交通事業者等が実運行で再現可能なビジネスモデルの構築を目指し、3地域で実証実験に取り組んでいます注2
この実証実験の一環として、愛知県は、愛・地球博記念公園(長久手市)において、「園内バスルートでの自動運転バスによる運行」をテーマに、公園利用者等の移動手段を想定した実証実験を行います。

実証の概要・特長

愛知県の事業「歩車混在環境および管理道路での走行にあたっての課題抽出」では、NTTコミュニケーションズを幹事会社とする共同体で実施します。そのうちNTTデータは、自動運転バスの走行に対する、歩行者の「安全、危ない」といった危険認知感覚をAIにより数値化し、対応する歩行者の回避行動をパターン化します。次に、歩行者の往来が多く見込まれる交通環境をデジタル空間上に再現し、想定される歩行者の動きをシミュレーションします。
今回の実証実験では、デジタル空間で想定した歩行者の動きと実際の歩行者の動きを比較することで、シミュレーション自体の有効性を検証し、歩行者が危険を感じない自動運転車両の走行速度・経路等を導き出すことのできるシミュレーションシステムの構築を目指します。

表1:事業実施体制

企業名等 主な役割
NTTコミュニケーションズ株式会社/株式会社NTTドコモ 事業統括、車両調達、遠隔管制注3システムの提供、通信環境構築、5Gを活用したソリューションの提供
アイサンテクノロジー株式会社 3Dマップの作製、走行調律作業の実施
埼玉工業大学 自動運転バス車両の提供
株式会社ティアフォー 自動運転OS「Autoware注4」の運用支援
岡谷鋼機株式会社 社会実装に向けたアドバイス
損害保険ジャパン株式会社 自動運転リスクアセスメント
名鉄バス株式会社 遠隔管制者、車内保安員、交通事業者としての運行支援
株式会社東海理化 遠隔監視の映像を統合するシステムの提供

表2:協力会社

企業名等 主な役割
株式会社NTTデータ/株式会社NTTデータ東海 AIによる走行条件シミュレーション(参考実証)
ENWA株式会社 映像伝送システムの提供

以下は、本実証の特長です。

(1)愛・地球博記念公園において大型バスによる自動走行を初めて実施

愛・地球博記念公園において、大型バス(現在運行中の園内バスと同型)による自動走行を初めて実施します。本実証実験では、交通事業者が運行を担当して、自動運転バス車内外の安全や運行面での課題抽出を行い、安全・安心な運行方法の確立を目指します。

(2)歩車混在環境におけるAI映像解析技術注5を活用した注意喚起

多数の歩行者による往来が見込まれる北1駐車場付近の走行ルート上にて、AI映像解析技術により周辺の歩行者の状況を分析し、自動運転バスの接近時に路側に設置したスピーカーから音声にて注意喚起を行うことにより、歩行者と自動運転バスの安全・安心な共存の在り方の検証を行います。

(3)5Gを活用した危険箇所リスクの検出

本実証実験では、走行ルート上や車両内外に設置した複数のカメラ(路側/車載カメラ)を5G等に接続して、運行状況を鮮明な映像により遠隔管制室にて監視し、遠隔管制室と車両との間でコミュニケーションを取り、事故等を防ぎます。
車載カメラには株式会社東海理化の提供する画像処理システムを活用することで、遠隔監視の複数画像を統合し、車両周囲の死角が少ない映像を伝送して、遠隔管制者の負荷を軽減します。
路側カメラは、車両から死角になる場所や子供を含めた歩行者の移動が多い危険箇所に設置して有効性を分析し、将来の園内での自動運転サービスの実装に向け活用できるようにします。
路側カメラにはENWA(エンワ)株式会社の提供する映像伝送システム「DiCaster(ディーキャスター)」を採用することで、専用の機材を用意することなく、スマートフォンにて高精細な映像を低遅延で伝送します。

(4)車両と歩行者の動きに関するデジタル空間上でのシミュレーション(参考実証:NTTデータ/NTTデータ東海実施)

歩行者の自動運転車両に対する危険認知感覚に対応した回避行動をAIでデジタル空間上に再現し、歩行者が危険を感じない自動運転車両の走行速度・経路等を導き出すことのできるシミュレーションシステムの構築を目指します。
具体的には、複数の走行パターンを収録した動画を被験者が視聴し、車両に対する「安全、危ない」といった危険認知感覚をAIにより数値化し、対応する歩行者の回避行動をパターン化します。次に、歩行者の往来が多く見込まれる交通環境をデジタル空間上に再現し、想定される歩行者の動きをシミュレーションします。
今回の実証実験では、デジタル空間で想定した歩行者の動きと実際の歩行者の動きを比較することで、シミュレーション自体の有効性を検証します。

今後について

NTTデータは、本実証の検証結果を反映して歩行者の危険認知AIシミュレーションのさらなる高精度化を行い、将来、歩行者と自動運転車両が安全・安心に共存できる空間の実現を目指します。

注釈

  • 注1 5G:通信キャリアがサービスとしてスタートした第5世代移動通信システム。高速、大容量通信が特徴。
  • 注2 【知事会見】2022年度自動運転実証実験の実施について
    https://www.pref.aichi.jp/press-release/jidounten-jisshi-2022.html
  • 注3 遠隔管制:自動運転車両の運行を遠隔からの映像をもとに管理・制御すること。
  • 注4 Autoware:自動運転システム用オープンソースソフトウエア。The Autoware Foundationの登録商標。
  • 注5 AI映像解析技術:AIにあらかじめ車両や人物等を学習させ、カメラに映った映像の内容を解析する技術。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
技術革新統括本部
技術開発本部
IOWN推進室
武田、青木、渡辺
TEL:050-5546-9863
E-mail:iown@kits.nttdata.co.jp

株式会社NTTデータ東海
第一事業部兼第四事業部
営業担当 
小林
TEL:050-5556-2888

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