交通環境情報の利活用を促進するための共通設計テンプレートをMD communetにて公開

背景

NTTデータは、Society5.0の実現に向け、内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム^注3（SIP：エスアイピー）第2期「自動運転（システムとサービスの拡張）」（以下、SIP自動運転）における地理系データの流通促進に係る取り組みとして、官民連携の交通環境情報ポータルサイト「MD communet」を運営しています。NTTデータはMD communet上での情報提供や会員企業との協業により、交通環境情報の活用を通じて交通事故低減や交通渋滞の削減といった社会課題の解決や新たなサービス・価値の創出に取り組んでいます。
このたび、本事業の取り組みとして、MD communetの会員企業が保有するデータを活用した新たなサービスの企画及び実証事業を民間企業や自治体とともに行いました。
実証事業を行う中で、データの利活用を推進するためには「データを活用することでどのようなサービスを実現できるのかイメージが湧きづらい」「データを活用するためにはどのような処理が必要なのかが分からない」といった課題があることが分かりました。
これらの課題を踏まえ、交通環境情報を活用したユースケースや、利用した実際のデータ、実現するための仕組みを整理・公開することが、交通環境情報の利活用促進につながると考え、共通設計テンプレートを公開しました。

概要（特長）

共通設計テンプレートは、交通環境情報の利活用を促進するため、利用するデータ、データの処理に関する仕組みを整理したものです。
データ利活用に取り組む自治体や企業の増加に伴い、交通の領域においても、複数の交通環境情報を重ね合わせることによる様々なサービス創出が期待されています。一方で、交通環境情報は様々な異なる形式が存在し、同時に扱うためには、技術的なノウハウが必要になることが、サービスを創出する自治体や企業において課題となっていました。サービス開発者にとってのデータ活用の敷居を下げるため、実証を通じて得たノウハウを活かした共通設計テンプレートを作成しました。
今回公表した共通設計テンプレートでは、災害時の冠水リスクを考慮したルート提供をユースケースとしています。

図：共通設計テンプレートの活用イメージ

共通設計テンプレートを活用することで、例えば、冠水想定箇所や雨量データ、走行実績データから道路の冠水リスクを算出し、リスクを回避する迂回経路をルーティングするアプリを開発することができます。
テンプレートにより大半のプログラム等が共通化されているため、類似するユースケースを想定したアプリケーションを設計・構築する際に作業負荷を削減できます。また、利用するデータを、例えば、雨量データを積雪データに、冠水想定箇所を、スリップ危険箇所など他のデータへ置き換えるだけで、各種災害発生時のリスク回避ルーティングアプリケーションを改めて個別に設計する必要がなくなります。

今後について

今後、NTTデータはMD communetを通じて、様々な実証実験やデータ利活用の事例を創出することで、共通設計テンプレートの種類の拡大を目指します。
共通設計テンプレートの種類を拡大していくことで、社会課題の解決、新たなサービス・価値の創出に寄与します。